言葉の宝箱1271【〈自分の人生は、あとどれくらい残っているのだろう？〉十年か二十年か。それとも三十年だろうか。そんなことは誰にもわからない。ひょっとすると、あと一年で終ることだってありうるのだ〈いましかないんだわ。だから自分の一生を、いつ終ってもいいように生きなければ〉】

『大人の時間（上）』（新潮社：昭和62年9月30日）

・ふつうの人間って、みんなそうなんだわ。
歳をとるにつれて、姿もくずれてゆく。そして情熱も冷めてしまう。
それが当たり前なのかもしれない。
天才や、特別な人間だけが、
歳月にすりへらされずに、大事なものをたもちつづけて生きてゆく　P60

・人間って、利害関係や、血縁や、
そのほかいろんな結びつきが深ければ深いほどお互いに気をつかって、
遠慮しながら生きていかなきゃならないんでしょう？　P79

・本当のことを自由にきいたり、喋ったりする人間は、
世間で生きていくのが難しくなる　P80

・言葉ってものは、最初からあったもんじゃないって、教わったわ。
いつもその時々の人たちが勝手に作って、
その中の残ったものが後の世に伝えられるんだ、って　P117

・〈自分の人生は、あとどれくらい残っているのだろう？〉
十年か二十年か。それとも三十年だろうか。
そんなことは誰にもわからない。
ひょっとすると、あと一年で終ることだってありうるのだ
〈いましかないんだわ（略）
だから自分の一生を、いつ終ってもいいように生きなければ〉　P147