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【らんまん】どこまでも地べたを行く【第22週・オーギョーチ】

「らんまん」第110話感想です。(先週はバタバタして、更新が遅くなってしまいました…)

台湾での調査から帰国した万太郎。採取した木の実を使って、デザート? を作り、家族にふるまいます。
オーギョーチにはペクチンが多く含まれているため、加熱しなくてもゼリーのように固まる珍しい性質があるとのこと。たしか、バーミ●ンで食べたことがあります…。今の季節にぴったりのスイーツですよね。

万太郎は、台湾での経験を家族に話して聞かせます。万太郎が病に倒れたとき、現地の人々がオーギョーチでゼリー状の食べ物(これもオーギョーチなのでややこしい)を作り、万太郎に食べさせてくれた…。台湾の人々が命の恩人だと語りました。

牧野富太郎は明治29年(1896年)に、東京帝国大学からの出張命令で、実際に学生や技官と一緒に台湾へ植物調査に行ったそうです。おそらくその際にオーギョーチを見つけたのだと思います。
ドラマでは万太郎は「ピストルを持っていけ」と言われたのに持っていかず、代わりに自分で編纂した植物志図譜を持参しましたが、実際の牧野博士は鉄砲店でピストルを購入して、護身用に持参したそうです。

ドラマのお話に戻ります。
植物学教室では、大きな出来事が起きていました。野宮と波多野が以前から進めていたイチョウの精子の研究で、ついに泳ぐ精虫(精子)が顕微鏡で観察できたのです。
野宮と波多野、そして教室を訪れた万太郎は3人で抱き合って喜びあいました。
さらに、報告を受けた徳永教授は、「世界の頂点だ!」と泣いて喜びます。

「これでドイツを見返してやれますね」
「もうあんなみじめな思いは終わりだ。今こそ日本人であることを誇りに思う」

徳永教授と細田(渋谷謙人さん)は感慨深そうに語り合います。留学中によっぽど嫌な思いをしたのでしょうね。。
日本が近代国家となっていく、そして色々な意味で外国と肩を並べようとしていく過程にあった、この時代ならではの空気を感じました。

野宮のモデルとなった平瀬作五郎は、1896年に初めてイチョウの精子を確認し、世界初の裸子植物における精子の発見という偉業を成し遂げました。
小石川植物園に「精子発見のイチョウ」という木が残っていて、ずいぶん前に見たことがありますが、その時は勉強不足で、平瀬作五郎というお名前もピンとこないような状態だったので、ドラマをきっかけにまた見に行きたくなりました。

万太郎は台湾調査の結果を報告書にまとめ、細田に見せます。しかし、そこに新種として記載されていたオーギョーチの学名 Ficus awkeotsang の説明を聞くと、細田は激怒。
なぜなら、awkeotsangは、台湾現地でのオーギョーチの呼び方を元にしたものだったからです。
細田は「改めろ! 向こうの言葉から学名をつけるなど…。現地の言葉は消せ! 国に逆らう気か?」と強い口調で言いますが、万太郎は聞き入れません。
当時は日清戦争が終わったばかりで、台湾は日本の統治下にあり、日本語教育が推進されていたということが背景にあります。

「(イチョウの精子発見で)世界の頂点に立ったのに、助手のお前がこんなつまらんマネを…」細田が言いかけると、万太郎は顔色を変え、
「つまらんマネ? 大事なことですき」と反論します。
万太郎は台湾で、戦いの跡を目の当たりにしたと話し始めます。弾痕が残った樹木も見たと。
「人間の欲望が大きゅうなりすぎて、ささいなもんは踏みにじられていく」
人間の欲望に踏みにじられる前に、植物学者として後の世まで守りたい、と万太郎は話しました。

「わしはどこまでも、地べたを行きますき」

万太郎は、力強く決意を口にしました。

オーギョーチはその後オオイタビの変種とされ、学名は Ficus pumila var. awkeotsang と変わりましたが、当時の実際の学名がドラマにも使われていました。

牧野博士が、日本国内での地方名など、現地での植物の呼び名を積極的に収集していたということは、著書などに書かれていました。
オーギョーチのエピソードについては、ドラマオリジナルかもしれませんが、現地の人々と植物との関係を大切に考え、保存していきたいという想いは、実際の牧野博士と共通しているのかなと思いました。

私は日本史に関しては勉強不足で、あまり深くは語れませんが、今週は、万太郎が時代の流れと無関係ではいられなくなっていく様子が描かれていました。
色々なニュースを耳にする昨今、また8月は、平和に思いをはせる機会も多くなる時期であり、今週の「らんまん」にも色々と考えさせられました。

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