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「Fate」を楽しむには、まず円卓の騎士を知るべし
今回は、「Fate/GrandOrder神聖円卓領域キャメロット」について書こうと思う。
意外と、「Fate」ファンの間でも微妙な扱いをされてる本作。
結構、面白いのに。
そもそも「GrandOrder」シリーズのアニメ化については
①特異点F<2004年冬木市>
⇒2016年「FirstOrder」アニメ化
②第一特異点<15世紀フランス>
⇒未アニメ化
③第二特異点<1世紀ローマ帝国>
⇒未アニメ化
④第三特異点<16世紀カリブ海>
⇒未アニメ化
⑤第四特異点<19世紀ロンドン>
⇒未アニメ化
⑥第五特異点<18世紀北米>
⇒未アニメ化
⑦第六特異点<13世紀エルサレム>
⇒2020年「神聖円卓領域キャメロット」アニメ化
⑧第七特異点<紀元前2600年バビロニア>
⇒2019年「絶対魔獣戦線バビロニア」アニメ化
⑨終局特異点<2016年冠位時間神殿>
⇒2021年「終局特異点冠位時間神殿ソロモン」アニメ化
という流れになってて、つまり「第一」~「第五」はアニメ化されてないんだ。
何でごっそり省略しちゃったのか、そのへんの事情は知らん。
ただ少し妙だと思うのが、アニメ化の順番が
特異点F(プロローグ)⇒第七特異点⇒第六特異点⇒終局特異点(決着)
という流れになってて、「第六」、つまり「キャメロット」のところだけが時系列でいうと少し戻る形でアニメ化されたのよ。
なんか、すっきりしない形だと思わない?
しかも、
第七特異点⇒制作/CloverWorks
第六特異点⇒制作/Production.IG
終局特異点⇒制作/CloverWorks
という制作体制にもなっていて、「第六」のところで流れが分断されてるし、ここだけ妙な異物感があるのさ。
・・いや、だからこそ、私はこの「第六」に一種のプレミア感のようなものを感じてるんだけど。
大体、あの黄瀬和哉さんが「Fate」のキャラを描いたってこと自体、妙に笑えないか(笑)?
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でも私、この章がめっちゃ好きなのよ。
「第七」や「終局」より好きかも。
私が思うに、この「Fate」シリーズの原作者・奈須きのこ先生は、めっちゃアーサー王のことが好きだよね。
それは作中、数多くの英霊(歴史上の英雄の霊)たちが召喚されてる中でもアーサー王(セイバー)の扱いだけはどう考えても別格だから。
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奈須先生は1973年生まれゆえ、多分だが子供の頃にこれ↓↓を見て育った世代じゃないだろうか?
「円卓の騎士物語 燃えろアーサー」(1979年~)
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そう、この世代の人間は「燃えろアーサー」を見てるだけに、他世代よりもアーサー王、および円卓の騎士関連の知識にめっちゃ強いのよ(笑)。
で、奈須先生の悪いクセは、自分が知ってる知識を視聴者も当然知ってるという前提でシナリオを書いちゃうところさ。
・・いやいや、我々は英国人じゃないんだし、そこまでアーサー王のことは知らんぞ?
世界史の授業でもそんなに扱わないし・・。
ただ、この「神聖円卓領域キャメロット」をちゃんと楽しむには、ある程度アーサー王関連の知識を備えてないと「??」となると思う。
よって、その<最低限度の知識>をこれから説明しますね。
<アーサー王>
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本作においてはラスボス(悪役)である。
彼女(彼?)がラスボスを担うのは①の「特異点F」以来で、実は二度目。
この人、本来は高潔で善い人なんだけど、結構頻繁にバグります(笑)。
そして聖剣エクスカリバーの所有者であり、その聖剣とは
・剣そのものに魔力があって、何でも斬れる
・鞘にも魔力があり、所有者が傷を負っても死なない不死身になる効果あり
・これの元の所有者は湖の乙女(アーサーの死後は湖に返す必要あり)
とされている。
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ちなみに彼女はケルト人で、現在の英国の王の祖ではない。
というか、現在の英国はケルト人を駆逐して成立した国であり、いうなればアーサー王は「先住民族の王」といったところか?
「アーサー王伝説」では彼女がブリテン全土を制圧したことになってるが、これは史実として正しくない完全な虚構。
というか、アーサー王自体が特定の個人というわけじゃなく、複数の人物の伝説が集約されたシンボル的キャラなわけで、日本でいうとヤマトタケルのようなものだろう。
<ランスロット>
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円卓の騎士の中でも最強と謳われる人物。
忠臣だが、「アーサー王伝説」ではアーサーの后グィネヴィアと不倫関係となり、その結果アーサー王vsランスロットの戦争となる(後に和睦)。
一方でグィネヴィア以外の女性(妻ではない)との間に子供がおり、それが円卓の騎士のひとり、ガラハッド。
で、その英霊が憑いたのが、この子ということだね↓↓
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<ガウェイン>
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円卓の騎士の中でもリーダー格のひとり。
朝~正午が通常の3倍の強さになるというワケ分からん設定の騎士。
もともとはランスロットと大の親友だったんだけど、例の不倫に端を発した戦争にて彼はランスロットに兄弟を殺されており、以降、その怨恨をずっと引きずっている。
<トリスタン>
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歌劇「トリスタンとイゾルデ」でも知られる騎士。
竪琴が得意。
晩年は叔父の后との不倫でぐっちゃぐっちゃになった薄幸系の人物であり、そういう意味ではランスロットのキャラにやや近い。
<アグラヴェイン>
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「アーサー王伝説」の中では比較的悪役っぽく描かれることが多い騎士で、もともと、円卓を瓦解させたランスロットの不倫摘発は彼が発端である。
一説には、彼が円卓筆頭格であるランスロットを引きずり下ろしたかった、という話も・・。
知能派で、策を弄するタイプといえよう。
<モードレッド>
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アーサーの実子。
ただ、アーサー王と彼の異父姉との間にできた子だけに、「不義の子」ともいえるだろう。
ゆえに、王に愛されて育ったとも思えないので、あるいは歪んだファザコンだった可能性は高い。
激情家。
晩年、アーサー王に反旗を翻して戦争を仕掛け、結果アーサーとの一騎打ちに敗れて死亡。
ただし、アーサーにも致命傷を与え、これがもとでアーサーもまた死ぬ。
<ベディヴィエール>
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本作の主人公。
円卓の騎士の中でも特に忠義に厚い人物で、アーサー王の臨終を看取ったともいわれている人物。
特徴は隻腕なんだけど、本作では両腕がある。
奈須先生的に「右腕があることの違和感に気付いてね」という伏線のつもりだったんだろう。
ちなみに「アーサー王伝説」では、彼がエクスカリバーを湖の乙女に返したとされている。
はい、こうして見ると円卓の騎士って、みんな結構複雑なバックボーンでしょ?
多分このへんの予備知識がないことには、この章って全然面白くないと思うのよ。
円卓の騎士ってさ、晩年はランスロットvsアーサー王、モードレッドvsアーサー王という感じで、完全に内輪モメによる自滅だったわけでしょ。
作中、忠義忠義と皆やかましく言ってるんだけど、これもめちゃくちゃ皮肉な構造だと思わない?
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で、アーサー王がその生涯でやろうとしたことは、ブリテン島の統一もさることながら、実はあともうひとつ、それは「聖杯の探索」だったとされてるんだよね。
そう、アーサー王とは、「Fate」のコンセプトそのものなのさ。
そして「アーサー王伝説」においては、その念願の聖杯に辿り着けた円卓の騎士というのが、他ならぬこの人である↓↓
円卓の騎士13人目ギャラハッド(マシュ)
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考えてみれば、彼女の持つ宝具は「ロードキャメロット(円卓の騎士が集う城)」で、どう考えても彼女に憑いた英霊(ずっと謎にされてきたが)は、円卓絡みだというのはとっくにバレバレだったんだよね(笑)。
で、案の定、やはり聖杯に最も所縁の深いギャラハッドでした。
しかし聖杯の本来の意味は、イエスキリストが「最後の晩餐」で使った杯のことでしょ?
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思えば、聖杯、聖槍など「Fate」ではキリスト関連アイテムが多数出てくるのに、これがなぜかイエスキリスト自身の英霊が出てこないのも不思議。
イエスってキャスターとしての力量なら、間違いなく全英霊の中でも最強だと思うんだけど・・。
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いや、イエスだけは<特別>扱いなのよ。
だって仮に、この世界が<神>の作った壮大なプログラムだとして、人間だろうが英霊だろうが全てプログラム、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)でしょ?
だけどイエスだけは<神>サイド、つまりNPCじゃなくプレイヤー。
それこそ、各時代の特異点に<レイシフト>する藤丸立香と同様、リアルに実在する存在といえるんです。
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仮にだけど、
神=人理継続保障機関(カルデア)
イエス(救世主)=マスター(藤丸立香)
という解釈をすれば、案外イエスという存在が我々にとっても非常に分かりやすくならないか?
と同時に、「Fate/GrandOrder」の構造もまた分かりやすくなると思う。
きっと、イエスにとっての特異点はレイシフトした西暦00年以降の数十年の中にあり、多分その中で何らかのクエストに取り組んでた、ということ。
もしも、彼が人理継続保障機関っぽいものに立脚した立場なのだとすれば、その起こした奇跡の数々にも一応の納得ができるよ。
だって、プログラムを操作してる側の人なんだから・・。
しかし変に悪目立ちしてしまい、「こいつは普通の人間じゃない」とバレて不慮にログアウトしちゃったというオチだね。
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さて、一方で藤丸立香はイエスみたいに不慮のログアウトをする的なミスもなく、見事「終局特異点」までクリアしたわけだが、
「その後、彼やマシュは何をしてるのか」
と気になってる人も多いだろう。
・・はい、実はそこもちゃんとアニメ化されてます。
じゃ、その一部だがご覧いただきましょう↓↓
・・あぁ、アーサー王も円卓の騎士たちも、皆ちゃんと健在だったんだね。
なお、このショートアニメ「藤丸立香はわからない」はYouTubeに無料動画全60話ありますので、お暇な人はタイトルを検索してご視聴ください。
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