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言葉の宝箱 0449【貧困はさみしさにつながっています】

『明日の食卓』椰月美智子(角川書店2016/8/31)


静岡在住専業主婦の石橋あすみ36歳、
夫、太一は東京に勤務するサラリーマン、息子優8歳。
神奈川在住フリーライターの石橋留美子43歳、
夫、豊はフリーカメラマン、息子悠宇8歳。
大阪在住シングルマザーの石橋加奈30歳、
離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日、息子勇8歳。

それぞれが息子のユウを育てながら忙しい日々を送っていた。
辛いことも多いけど、幸せな家庭のはずだった。
しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。
無意識に子どもに向いてしまう苛立ちと怒り。
果たして3つの石橋家の行き着く果ては。

これは試練なのだと思う。
乗り越えてこそ本当の家族になっていくのだ。

著者はインタビューにこう応えている
「何があっても子どもに暴力をふるってはいけないという世の中ですが、
制御不可能な男児二人の子育てをしていると、
どうしても手が出てしまうことがあります。
もちろん、子どもに手をあげるのはいけないことですが、
感情が先走ってしまうこともあると思うのです。
そんなふうに感じたのが本作執筆のきっかけです。
怒りの感情に任せて取り返しのつかないことになったとしても、
時間は取り戻せません。
一歩間違えたら、自分も同じだったかもしれないと感じるお母さんも
少なからずいると思います。私はまさにそうでした。
ラストを書きながら、涙があふれて仕方がなかったです」


・嘘なんてついてないよ。ただ、ママ好みにしてあげただけ(略)
演技ってほどじゃないよ。
だってママだって、パパにこうしたら好かれるとか、
ここまで言ったらアウトだとか、
おばあちゃんに嫌われない許容範囲はどこまでか?
とかいろいろ考えて行動してるわけでしょ。
みんなある程度計算して、人間関係を作ってるんじゃない?
人は誰だってペルソナがあるんだから P161

・救える命があるんやったら?
ほんの少しの可能性に賭けたいんです。
助けを求めている子どもの声をちゃんと聴いてあげたいんです(略)
子どもの命を守るんですから、大変に決まってるやないですか(略)
あきらめたらそこで終わりです。
子どもを守ることも同じです。
あきらめたところで、その子は死にます P274

・いつかの夢のための最初の小さな一歩 P281

・貧困はさみしさにつながっています P282

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