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言葉の宝箱0711【「ほんとよ」と幾度も念を押すので、嘘だとわかった】


『希望のゆくえ』寺地はるな(新潮社2020/3/25)


「弟が放火犯の疑いがある女と姿を消したらしい」と母から連絡があった。僕は弟と交流があった人に会いに行ったが、弟の印象はそれぞれ全く異なっていた。弟はどういう人間だったのか。誰のために生きてきたのか。僕達の声は弟に届くのだろうか。人生の希望とは何なのか。

・こちらがなにも訊ねていないうちから、妙に言い訳がましかった。
「ほんとよ」と幾度も念を押すので、嘘だとわかった P6

・べつに秘密にするようなことでもなんでもない。
ことさらに声をひそめるから、秘密になる。
秘密の共有は距離を縮める P25




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