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生のみ生のままで。
綿矢りさ「生のみ生のままで」
どんな話か?と一言で言うと
「女性同士の恋愛話」
25歳、夏。逢衣は恋人の颯と出かけたリゾートで、彼の幼馴染とその彼女・彩夏に出会う。芸能活動しているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかり。けれど、4人でいるうちに打ち解け、東京へ帰った後も、逢衣は彼女と親しく付き合うようになる。そんな中、彼との結婚話が出始めた逢衣だったが、ある日突然、彩夏に唇を奪われ──。女性同士の情熱的な恋を描く長編。
明るい光が見えるようなラストだったので、読後感は良いかと。
毒の強い綿矢りさ節はありませんでしたが、描写や比喩表現は好みでした。
で、この本の感想を
「多様性の時代だよね」で終わらせるのは、違うそうじゃない感があった。
そして、「女性同士の恋愛話」であることには違いないのだけど、性別問わず「そもそも人を好きになるとは?」について考えさせられる本でした。
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で、「生のみ生のままで」を読んで一番強く思ったのは
「嘘をつきながら生活するって、辛いんだな」
ということ。
以下ちょっとネタバレ含みます。
逢衣と彩夏は、カップルであることを隠して生きていた。
傍からみると、女性の友だち同士。
同棲も「友だちと住んでいる」ことにすれば怪しまれることはない。
ただ、本の中で度々
「本当のことを周りに言えたらどんなに良いか」という思いと葛藤が書かれていた。
で、以前読んだこの本にあった、カミングアウトの話を思い出した。
・日常会話一つひとつに冷や汗を浮かべながらコニュニケーションを取っている当事者は多くいる
・カミングアウトする人たちは、余計な気を遣わずに日常会話できるようになることが大事
カミングアウトする人=嘘をつかず、日常会話をしたい。
そりゃ、誰だって気を遣わずに会話したい。
嘘をつかずに日々を過ごしたい。
だから、カミングアウトする。
考えてみれば、当然ですよね。
だから、カミングアウトを受けた側は
「カミングアウトされた、さてどうしよう」
「解決方法を考えなければ」
なんて思う必要はなくて、カミングアウトした本人からしたら、
「本来つく必要のない嘘や気遣いから開放された」という当然の権利を得た、というだけの話なのかなと。
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「生のみ生のままで」を読んだことで、
以前読んだ本の本意(?)が少し分かったような気がしました。
どちらの本もオススメなので、「読書の秋」にぜひぜひ。
<あとがき>
カミングアウトで思い出しましたが、吉井さんが喉のガンだったという話。これを公表した後、心が軽くなって楽になり、心なしか声も軽くなったような…という話をブログに書いていました。気を遣ったり嘘をつくことって、相当ストレスになるよね、と改めて思ったのでした。
今日もありがとうございました。
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