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東大生が考える「読書感想文とは」〜書き方から見る本質〜
この記事は、東大生のKさんが特別に寄稿してくれました。
ふだんから素敵な文章を書くKさんが考える「読書感想文」のコツとは、いったいどんなものなのでしょうか?
今回は読書感想文について書いていこうと思います。
ただし、「はじめ」「本のあらすじ」「感じたこと」「まとめ」のような構成についてや、「付箋に書きたいことを書き出してから、順番を考えてみよう」といった手法については触れません。既に多くの記事でも紹介されているためです。
このnoteでは、それとは違うやり方で読書感想文の書き方を説明していきます。ちょっと変わった「読書感想文の書き方」かもしれません。しかし読み終わった10分後のあなたは
・そもそも読書感想文というものは何なのか
ということについて新しい見方ができていると思います。ぜひ最後までお読みください。
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読書感想文は本について書く文章ではありません
まずとても大事なことから。
当たり前のようでいて、意識していない人も多いことなのですが、読書感想文は「本について書く」ものではありません。
え? どういうことかって?
「読書感想文」なんて名前のせいで、読書感想文は本の紹介文と勘違いされてしまうことが多いんです。
あらすじを説明したりすることも必要なので、たしかに読書感想文は本の紹介文と似ています。
しかし、読書感想文のテーマは本ではありません。
では読書感想文は何について書く文章なのでしょうか。
答え:読書感想文は自分のことを書くものなのです。
以下の文章でそのことを説明していきたいと思います。
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自分自身について書くとはどういうことか?
本を使いながら自分のことを書くこと、それが読書感想文で必要とされていることです。
繰り返しになりますが、読書感想文は本の紹介文ではありません。その本について詳細に説明する必要も、その本の作者について調べて書く必要もないのです。
なぜか?
定義に立ち返って考えてみます。
「読書感想文」とは本を読んだ感想を書くことが求められている作文です。つまり、本を読んで感じたことを書くもの。主題はあなたの「感想」なのです。
それでは「感想」とは一体なんなのでしょうか? ここにひとつポイントがあります。
「感じたこと」とは自分自身のことなんです。
もう少し具体的に説明します。まず確認したいのは、あなたがある本を読んで「感じた」ことは、そもそもその本だけが原因というわけではない、ということ。
ある本を読んだら全ての人が同じような感想を抱くということはありません。同じ本を読んでも、人によって感じ方は違います。私がどんなに素晴らしいと思った本でもあなたの心には響かないかもしれないし、逆もまた然りです。
もっというと、同一人物であっても、違う時・違う場所で読めば、一冊の本に対する感じ方は違ってきます。昔は面白くなかった本を大人になってから読み返して、心を動かされた経験はありませんか? それはなぜかといえば、あなた自身が変わったからです。
自分の気持ちや考え方は、年齢や周囲にいる人間、はたまた直近で起こった出来事にも影響されます。
例えばサッカーの試合でゴールを決めたとき。
友だちとケンカしたとき。
クラス委員に選ばれたとき。
同じ本を読んでも、どの出来事が直近にあったかで気持ちは変わってくるでしょう。時と場所によって自分の心は変わります。読むときの気持ちが変われば、本への感想も当然違ってきます。
書き手にとっては当たり前の「自分自身の考え方」や「自分自身の身の回りで起こった出来事」は、書かなければ読み手に対して共有されません。
そこに書かれている「感じた」ことも、どこかぼやけた印象になってしまいます。
まず自分自身のことについて書いてはじめて、読み手はあなたがなぜそう感じたかを理解できるのです。
算数みたいに式にしてみると
本を読んだ感想 = 本の内容 × その時自分自身が置かれていた状況と自分の気持ち
なのです。
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自分自身のことについて書く=変化の型
少し難しいことを説明しました。もう少し具体的に考えていきましょう。
「自分自身のことについて書く」にはいくつかの型があります。そのどれを使ってもいいし、そもそも型を選んで書かなくてはいけないというわけでもありません。
今回は、数ある型の中でも一番使いやすい「変化の型」に絞って説明していこうと思います。
「変化の型」、それは本をきっかけに起こった自分自身の変化について書くことです。
この型を使うときに読書感想文の中で書くべきことは、大きく3つ。
①本を読む前の自分の姿
②本の中身について
③本を読んだ後の自分の姿
この3つの要素を、一つの文章としての流れを持つように書いてあげることが必要です。
そのためには、3つの要素に加えて、以下の二つのポイントを意識しなくてはなりません。
・まず、自分がどういう人間からどういう人間に変わったのかをしっかりと書く。
・そして「なんでそういう風に変わったの?」という風に考える読者のために「それはこういう本を読んだからだよ」ということが伝わるように書く。
3つの要素と2つのポイント。なんとなくわかってきましたか?
それではもう少し具体的なステップにうつりましょう。こういう文章を書くためには何をしたらいいのか、説明していきます。
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本を探すときに気をつけること
まずは本の選び方です。
「実際に読んで自分が変わった本」が既にあればそれについて書けばいいのですが、そういう本が思いつかないこともあるかもしれません。
一つのコツは「この本を読んで私はこういう風に変わりそうだな」と考えやすいものを探すことです。
例えば自然の大切さを説明する本だったら「ポイ捨てをしてしまう自分→ゴミはちゃんと分別する自分」に変化する文章を書けばいいのです。
他にも「”友だち”がテーマの小説」なら「うまくいっていない友だちと仲直りした」といった作文が、
「”家族”がテーマの小説」なら「いつもケンカしてるお母さんだけど、本を読んで家事を手伝った」といった作文が書けるはずです。
「この本を読んだとき自分にはどのような変化が起こるかな?」という視点を持って本を探してみてください。
ちょっと難しい説明をしてしまったかもしれませんが、「この本を読んだらなりたい自分になれそうだな。背中を押してもらえそうだな。」そんな本を探したらいい、ということです。
本が決まったら、次は具体的にどういう変化が自分の中で起こったかについて考えていきます。
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小さな変化を成長ととらえて書く
「自分がどういう人間からどういう人間になったのか」
それを考えてみて、この変化を「成長」ということにすること。
これは1つのとても書きやすい方法です。
もちろん「成長」にかぎらず、どんなテーマでもかまいません。自分が本当に書きたいことの結果なら、「成長」について書いてもそれ以外のことについて書いてもいいのです。
自分の書きたいことを表現できたときの喜びをいちばんに感じて欲しいと思います。
例えば「今までは怠け者の人間だったけれど、この本を読んで、努力することの大切さを知った」とかのパターンですね。その場合、努力家になるという「成長」が自分の「変化」です。
この自分自身の「変化」はとても大事なポイントですから、できればあなたが本当に書きたいと思った自分自身の変化について書いてみましょう。
あなたが本当に書きたいと思ったことならば、それはきっとどんなことでもあなただけにしか書けない特別な文章だと思います。
そうそう、もちろん「『本当に書きたいこと』なんてない!」という人もいると思います。というか、そういう人の方が多いんじゃないかなと思います。99%くらい。でも、それは思いこみかもしれませんよ。
そういう人は自分が何についてなら書けるのか、探すところから始めるといいでしょう。「自分自身の変化」というとなんだか大げさに聞こえてしまったかもしれませんが、小さなことでいいのです。
例えば、いつもより少しあいさつを頑張ることにした、とか。
もちろん、もっともっと小さなことでもいいです。
「本当に書きたいこと」は誰しも必ず見つけられるものです。持ってないよ、という人は、ただそれをうまくつかまえられていないだけなのです。
人はみんな毎日少しずつ変わり続けているものです。
自分自身気づかないような小さな変化でも、本をきっかけにすくいとってあげることができれば、きっと面白い作文になります。
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「変化」を上手に書くためのワザ:「行動」を書く
「自分はこういう人間だった。けれどこの本を読んでこういう人間になった。」
これをうまく書くためには、自分のことを抽象的に書くよりも、実際に自分が「何をしたか」を書く方が伝わりやすくなります。
ちょっと難しいと思うので具体例を出します。
例えば「冷たい人間から優しい人間になった」という変化を書きたいとしますね。
「私は冷たい人間でした。人に優しいことをしなかったのです。しかしこの「○○」という本を読んで主人公の優しさに感動しました。私もこういう人間になりたいと思いました。」
これでも意味は伝わるのですが読者にイメージが伝わりづらいかもしれません。もっとわかりやすく伝えるためには、自分が「何をしたのか」を書くということがオススメです。具体例を見せます。
「私は冷たい人間でした。1週間前のことです。隣の席のカンタくんが教科書を忘れていました。私はそんなだらしのない人間は助ける必要がないと思っていました。だからカンタくんが私に教科書を見せて欲しいと言ってきたときも、私は見せませんでした。カンタくんは先生に当てられて、答えられないで恥ずかしそうでしたが、私は気にしませんでした。
しかしこの「○○」という本を読んで主人公の優しさに感動しました。私もこういう人間になりたいと思いました。
今日のことです。カンタくんはまた教科書を忘れていました。しかし今日の私は1週間前と違い、カンタくんに教科書を見せたのです。先生に当てられたとき、カンタくんは堂々と答えることができました。嬉しそうなカンタくんの顔をみて私もいいことをしたなと思いました。これからは、カンタくんが教科書を忘れても見せてあげようと思います。」
どうでしょうか。教科書を見せてあげるという「したこと」を書くことで、ぐんとわかりやすく面白い読書感想文になると思います。
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本はあくまで「変わったきっかけ」
本は、自分自身が変わった原因として書いてみるのが原則です。
書きやすいのは「主人公の行動に影響を受ける」パターンです。
例えば、エジソンの伝記を読んだら「何度失敗しても諦めず、ついに電球を作った」エピソードから、諦めないことの大切さを学んだ、という風に考えることができます。
本を読む時に「この主人公の行動から自分は何を学べるのだろう?」と考えながら読むのはオススメです。
もちろん主人公以外にもたくさんのキャラクターが出てくる場合、そういった他のキャラクターから学んでも構いません。
ヘレン・ケラーの伝記を読んだときは、主人公のヘレン・ケラーだけでなく彼女に寄り添い続けたサリヴァン先生について考えることもできるでしょう。「ヘレンを助け、その後も一生かけて寄り添い続けたサリヴァン先生」の姿から、誰かを助け導くことの大切さを学ぶことができると思います。
また必ずしも主人公やキャラクターの「真似」をする必要はありません。「反面教師」という言葉をご存知でしょうか。人の失敗から学ぶということです。
例えばシンデレラを読んだら、シンデレラに意地悪をしたお姉さんたちに注目して「人に意地悪をしないようにしようと思った 。」という風に書いてもいいのです。
本を読んだ時に「誰の」「どんな行動」に注目して「何を感じ、自分自身はどう変化したのか」を書くことができるといい読書感想文になると思います。
まとめ
最後にもう一度このnoteの内容をまとめます。
読書感想文は
①自分自身について書く(例えば「変化」について書くと書きやすい)
②自分自身の変化は、自分の「したこと」を中心に書いてみる
③本は、自分自身が変わった原因として書いてみる
この3つの組み合わせで書くことができます。
細かい文章の上手さ、日本語の正しさというようなことも大事ですが、読書感想文のような作文では、「何について書いているのか」ということが大事になってきます。
もちろんここで示したのは一例にすぎませんが、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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