言葉の宝箱1338【尊敬だけではいっしょに歩けないよ。愛情がなければね】
『その年の冬』立原正秋(講談社:昭和55年11月8日)
・縁者の人達はみんな幸福そうだった。
生活がいそがしくとも、平凡でも、それぞれに充実した日常を送っている。そんな感じがした。
自分が不幸だというのではなかった。
不幸なら不幸で、
もっとはっきりしたかたちの不幸のなかにいたら、身動きができた。
いまの情態では身動きができなかった P25
・型はあったが心がない、と気づいた P26
・新しい人と知りあうことが面倒だったのである。
ともに語れる者いがいは交わりを縮小してきていた P96
・尊敬だけではいっしょに歩けないよ。
愛情がなければね P99
・人間は不思議なもので、
これはうまく行かないな、と先が見えるのに、
そのときの動きにまきこまれてしまうことがあります P114
・失ったものの価値を考えてきたが、
失ってみないとわからない箇所があり、
そのことに気づいたのであった P150
・劇作家だから会話しか出来ないが、
小説家は地の文章で読者を縄目にかけて行く。
そのちがいがある P169
・ものに逆らわず、自己を失わず、
それでいて流れにまかせて生をまっとうしている人 P223