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正しく呼吸すること

心と体を整える

今年のメインレースUTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)
UTMB® - Ultra Trail du Mont Blanc
距離:約171km/累積獲得標高:10,000mD+/制限時間:46時間30分

初の海外レース。レースまであと2週間と少しとなりました。
少しずつ体調を整えています。今回は心の話です。最近読んだ「弓と禅」について書きたいと思います。

「弓と禅」(オイゲン・ヘリゲル)

ドイツの哲学者オイゲン・ヘリゲルによる1948年の書籍。
1920年代に日本に滞在していたときの弓道を学んだ経験について書かれています。1940年代後半から1950年代にかけて、西洋の人々に禅を紹介した本でもあります。

ヘリゲルの師は、宮城県生まれの阿波研造。「人間学を修める行としての弓」を追求し続けた方。
日本には、「道」の付く、華道・茶道・剣道・弓道・柔道などがありますが、どれも深く習った経験のないものだったのでとても興味深いストーリーと言葉がありました。

師の言葉/禅の精神

「それができないのは、あなたは肺で呼吸し、正しく呼吸をしていないからです。息を吸った後、息を静かに押し下げなさい。腹壁が程々に張るようになると、少しの間保ちなさい。それからできるだけ長く同じ調子で息を吐きなさい。少し休んで、勢いよく空気を吸います。息を吐いたり吸ったりするリズムは次第に自然に決まってきます。呼吸が正しくできるようになれば、弓を射るのが日に日に楽になることに気づくでしょう。この呼吸法によって、あなたはすべての精神的な力の根源(丹田)を発見するのみならず、力を抜けばそれだけ、この源泉力が豊かに流れ出し、より容易に四股に注がれるようになるでしょう。」

「あなたは呼吸をするほかに何もしないで、ひたすら呼吸することに集中しなさい」

「あなたの欠点は、まさにあなたがそうのように立派な『意志』を持っていることです。あなたは、ちょうどよいときだと『感じ』『考え』たときに、矢をすばやく射放そうと『意欲』され、意図的に右手を開いています。つまりそのことを意識しています。あなたは『無心』であることを学ばねばなりまえん。射が自然に離れるまで、待たねばなりません」

弓と禅 オリゲン・ヘリゲル

武士道的な精神を理解する日本人には入りやすい内容も、西洋の人には特に理解することが難しかったとのことです。
「呼吸に集中すること」。『意志・意欲・考え』をもつことではなく『無心』であることが必要とのこと。稽古を何度も何度も重ね、無意識下で行動を行い、頭は無にするということでしょうか。書くことは簡単ですが、実践することはとても難しい。

そして、弓道と禅との間にはつながりがある。

中国唐代の禅僧、馬祖が説いた「平常心是道」のように、禅は平常心。
長年の道の訓練により自己を忘れること(無心)

情報があふれ、忙しくしている現代。
「単純でありながら生きる源である呼吸に集中し、自己から放れ無心となること」
とても大切なことのように思います。

その道を究めた人の言葉には、何かがあると思います。
少しずつ呼吸法、実践してみたいと思います。

新訳 弓と禅 付・「武士道的な弓道」講演録 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫) | オイゲン・ヘリゲル, 魚住 孝至 |本 | 通販 | Amazon



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