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言葉の宝箱 0472【いじめた記憶は忘れてしまうけど、いじめられた記憶はいつまでも残る】

『市立ノアの方舟』佐藤青南(祥伝社2016/4/20)


野亜市役所職員の磯貝健吾は突然の人事異動で廃園が噂される市立動物園の園長を命じられた。着任早々、飼育員たちから“腰掛けの素人園長”の烙印を押されて挫けそうになった彼を立ち直らせてくれたのは一人娘が描いたゾウの絵。そこに描かれていたのは健吾が子供の頃に見たゾウそのもの。それを見た磯貝は存続に向けて園を立て直す決意を固め、まず動物園のことを知る努力を始める。やがて見えてきたのは動物たちが抱える様々な問題とくせ者揃いの飼育員たちの熱く一途な想い。帰る場所のない動物たちを守れるのは僕たちしかいない。動物園のお仕事小説。
『アジアゾウの憂鬱』『気まぐれホッキョクグマ』『恋するフラミンゴ』『市立ノアの方舟』の4話


・どんなに根拠に乏しくても、
大丈夫と言い切ってくれる存在の心強さ P30

・潔くないなあ。
いっそ開き直ったほうが楽だと思うよ P30

・子供のヒーローでいられるお父さんって、
世の中そんなにいないんじゃない P34

・中のことばかり気にして外に意識を向けないから、
大事なことを見過ごすんだ P81

・答えを知っているから楽しいんじゃありません。
知らないから楽しみなんです P161

・人の考えは、変えようとして変えられるものではないからね P241

・持っていないものばかり気にして、
自分がどんなに素晴らしいものを持っているのか、
気づいていなかった P287

・気休めは大事です。現実はそう簡単に変わらない。
だから見方や解釈を変えて自分を肯定してやらないと、
生きるのがつらくなる(略)
いじめというのは、そもそも人間だけの問題ではありません。
群れを作って生活する動物というのは、
しばしばいじめをするものなんです(略)
生存本能のなせる業です。
動物が群れを作るのは、捕食される可能性を低くするのが目的です。
大勢集まれば天敵への威嚇にもなるし、
天敵を早く発見することもできます。
ですが、そういうとき、逃げ足の遅い個体が捕まってくれれば――
つまり生贄になってくれれば、自分は助かることができる。
だからあらかじめ誰かを攻撃して弱らせ、
逃げ足の遅い個体を作っておくんです(略)
理性で本能を抑えてこそ人間だと、個人的には思います。
いじめは絶対に許せない。
ですが実際問題、大人の間でもいじめが存在するのに、
自我が発展途上の子供同士のコミュニティーでその意識を徹底させるのは、なかなか容易ではないと思います。
少なくとも大人が介入していじめっ子を諭したところで、
ぜったいに納得することはない P320

・いじめた記憶は忘れてしまうけど、
いじめられた記憶はいつまでも残る P323

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