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恋にも愛にも、余裕などあってたまるか

今の恋人と出会ったのは、私が酔って幼馴染に「今から遊びたい」と真夜中に電話したことがきっかけだった。なぜ真夜中にそんな連絡をしたかというと、当時の恋人とのことで傷心していたから。

私には保育園の頃からずっと一緒にいる幼馴染がいて、男5人、女3人(私を含む)くらいの割合。みんなそれぞれに個性が強くて、それもそのはず、私たち幼馴染の親もかなり個性が強い。そして家族ぐるみで仲が良い。そこに加えてみな酒豪。

その中でも、特に仲の良い幼馴染が男3人、女1人。みな互いを異性としてみてない。(これは断言できる。その証にいままで、誰ひとりとして幼馴染間で、色恋沙汰があったことはない)幼馴染たちの話は今度noteで話すとして、その日電話をしたのは、家が近かった男の幼馴染。

私の幼馴染、みんなフッ軽でとにかく優しいので、私が酔っ払って(あれは悪酔いと呼ぶのか)「今すぐ来て、嫌なことがあったから遊びたい」と電話で言ったら、家まできてくれちゃう。

「ほかの奴といるから一緒に行っていい?」と言われ、もうなんでもよかったので「いいよなんでも」と即答。

察しの良い人はお気づきの通り、その “ほかの奴のひとり” に、今の恋人がいた。そしてなんと、幼馴染のいとこだった。

彼が、私の男友達にとても寛容な要因として、ここも大きく関係していると思う。そもそもの彼の懐の深さや私に対する信頼もあるが、きっと付き合う前から私と幼馴染の関係や距離感を目の前で見ていたという点が大きい。

幼馴染とは一緒のベットに寝っ転がってゲームしても何も起こらないし、ただひたすらに楽しいだけで、それを何度も目の前で見ていたら、「ああ、ほんとうに兄妹みたいな感じなんだ」と思ったんだろう。

後に、幼馴染から「(恋人の名前)、お前にはじめて会ったときに一目惚れしたんだよ、でも俺があいつ彼氏いるよって言ったら連絡先交換しようとしなかったけど」と告げられる。

ここからすでにじわじわと感じる彼の誠実さ。

友達という立場は当時から確立しつつ、絶対に下心を出してこない姿勢、さすがとしかいいようがない。

これに対し彼に当時の気持ちを聞いてみたら、「俺が自分の彼女にされたらすごく嫌だから」と言っていた。「でも、ごめん正直別れたって聞いたときは、傷ついてたのわかっててもよっしゃって思ったごめん」と繋げて。

かわいい。また惚れる。

*****

彼に告白されたのは、ドライブをしたあとだった。車を降りて「またね」というと、「あ、ちょっと待って」と言われ、「わたしなんか忘れ物した?」と聞いたら少し沈黙のあとで、

顔を両手で覆いながら「あーーーーー緊張する」という彼。ここで鈍感と言われる私もさすがに察する。

こ れ は も し か し て 告 白 さ れ る ?

当時の彼と別れてからというもの、別れ方が最低だったこともあり私は男という生き物と恋愛という厄介な感情に対して心底嫌気がさしていたので、彼氏をつくる気などとてもじゃないけどなかった。

それに、元彼と縁が切れたら勉強や仕事、プライベートすべてが右肩上がりになり、フリー最高、万歳、自由、フウーーーー!みたいな日々を送っていたので、恋人がほしいなんて微塵も思えなかった。

なので、そこでの彼からの告白の返事は「ごめんなさい」だった。多分もう彼には惹かれていたから、そこで付き合ってしまっても良かったんだと思う。はじめて会ったときから、恋愛感情は抱かなかったけれど、人間性にはかなり惹かれていたから。

だけど、こんな誠実な人にテキトーな対応はできないと思ったら、「ごめんね」という答えを出した。

誠実な人には、わたしも限りなく誠実でいたい。

一通り話したあとで、「迷惑はかけないからこれからも好きでいていいかな」と言われたのはなんか未だに思い出すと胸が痛む。

そこから友人として付き合いを続けて時間がたち、私はもう、それはそれは彼に惹かれていたので、ついに私から「付き合ってほしい」と告げた。

どうしようもなく触れたいと、近づきたいと思った気持ちが膨れ上がり、友だち以上になりたいと強く思った。

もちろん今の関係が壊れるのが怖いという気持ちもあったけど、どこかで「彼なら大丈夫かもしれない」と思っていた。それは、まわりの幼馴染や友人の、彼に対する絶大な信頼もあったから。

なかなか踏み出し切れない私を後押ししてくれた親友や幼馴染がいてくれたおかげで、「信じる勇気を持たなきゃな」と思えた。

付き合おうと私から告げたあと、「嘘みたい」「ほんとに?」「え、俺の彼女ってこと?」「実感わかない」と何度も言っていた彼を今でも鮮明に覚えている。

自分のことをここまで深く思ってくれる人がこの世にいること、そのひとりが彼でよかったと心から思う。「付き合ったこと絶対に後悔させない」と真っ直ぐな瞳で私をみてくれたこと、その言葉で十分なのに、すべて態度で示してくれること、ほんとうにずっとずっとありがとう。

彼と私を見た友人たちが「2人は同じ空気」と口を揃えていう。

それはきっと、やさしい空気を纏っている人といる私もやさしい空気を纏えるからなんだろう。やさしさの伝染って素敵だ。彼と出会って私の世界には色が増えた。誇大表現なんかじゃなく、ほんとうに世界の色が違って見える。

あなたの前では必要以上に頑張らなくていいと自由な心でいられるのに、可愛くいたいという女の欲がしっかりあるのは、紛れもなくあなたに恋をしているから。

丁寧に時間をかけて、私の心を解かして自由にしてくれてありがとう。  


*****

大人の恋愛ってなんだろうね、大人なだろうが子供だろうが人を好きになって、そのうえで完璧な余裕をもっていられる人間なんているんだろうか。

余裕のある人間はかっこいいし素敵だと思うけど、自分も自分の好きな人にも常に余裕であるようになどとは願わない。

私はかっこよくも完璧でもないので、彼の前で常に余裕でいられるわけない。安心感があると余裕でいられるのは何か違う。

めちゃくちゃに可愛くてスタイル抜群でスペックも完璧な女性が、彼の前に現れたら簡単に自信など喪失する。

だけど、私が好きになった人は、そんな私に対する接し方を「面倒だな」などと思う男性ではない。

彼も私も、どれだけ安心感があっても互いに自信を喪失したり、余裕をなくしたりする。

だけど、恋をしているんだものそんなの当然じゃない。興味がある人間にしか抱かない感情だもの。

自論に過ぎないけど、互いに自立していても安心感があっても、その人を好きだという気持ちが恋である以上、完璧な余裕なんてきっとうまれない。

足りないところがあって、それでよかったと思える。

それに、ふたりとも完璧だったら、何のための愛かわからないじゃない。

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