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2023

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2023年10月の記事一覧

noteも手記とも言えるが(エッセイ)

noteも手記とも言えるが(エッセイ)

退職が決まっているときに、それでもしっかりと仕事ができる人と、後は野となれ山となれとすっかり放り投げてしまう人がいる。私はまったくの後者で、残務にうんざりしながら消化試合をこなしている。こんな状況で仕事に身が入る気がしれない、と思い、そこにふと文学を見る。

体調改善セズ、寧ロ悪化セリ。咳止マラズ、呼吸苦シ。身体がしんどくて、言葉遣いも軍人の手記のようになる。いまでも軍人は手記をつけているのだろう

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慣れ(エッセイ)

慣れ(エッセイ)

高熱明け、1日ぶりに頭を洗って出勤する。結局昨日は一日中寝込んでいた。午前中は書籍の発送作業を済ませて、午後は作品開封など。夕方に久しぶりに少し本意気で営業。

昼食はほとんど摂らなかった。ゼリーにしようと思ったが良いものがなくヨーグルトにしたが美味しくなかった。いまはお腹は空いているが食欲はなく元気もない。ただ頭がスッキリしている。

無気力試合も板についてきて、なんとか時間をやり過ごせている。

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クリエイターズ・ファイル(エッセイ)

クリエイターズ・ファイル(エッセイ)

Netflixでロバート秋山の『クリエイターズ・ファイル』を観た。悪ふざけに信じられないほどの予算が注ぎ込まれて新鮮だった。そういえば恋人とお笑いを観たのは初めてで、喜んでもらえたのが嬉しかった。

昼ごろ、良品週間に行こうと計画しているうちに寒気がしてきて、結局寝込んでしまった。
臍から指五本分上のツボに灸を貼ったのがよくなかったか。恋人が帰って、その後体温は37.8℃まで上がった。布団を三枚重

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文学とは(エッセイ)

文学とは(エッセイ)

起きられるか心配でアラームを大きくしてしまい恋人を起こしてしまった。見送ってもらって阿佐ヶ谷から出勤する。すっかり寒くて、厚手のアウターを買ってよかった。身体を縮こめて歩く。

職場で読んでいる『存在の耐えられない軽さ』がなかなか面白い。海外文学はなんとなく敬遠していたが、「海外文学だからこそよりわかるのだ」ということをことばの学校で言っていて、手に取ってみたのだ。その感覚は少しわかった。

いま

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携帯ショップ(エッセイ)

携帯ショップ(エッセイ)

夜中に風呂で携帯ショップの来訪予約を入れて、起きてから行く。心の片隅で心配していた通り、ダメな店員に当たってしまい、15分ほどで退店した。時間をムダにしてしまったと呟きながら隣駅に移動する。

昼食を摂って気分を落ち着けて、今度はヨドバシカメラにある携帯コーナーへ行く。覇気のある店員に声をかけられたので、そのまま話を進める。客=カネとして見られるほうが丁寧。赤いiPhoneをキャンペーンで買えた。

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忙しい一日(エッセイ)

忙しい一日(エッセイ)

朝、朝マックのモバイルオーダーが終了していて、久しぶりにレジで注文すると案の定間違えられる。不機嫌を押し殺す。

小説を4行ほど書き出してみて、すぐに止まってしまう。昨日の物語は昨日で終わってしまった。また一から探さなくてはならない。それがテーマなのか、トーンなのか。書き出しが降りてくるのを待つ。

芸人をやっている友人のライブがあり、新宿に行く。よしみで行く公演というはいつも損した気持ちになる気

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待ち合わせのすれ違い(エッセイ)

待ち合わせのすれ違い(エッセイ)

12時に担当顧客と待ち合わせをしたけれども来ず。時間潰しに恋人の展示を見に行く。どうにも納得がいっていないようで、今年は連れていってくれなかった。鰻屋で撮った写真がポートレイトに使われていた。

会社に戻り、読書で時間を潰して帰る。

マクドナルドに立ち寄り、小説のアイデアを考えてみる。ラフに人物を配置してみて、物語が動くか想像してみる。書けないときは書かない。勇気を持つ。

代表戦(エッセイ)

代表戦(エッセイ)

担当している作家が今日から個展を開くということで、午後に抜け出して挨拶に行く。着くと、10畳ほどの狭いギャラリーに人が詰まっていた。着物を着た作家が友人と立ち話で盛り上がっていた。手土産を渡し、早々に切り上げる。喫茶店で頬杖をつき、会社に戻る。

帰りの電車は10分ほど遅延していて、ホームが少し混んでいた。TVerで代表戦を観る。連携がぎごちないものの、ふとした折に強さが垣間見える。荻窪の手前で急

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小説 #16

小説 #16

バイト先や所属事務所など、田村の生活圏はおおよそ把握した。一週間もすれば、素人でも生活パターンは掴めるものだった。それくらい田村の暮らしは単調だった。芸人とはもっと不規則で自由なものだと思っていたので、少し拍子抜けした。

けれども、私が何をするべきなのか、それは依然としてわからなかった。おそらく彼と距離をつめるのは容易だった。彼には恋人がなく、異性に近づかれれば警戒しつつも惹かれるに違いない。

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ヤキソバ(エッセイ)

ヤキソバ(エッセイ)

同僚の弟が東京に来てて、仕事終わりに飲みに行った。初対面のその弟は兄に輪をかけて横柄だった。私たちの立ち上げる新会社について思いつきでアレコレと口出ししてきたが、探りを入れると大して詳しいわけでもなさそうだったので、特に取り合わなかった。

どうして催されたのかわからない不味い宴席だったが、途中からそれなりに適応してきて、なんとなく和やかになって帰った。帰りのコンビニで、居酒屋で注文しなかったヤキ

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ひものような(エッセイ)

ひものような(エッセイ)

気圧が低くて起きられず、11時起床。彼女に謝ってばかりだ。やっと起きて、作ってもらったポタージュを一緒に食べて、遅番の彼女と一緒に出勤する。ひものような暮らしだ。

会社はほんとうに何もすることがない。自分から働きかけなければ何もない仕事だとつくづく痛感する。雑談もせず。

マクドナルドで小説を書き始めるが、途中でやめる。下痢をして、そのあと寒気がした。面白くなる気がしないので引き上げる。3日ぶり

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傘(エッセイ)

傘(エッセイ)

8時のアラームで恋人が先に目覚めた。私は重い頭を引きずって10時過ぎまで起きられなかった。外は冷たい雨で、いつのまにか寒さに耐える季節になっていた。

恋人のセーターを借りて、駅前の喫茶店に行った。前々から行こうと計画していたその喫茶店は、意外にも常連らしき老人たちで満席だった。手書きのメニューがカオティックで、物好きが愛しそうな雰囲気だった。軽食のボリュームが多いのが昔ながらだった。

秋冬のア

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理不尽(エッセイ)

理不尽(エッセイ)

上司が午前中に雑用を入れてくれて、10:30起床。銀座で雑用を済ませて、12時に出社。18:30まで働いた。

会社内で理不尽が多すぎて、ついに誰も仕事をしなくなってしまった。2ヶ月前には予想だにしなかった事態だ。契約をもう何週間も取っていないので、さすがに少しは取ろうと叱られた。私にはその「少し」という匙加減がわからなかった。

小説を書こうとマクドナルドに寄ったが、Twitterでみたジャニー

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眠らなければ目覚めることもない(エッセイ)

眠らなければ目覚めることもない(エッセイ)

9時半起床、会社に欠勤の連絡を入れる。予想通り胃痛がひどかった。30分ほどで彼女が起きる。「絶対に病院行ってくださいね」と念押しされて、生返事で答えた。また寝て13時再起床。

荻窪の消化器内科は意外と混んでいた。14時に受付を済ませると、待合室でジャニーズ事務所の会見が流されていた。ずいぶんと事務所側に理不尽な着地になったように思えたが、人気商売とはそういうものなのかもしれない。ストレスと診断さ

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