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言葉の宝箱0628【創作物は基本的に全部嘘なんだよ。でも作り話だからこそ、真実以上の力を持つことだってある。受け手の心を揺さぶることができれば、虚構は真実にだって負けないんだ】


『映画化決定』友井羊(朝日新聞出版2018/1/30)


「映画化決定ね!」高2男子ナオトは過去に描いたマンガ『春に君を想う』のネームを映研で監督を務めるハルに見られてしまう。学生向けの賞を受賞している天才女子からのオファーに乗り切れないナオトが自ら映画制作にかかわるうちに、なぜ過去に書いたこの作品が人の胸を打つのか、徐々に気付き始める。表現に大事なのは才能か、それとも理論か?真正面から向かい合い、ぶつかり合いながら、二人は互いに惹かれていくが、ハルは重い病をひた隠しにしている。涙とサプライズの切ない青春小説。

・「悲しい物語に触れると、
作者が選択しなかった別の未来を想像するんだ。
ストーリーは作者によって自由に変えられる。
だからこそ死なない展開もあり得たはずなんだ」
コメディなら笑い、ホラーなら恐怖、サスペンスならドキドキなど、
感情を引き出す行為は創作の基本かもしれない。
でもぼくは悲しみだけは、どうしても気持ちが避けてしまうのだ。
「泣ける展開が一定の人気を獲得しているのは事実かもしれない。
だけどそのほとんどは、死が訪れなくても成立するはずなんだ。
それなら幸せな結末にして、
受け手も幸せな気持ちにしたほうがいいに決まってるじゃないか」 P55

・人間や社会に関わると想定外のことが起こる。
トラブル続きだったけど、
そのおかげで新しく面白い展開が思いつけたんだ P91

・創作物は基本的に全部嘘なんだよ。
でも作り話だからこそ、真実以上の力を持つことだってある。
受け手の心を揺さぶることができれば、
虚構は真実にだって負けないんだ P133

・誰かに寄り添おうとする気持ち P144

・人の心は豊かで複雑な分、些細な影響で変化する P148

・欠点に気付けたなら改善できる。
せっかくだから他にも洗い出してみようぜ P155

・マジックアワーとは日の出と日の入りの時間に、
世界が柔らかな色合いで満ちる時間のことらしい。
その短い時間に限って、
レンズを通して美しい世界が映像として焼きつけられる P168

・アイデアをノートにまとめ、形にならないか頭を悩ませる。
ネタをノートに列挙すると、
無関係と思われていた要素が突然結びつくときがある。
でも考え込んでいるときは思考が硬直しているせいか、
大抵は組み合わせに気づけない。
そんな時に必要なのはリラックスすることだ P170

・現実がこんなにも苦しいんだ。
それなのにどうして、
物語でも辛い気持ちにならなくちゃいけないんだ P200

・堂々としていれば怪しまれないんだね P209

・大事なことを伝えるためには、
思い入れが深くても捨てなくちゃいけないことはあるんだ P223

・悲しい物語が語られる意味はあるよ。
大切なものは必ず失うことになる。
だからこそ受け入れて乗り越えるために、悲しい結末は存在するの P245


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