言葉の宝箱 0604【ぼくらは手を握り合い、お互いを見つめていた。言葉など浮かばなかった。ただこうしているだけで分り合える】
鍵屋のお仕事小説。
どこにでもいそうな関わりたくない厄介な客、
踏み倒されることも多い報酬、精神的にも報われない。
そんな話から端緒が切られ、
やるせない気持ちを抱えながら読み進めていくと、
こう終る恋愛小説でもある。
・ぼくは、あらゆることから逃げ回ってばかりいたではないか。
でも、もう逃げない。自然に身体が動いた。
気が付くとぼくらは、手を握り合い、お互いを見つめていた。
言葉など浮かばなかった。ただこうしているだけで、分り合える P338