言葉の宝箱 0323【やり直しなんてできないけど、失敗が許されないわけじゃないんだ】
どの生徒にも慕われ、保護者対策もぬかりなく、同僚にも羨望の眼差しを送られる有能教師の菅野だが、内心はいつも虚しいものが渦巻いていた。自分には教師に必要な他人への共感や思い入れが全く存在しないのに天性の要領の良さだけで周りをたらし込み、日々を凌いでいるのだ。
そんな彼の前にかつての同級生の幽霊、イシイカナコが現れる。
「ねえ、イシイカナコの「人生やり直し事業」に参加しない?」
菅野は17歳の自分が生きる時間軸へと飛ばされたが、菅野本人ではなく、
同級生の依田として。イシイカナコの手違いに怒り狂う菅野(依田)だが、
なんとか高校生の自分を説得して進路を変えさせようと試み始める。同じクラスには生前の石井可奈子がおり、幽霊のカナコには別の思惑があった。
やり直しのきかない人生の生き方を問う物語。『イシイカナコはやり直す』
『塩原雪乃は告白する』『細谷宏一は甘酸っぱい』『菅野京平は痛感する』『石井加奈子はもういない』『イシイカナコが笑うなら』6話
・大人ってのはな、納得できなくても理解するくらいできるんだよ P30
・言った言わないで揉めるなんて、一番不毛だ P35
・高校受験や大学受験みたいに、
自分の置かれた環境をがらりと変えるチャンスが、大人にはない P46
・受験と就職と結婚なんだとさ(略)
何かあったときに振り返る人生の三大後悔ポイント P88
・優しさを振りまいているうちに、
いろんなものが限界値まで行っちゃった P135
・自分がなりたかったものに絶対なれないって気づいたとき、
昔の自分を裏切ることになるのが、きっと一番辛いんだろうな。
人生間違ったな、みたいにさ P138
・せめて自分で自分のことを満更でもないなと思えるように、
生きていくしかないんだよ P237
・やり直しなんてできないけど、
失敗が許されないわけじゃないんだ P245