文学フリマに行ってきた【そうだ、文学フリマに行こう 最終回】
文学フリマ、終了。
一夜明けて、雨でした。
前日文学フリマに行ったことがまるで夢のような気がしましたが、ほぼ5時間立ちっぱなし&行きかえりの荷物運び等々で生じた筋肉痛が、あれは夢じゃなかったんだと思わせてくれました。
怒涛のように押し寄せる、感謝の気持ち。
あの人も、あのかたも、あの方々も、来てくれた。
後からゆっくり思い出して、涙が出ました。
と、昨日は灰になっていたので記事を書くことができませんでした。
いちおう、今日になって灰の中から蘇りました。
昨日、吉穂堂のことを記事中にとり上げてくださった方がいらっしゃったのはチェックしていたのですが、お返事できずごめんなさい。後ほど、改めてnoteを訪問させていただきますね。
個別に訪問する予定ですが、まずはこの場を借りて、お礼を申し上げます。
文学フリマで「吉穂堂」に来てくださったみなさま。
吉穂と会ってくださったみなさま。
購入していただいたみなさま。
ブースにはいらっしゃれなくても、遠くから成功を祈ってくださったみなさま。
人生を通じても、これほど誰かによって支えられ、温かく受け入れていただき、優しく声をかけていただき、助けていただいたことは何度もありません。本当に本当に、ありがとうございます!
心から、感謝しております。
さて、『そうだ、文学フリマに行こう』も今回で最終回。百聞は一見に如かず。見るとやるとは大違い。実際に経験してどうだったか、ということを記録して終了しようと思います。
少し長くなりますが、お付き合いいただけれは幸いです。
1.当日朝
実を言うと、準備は万端、時間的にも余裕を持って家を出ました。下見もしたし、ブースと同じ計測をしてバリを貼った机にディスプレイの練習をしたりしていたので、シュミレーション通りにやれば大丈夫!今日は楽しむぞ!と、割と意気揚々、余裕綽々でした。
一抹の懸念は予約分の一部が宅配便のほうに入っており、最終チェックができなかったことでしたが、これも到着時間に余裕があれば大丈夫だろうと思っていました。それより私にとって大問題だったのは、「雨が降るかもしれない」ということ。雨が降ると大事な本が濡れてしまうかもしれないし、天パの私の髪が暴走しボンバヘッドになってしまうのも、相当に恐れていました。
ブースに着くと、ブースの下には送った宅配便がすでに配布されており、当初は配布されないと聞いていたので、親切だなと思いました。さわきさんがいらっしゃって、ご挨拶をした後、勝手がわからない私に色々と丁寧に教えてくださいました。さわきさん、ありがとうございます!!
開店前に、会場の外にある机の上に「見本紙(カタログ)」を出しておくのですが、それも「今行った方がいいよ」と教えてくださって、本当に助かりました。
ブースにシュミレーション通りに配置しようとして、これがなかなか上手くいきませんでした。その時点でカーッと焦り始め、そこに海人さん到着。私が髪を振り乱して焦っているので、海人さんが宥めてくれました。ブースを見て、だいたい準備は整ってますからゆっくりした気持ちでいましょう、と言ってくださったのですが、私は「持ってきたのにないない」と探し物をしたりして、焦りっぱなし。髪は完全なるボンバヘッド状態でしたが、もうそれを気にする余裕もありません。
結局、開店ギリギリまで、予約のチェックと梱包に追われ、余裕を持つことはできませんでした。しかも、在庫数チェックミスで、海人さんに当初ご希望いただいていた本を変更してもらったりしました。これは本当に申し訳なかったです。
そんなこともあってひたすら焦った状態で開店を迎えました。
当然ブースの写真を取る余裕もなく、今回の写真はすべて海人さん撮影です。海人さんは撮影して、すぐさまXにポストしてくれました。
スタンディングオベーションというほどではないですが、主催者側の開会宣言に、出店者の皆さんが拍手をしたのが合図になりました。
この時点での私は、ただただ、頭が真っ白状態。
そして思っていた通りを目ざし過ぎました。
海人さんがいてくれて、隣のブースの穂音さんやぼんらじさん、さわきさんがいてくださったおかげで、やっと落ち着くことが出来ました。
返す返すも、ウミネコ制作委員会さんの隣に滑り込んで良かった!と思っています。
開店準備中に、福島さんと木花さんがそれぞれに来てくださいました。私は初めてのお客様ですし、開店前ということもあって、メチャクチャ焦って対応してしまい、おふたりには失礼しました。
開店してしまうとなかなか他のブースに行けなくなるので、開店前に行っておくというのが熟練の技だと知りました。福島さんからは今回、始まる前も後も、学ばせていただくことばかりでした。
教訓:完璧を求めない。途中でいくらでも調整できる。焦らない。
行きたいブースにはできるだけ開店前に行っておく。
2.開店~閉店
最初は、人がまばらでした。後から、第一会場と第二会場の入り口がそれぞれ同じ向きに1つ2つしかない為、その前が長蛇の列になり、入場証の引き渡しなどにも時間がかかって、「現場に到着しているのに中に入れない」状態だったと知りました。
現場の私たちは、なんか最初はあんまり来ないね、こんなものなのかもねと言っていたくらいでしたが、そのうちに人が押し寄せ、そこここのブースで盛り上がる声も聞かれるようになりました。
私は、ともかく予約してくださった方が来てくださったら、あとはそうそう売れないだろう、ウミネコさんに来てくださった方がのぞいてくださることはあるかもしれないけれど、そのくらいかなと悠長に構えていました。
ふらりと来た女性が足を止めてくださって、『白熊と光』をご購入くださいました。開店して最初のお客様は、なんとnoteの知り合いのかたではなかったようなのです。これは驚きましたし、感激しました。もしかしてnoteの方だったか、それとも見本紙を見てきてくださったのか、初めてのことで尋ねることもできず、海人さんと後からあれこれ話しました。
noteで予約してくださった方が訪れ始めてからは怒涛の展開でした。どなたとも「会えた!」という喜びがものすごかったです。喜びってこういう感情なんだ、と改めて再確認するほどの狂喜乱舞。感激しっぱなしでした。
おひとりおひとりのお名前を記してその時のことを細かにご紹介したいところですが、お名前だけで大変な行数になってしまうし(なんて贅沢な!)、もしかしてですが行ったことを知られたくない方もいるかもしれないので、お名前の列挙は避けますね。来てくださった皆様の挙げてくださった記事からご推測いただけたらと思います。
本当はおひとりおひとりと、たっぷり時間をかけてお話したかったですが、そこは店先。他のブースの方もいらっしゃるので、グッと我慢です。いつかまたお会いしましょう、と手を振って、次のかたを迎える、というような状況でした。
来てくださった方代表で、東北から来てくれた私の幼馴染、サトちゃんがいます。私のカタログにも載っていますが、サトちゃんは私の作品の最初のひとつから知っている心の友です。今回も家庭の事情で沢山の出来事があり「行けないかも」という危機もありましたが、それを乗り越えてはるばる来てくれました。感激で涙が出ましたが、泣いている場合ではなく、積もる話もできないまま、沢山本を買ってくれて、『白熊と光』の好調な売れ行きを願って白熊のミニフィギュアをプレゼントしてくれて、北へと戻っていきました。今回最大の目玉でした。
それから、作家さんになられたせやま南天さんが来てくださいました。「帯のコメント書いてくださってありがとうございます。やっと直接お礼が言えました」と言ってくださって、なんて素晴らしい方だろうと思いました。直接お礼をいう機会があったらなと思ったとしても、実際に出向くというのは、できそうでなかなかできないことだと思います。「作家 せやま南天」と書かれた素敵な名刺をいただき、なんだか私まで誇らしいような気がしました。これからのさらなるご活躍をお祈りいたします!
せやまさんは午前中の「すまスパ」のリアル配信にご出演になっていたとのことで、その後続々とすまスパメンバーの方々が訪れてくれました。そう、私がかつて「殿上人」と崇めていた方が目の前に!ピリカさんは私の『白熊と光』を手に取ってくださって、ああっ!ついにピリカがピリカの手に!と感激のあまり泣きそうでした。笑
唐突にインタビューされ、自己紹介と現況説明をしましたが、正直舞い上がっていて何を話したのか全然覚えていません。ピリカさんとお話してることじたいが夢みたいだし「無我夢中」ってこんな感じなんだなと思いました。
後から、ピリカさんがそっと封筒を持ってきてくださって、中には謎の「指令」が入っているという―――こちらはいつかお話することになると思いますが、極秘指令なので今はシーッ。
途中、高校生男子が突如現れ「差し入れです」と声をかけられました。
え、え、なんだろう。私高校生に知り合いいないんだけど、と思っていると「店番に来ました」というじゃないですか。
しばらく見つめ合って「・・・」という間があった後、ようやく気づきました。
「金森息子くん⁉」
イエスです。そうしてみればもう金森息子くんなんですが、リアル金森くんと会うのはほぼ小学生以来。まさか現れると思っていなかったので、気づいてあげられませんでした。後から金森母から聞いたところ、「おばちゃんたちがわさわさしているところに入って行けない・・・」とだいぶ逡巡していたそうなのですが、勇気を出して声をかけてくれました。
金森息子くん、海人さんが離席中は、ポップを書いてくれたり、本を売るお手伝いをしてくれました。すごく有難かったです。でもよく聞いたら「今試験中です」というので、青くなって「いますぐお帰りください!はい、すぐ帰る!」と返しました。
いやマジで、金森親子よ。たとえ試験余裕でも、やばいって!これで成績に響いたら私、戦犯です。
でも本当に、ありがとうね。
息子もしてくれないことをしてくれたこと、一生忘れません。
その後、PASSAGEで知り合ったtokocahierさんが来てくれました。PASSAGEにはイベントごとの時しか他の棚主さんと会うことができないので、お友だちが少ないのです。お忙しい中来てくださって、感動しました。本当にありがとうございます!!言葉にならないくらい、嬉しかったです・・・!
そのかた以外にも、PASSAGEのスタッフの方がお店の様子を見に来て、応援に来てくれました。PASSAGEでは、ある意味いつでも本を購入することができるので、おふたりとも本当に純粋に励ましに来てくださったのです。その心遣いが心に沁みました。
後から、そう言えばnoteは協賛に入っているのに、こうしてnoterさんのブースに応援にきてくれるなんてこと、ないなと思いました。いや別に批判や非難ではなく、単純に。
PASSAGEはブースは出していなくても、そうやって個人で頑張っている人を応援してくれる感じがすごく伝わってきました。noterさんが多いから追いきれないということはもちろんあると思いますが、スタッフさんで手分けすれば短時間で済むんじゃないでしょうか。「創作を手助けする」媒体と銘打っているので、たとえ購入しなくても、声をかけてくださるだけで好感度爆上がりなのにもったいないなと思いました。
文学フリマは、基本的に大手出版社などの「いつでも売ることのできる人」のものではなくて「個人で活動していてこの時にしか売る場がない人」のためのものだと思います。収益の場というだけでなく、交流とPRの場でもあるので「いつでも売ることのできる人」は、サイン会や手売りなどで注目を集めるのもいいですが、本来は個人の後押しをする形が望ましいのではと思ったりしました。
そんなことはともかく、とにかくひたすら、感動と感激の嵐に見舞われた、数時間でした。
教訓:・途中からお名前と品物を控えるのが追い付かなくなってしまった。ちゃんと記録しないと後が大変
・お菓子はもっとしっかり準備すべし
・カタログよりも吉穂堂パンフをもっと手に取りやすいところに置いて持ち帰りOKと明記すればよかった
・名刺を作っておけばよかった
3.閉店後
16時ごろからはすでに客足も少なくなって、予約の方もほとんど来ていただいていたので、16時半ごろから帰り支度を始めました。そのころ、海人さんがご気分がすぐれなくなってしまって、ご帰宅。心配しつつも、宅配便を送らなければいけなかったので、段ボールに荷物を詰め、階下の本部にある伝票をもらってきて、いつでも出せる状態に。
文学フリマ初体験でとにかく驚いたのが、「お菓子」の数々!
来てくださる方や、ご近所の方がいろいろくださって、私は自分の出店のことばかり考えていて、ほんのちょっとしかお菓子を持っていかなかったので、これは大いに反省でした。
そして、私の帰りのスーツケースの中はお菓子でいっぱいになりました。
そうしている間にも来てくださった方がいて、とにかく会う方会う方、もう皆さんが「会いたかった!」という方々ばかり。
17時きっかりに閉会挨拶があり、拍手をして締めとなりました。
その後撤収作業をするのですが、ここでも教訓。
開店準備と同じく、閉店後のブースの片づけは、ブース主じゃないと難しく、なかなか手伝えない、ということ。
何を入れて何を捨ててという判断がつかないので、自分の片づけが終わった後も、おいそれとお手伝いができないことを知りました。そのため、お隣のぼんらじさんやさわきさんをお手伝いしたくても、じっと見守る、というだけで、心苦しかったです。
椅子やテーブルは、手分けして片づけをしますが、運営さんが片付けの指示をするのに「椅子は立てかけないで」「テーブルの色が違うので分けて」というのを後から発信するので、できたら片付ける前に行ってくれたら、二度手間にならないで済むのになと思いました。
それでも基本ボランティアの運営さんたちは一生懸命でした。
大変、お世話になりました。
宅配便を出すのに、2階から1階の集配所に運ぶ必要がありましたが、なんと、その時ぼんらじさんと一緒にいらしたいぬいさんが、手伝ってくださいました。本が入った段ボールは重かったので、本当に助かりました。いぬいさん、その節はありがとうございます!
帰りはピリカさんとこーたさん、六太さんとご一緒したのですが、このときも、こーたさんがタクシーを探してくれたり、荷物をもってくださいました。こーたさん、ありがとうございます!!みなさん親切でこちらも感激しました。この日は、感激しなかったこと、感動しなかったことがひとつもないくらいの、まさに「大感謝デー」でした(ちょっと意味違う?)。
それにしても、帰りの乗り物がモノレール一択というのは問題だと思いました。会場を出たら小雨が降っており、駅には長蛇の列。いつ電車に乗ることができるかわかりません。
私たちも最初タクシーを目ざしましたが、みんな同じことを考えているのでしょう、まったく捕まらず、結局、だいぶ列の人波が収まってきたのを見計らってモノレールに乗りました。ほぼみんな座ることができたので良かったです(六太さん、席譲ってくれてありがとうございます!)
教訓:椅子や机を片付けるのは、運営の指示を待ってから
帰りはモノレールに乗るまでが大変
5.夢のあと
文章は人となりを表すと言いますが、フォローしあったりして繋がっている皆さんの文章には、もちろん読みあって親しんでいるわけで、気がつけばその文章から人柄を感じ、昔から知っていたかのように親しみを感じていたんだな、ということを、しみじみと感じました。
逢えば、どなたに会ったとしてもまるで旧知の仲の友に会ったような心持がしました。
今回の吉穂堂の収支ですが、おかげさまで、67冊持っていき、37冊お買い上げいただきました。
持参した本の半分以上が、どなたかのお手元に旅立ったわけです。
単価1000円前後という、文学フリマの価格帯としては高めの設定だったにも関わらず、しかも皆さんが手に取りにくい小説という分野も中にはありましたが、これほどお求めいただけるとは思ってもみませんでした。海人さんと、当初販売目標を15冊としていましたが、それより大幅増という結果になりました。皆さまのご厚情に、心から感謝申し上げます。
完売したのは『白熊と光』と『ナユタ』です。
もともと冊数が少ないということもありましたが、持って行ったぶんがすべて売れるなんて、考えてもみませんでした。
『ナユタ』は分厚い小説です。
さすがにこれが完売するとは、ちょっと想定外でした。
驚くことにまず売れないだろうと思っていた(笑)『春告鳥』も売れました(シリーズの第一巻なので、ハードルが高いと思ってました)。
カタログで紹介してくださったおかげだと思います。
dekoさん、コニシさん、青豆さん、ヱリさん、ローローさん、ありがとうございます。
沢山の人が行きかう中で、noteのお付き合いがない方に振り向いてもらうには、いささか力不足でしたが、それでも、『白熊と光』のうち何冊かは、お会いしたことがない、おそらくはカタログで見てくださった方が買ってくださいました。こちらも文フリの醍醐味なのかなと、味合わせていただいたなと思っています。
たくさんの方と出会い、たくさんの方の励ましとお力添えを経て、今回は大成功だったと言えると思います。
なによりも、お手伝いいただいた海人さん、改めまして、ありがとうございます。
海人さんがいてくれなかったらどうなっていただろう・・・恐ろしいです。
海人さんとは、また新たな企画を練り始めております。
文フリに全フリして燃え尽きた私に、いくつかの新たなミッションがいくつか、舞い降りています。
今回の文フリで引退しようかな(何から?)と弱気になったりもしていましたが、どうやらまだまだ、楽しんでいいよ、という案件があるようです。
今回、文学フリマで吉穂堂をご愛顧くださったみなさま、このたびは、本当にありがとうございました。お会い出来て、幸せです!吉穂堂と吉穂みらいの挑戦を、これからも見守っていただければと思います。
今度はいつかの吉穂堂で、お会いしましょう。
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