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【読書】総理の夫

私は両親に苦手意識を持っている。金銭的に不自由しない家に生まれ、習い事もし、兄妹と遊びながら育ってきた。
ごく一般的な家庭に育っている自覚はある。

しかし。
いつからか、両親に対して苦手意識を持つようになった。
こういうところが嫌いとか、怒られたことが気にくわないとか、喧嘩したとか、そいうことは全くない。
ただ純粋に、1人の人間として、両親がなんとなく苦手だ。
私の中の家族の枠組みから、半分はみ出している。

そんな価値観を持っているからか、私は結婚したいと思ったことがない。母親になりたいと思ったこともない。

けれどもこの本を読んで、日本初の女性総理大臣・凛子さんとその夫・日和さんの関係を見て、「結婚する」ということは大変に良いものなんだと思った。


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日和さんは言う。

だって君がいいと思ってやろうとしていることは、いいことに決まってるだろうから。少なくとも、君と僕にとっては。

そして凛子さんもまた、自分の夫を

「私の夫は、そんな人ではありません。たとえ世界中が敵になったとしても、私のそばについていてくれる人ですから。」私の夫は、何があろうと、私のそばから一歩も動きません。出会った時から、いままで、ずっと。

と表す。

この2人の関係を読んでいくうちに、結婚とは「私はこの先何十年間、この人間を理解しようとし続け、受け入れようとし続け、理解してもらえるように努め、離れずに一緒にいます」という宣誓なのだと思った。
「離れる」という選択肢を排除する儀式なんだな。

この2人はあくまでも物語で、実際の結婚にどれぐらいの重みがあって覚悟がいることなのか私は知らない。
けれど、いつかそう思える人に巡り会って「結婚」というものを経験してみたいなと思った。
一生コミュニケーションをとり続ける相手を選ぶ、その価値はきっと結婚した人にしか味わえないものなんだろう。

そう考えると、結婚した人が偉い風潮があることに少し納得がいく。

そして、なんとなく否定的だった結婚に対して、前向きになれた気がする。


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私はあと半年足らずで社会人になる。
働くことへの憧れや期待よりもまだ学生でいたい気持ちの方がずっとずっと強いのだけれど。
その時が来たら。凛子さんみたいに。
格好良くて綺麗で、困難を軽やかに片付ける働く女性になりたいと思う。

いつか私が結婚したくなる時が楽しみだ。



おわり。

追記:これを書いてから丸3年が経って、両親との関係はちょっと変化した。良くも悪くもお互い人間だよなあと達観しつつ、でも幼少期の私にもっと愛情をあげて欲しかったとも思ってしまう複雑な心。
そして、結婚への認識はこの本がベースだったんだと再発見。結婚したい相手もできたので、また読み返してみようかな。
最後に、「格好良くて綺麗な人になりたい」願望も変わってないけど、困難に出逢うと一旦イジイジする性根も変わってなくてつらい。