見出し画像

気持ちを伝え受け止め合う関係

前回は、子どもたちの学びの場で、子どもたちの好奇心や関心から始まる「やりたいこと」をサポートするためには、気持ちに寄り添う大人の存在が欠かせないことを書きました。

そばにいる大人の存在

今回は、気持ちに寄り添う大人のサポートは、子どもたちのコミュニケーション能力をアップすることにも寄与しているということを書きたいと思います。

例えば、子どもたちが海に出かけて磯で遊んでいた時に、2人の子が魚を捕ろうとタモ網を取り合っていたら、どのように声をかけますか?年下の子から使うように年上の子に我慢してもらいますか?ジャンケンで決めるように言いますか?私たちは、まずそれぞれの言い分を聞きながら気持ちを受け止めていきます。そして、お互いが「使いたい」という気持ちであれば、それぞれの気持ちを受け止めあってもらい、解決策は提示せず「じゃあどうする?」と本人たちで決めるように促します。

とはいえ、最初からそんな簡単に話し合えるようになるわけではありません。生まれつき聴き上手の子はなかなかいないでしょう。子どもは他の人の気持ちを受け止めるよりも、自分の気持ちを訴える方が先です。そこでそばにいる大人である私たちはまず子どもたちの気持ちを受け止めることを何度も何度も行います。子どもは気持ちを受け止めてもらうことの心地よさを体験して初めて、他の子の気持ちを受け止められるようになると考えているからです。

お互いの主張を聞いて仲裁するという関わりよりも、まずそれぞれの気持ちをしっかり聞くことを行うのです。そして、その気持ちを相手に伝えたいかどうかは本人に聞きます。気持ちを聞いてもらってスッキリする場合や、気持ちを伝えてまた怒らせると怖いなどの気持ちから伝えなくてもいいという場合もあるからです。後者の場合は、スタッフが代わりに伝えようかと尋ねます。直接は話せないけど、代わりに伝えて欲しいという場合は、私たちは橋渡し役になります。

橋渡しをしているうちに、子どもたちはそれぞれの気持ちを直接出し合えるようになります。そして、スタッフにたくさん気持ちを受け止めてもらってきたので、相手の気持ちを受け止めることもできるようになってきます。そうやってお互いの気持ちを出し合った上で、「じゃあどうする?」という解決策は自分で考えてもらいます。

これらの関わりは回数を重ねながら少しずつ変化していきます。上記のように順番に進んでいくとも限りません。時には行ったり来たりした感じになることもあるでしょう。ですが、少しずつ体験していく中で、だんだんと大人がいなくても自分たちで揉め事を解決できるようになっていくのです。

大人が仲裁して解決をする関わりばかりしていると、何か揉め事があったらすぐ大人に解決を求めたり、大人に言いつけたりするようになると思いませんか?子どもが自立していくためには、大人がいなくても解決できるようにならないといけません。ただ主張するだけではなくて、相手のことを言葉だけでなく気持ちも含めてしっかり聴くことができるようになって、その上で解決策を一緒に考えるようになっていかないといけません。

そんなコミュニケーションができるような関係づくりには、やはり上に書いたような気持ちに寄り添う大人のサポートが大切なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?