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言葉の宝箱 0404【人の命が消えていく時の状態、わかりますか?まず飯が食べられなくなって、そうなればあと一週間くらいです。それから呼吸が穏やかになっていって、最後に喉がゴロゴロといい出すんですよ。いままさに死に逝く本人が自分自身の状態を見極めるのは難しいことですけど、でも最期はこうなっていくんだと知っていれば、不安が少し目減りするんじゃないかとぼくは思うんです。不安って不透明なところから膨らんでいくものだから】
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奈緒は10歳になる涼介を連れて、二度と戻ることはないと思っていた故郷に逃げるように帰ってきた。長年連れ添ってきた夫の裏切りに遭い、行くあてもなく戻った故郷京都の丹後地方は過疎化が進みゴーストタウンとなっていた。結婚式以来顔も見ていなかった父親耕平とは母親を亡くして以来の確執があり、世話になる一方で素直になれない。そんな折、耕平が交通事故に遭い、地元の海生病院に入院。そこに勤務する医師三上と出会う。また偶然倒れていたところを助けることになった同じ集落の早川という老婆とも知り合いとなる。夫に棄てられワーキングマザーとなった奈緒は昔免許をとったものの一度も就職したことのなかった看護師として海生病院で働き始め、三上の同僚となる。医療過疎地域で日々地域医療に奮闘する三上。なぜか彼には暗い孤独の影があった。一方同じ集落の隣人である早川は人生を諦め半ば死んだように生きていた。なんとか彼女を元気づけたい、と願う奈緒と涼介。その気持ちから二人は早川の重大な秘密を知ることとなる。
・人と人との関係は年月とともに変わっていくものだから。
それがたとえ家族であったとしても同じではいられない P43
・高齢者が亡くなる状況はおおまかに三つある。
ひとつめは癌。二つめは心臓や腎臓、肺などの内臓疾患。
そして三つめは徐々に症状が進む認知症や老衰。
人が死ぬ時にどういう状態になるかを前もって知っておけば不安が減る。「人の命が消えていく時の状態、わかりますか?
まず飯が食べられなくなって、そうなればあと一週間くらいです。
それから呼吸が穏やかになっていって、
最後に喉がゴロゴロといい出すんですよ。
いままさに死に逝く
本人が自分自身の状態を見極めるのは難しいことですけど、
でも最期はこうなっていくんだと知っていれば、
不安が少し目減りするんじゃないかとぼくは思うんです。
不安って不透明なところから膨らんでいくものだから」 P114
・仕事の上達は階段を上がるのと同じや。
上がるのをやめてしまったらそこから先の景色は見えへんぞ P154
・人は一生に一回しか死ねませんからね。
たった一度の死だから、
自分にとっても周りにとっても悔いないものにしたい。
誰もがそう考えるのは当り前です。
自分の死が周りを不幸にしてしまったら、浮かばれませんからね P159
・誰にも救ってもらえないなら、あなたが救う人になればいい。
救われないなら救いなさい P236
・私には楽しいことなんて、もうないの。
これまでもなかったし、これからもないことはわかってる(略)
幸せに縁のない人生を送り、不幸なまま死んでいく人もいるってことを。
それも人の生なのよ P244
・人が人と関わり続ける限り、人をおもう気持ちが生まれる P276