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傘(エッセイ)
8時のアラームで恋人が先に目覚めた。私は重い頭を引きずって10時過ぎまで起きられなかった。外は冷たい雨で、いつのまにか寒さに耐える季節になっていた。
恋人のセーターを借りて、駅前の喫茶店に行った。前々から行こうと計画していたその喫茶店は、意外にも常連らしき老人たちで満席だった。手書きのメニューがカオティックで、物好きが愛しそうな雰囲気だった。軽食のボリュームが多いのが昔ながらだった。
秋冬のアウターを探しに高円寺の古着屋を巡った。思えば一緒に洋服を買いに行くのは初めてだった。恋人が傘立ての傘を盗まれて、珍しくかっかと怒っていた。私がいなかったらどうやって気持ちを処理しただろう。
傘を買いに行く途中、老人が横断歩道で落とした一万円札を拾ってあげていた。私には拾えただろうかと恥ずかしくなった。Netflixでドラマを見た。