嗚呼、郷愁の朝ごはん
昔からずっと「こうだった」食卓。
駐在員だった当時、お盆と正月の一時帰国で、一年に一週間ほど実家に帰れた頃、普通に「こうだった」食卓が「すごい」食卓だと気づきました。
実家の常備菜を駆使したヘルシーで豊富な母の朝ごはん。
桜同様、日本の全てが美しく愛おしく思えた光景の際たるものが実家の食卓でした。
所狭しと並べられた新鮮野菜で作った常備菜が、余りにフォトジェニックに思えて、イヤな顔をする母を尻目に私は夢中で写真を撮りました。
この朝ごはんの在り方は、いつでも私の目指すところでした。
この記事は、「拝啓 あんこぼーろ」さんのこの企画に参加致します。
亡き母が何十年と作り続けてくれた食卓。
家族みんなで正座して食べる食卓は、毎日毎食食べても「飽き」とは全く無関係の所に位置する、美味しく美しく、愛情のこもった料理でした。
色んな予定で昼ごはんや夜ご飯を家で食べられない日も、朝ごはんだけは、かなりの高確率で家ごはんです。
この愛の結晶のような我が家の食卓が、少しも当たり前じゃないと知ったのは、自分が結婚してから。
私が嫁いだ先は「朝ごはんは家で作らなくてもいい」文化の香港でした。
ここはだいぶ昔から共働きなので、女性は朝ごはんを作らず、それぞれ出勤先の近くで朝ごはんを食べるというスタイルが基本です。
香港の朝ごはん(外食)は基本、活力チャージなので炭水化物とタンパク質で出来ています。この野菜ゼロ感!(注:この2枚の写真は外食の朝ごはんです)
缶詰と加工肉を駆使。
これじゃあイカン!私達の健康を作るのは私の仕事よ🔥とばかりに頑張ろうとはしたものの
旦那Kからは、こんなワケのわからない事を言われるので、それでも外で食べるよりは栄養バランスのいい朝ごはんを作ろうと努力。
でも、どうやらKは朝から野菜とか食べたくないらしい。外では出前一丁の朝ごはんをがっつり食べるクセに、私の朝ごはんは「朝からこんなに食べられるか」とか言いやがります。
そして言われるがまま、香港の定番朝ごはんスタイルに。
叉焼包(冷凍食品)や(でも、フルーツ!)
スパ玉サンドや(でもフルーツとニンジンカボチャスープ)
スープマカロニや(でも野菜を入り豆乳スープとバナナ)
練乳シナモントースト・・・。
実家の色とりどりの食卓は頭にあれど、思い通りにゃいきません。旦那の口に合う努力はすれども、私の心にある思いは一つ。
は~あ、和食の朝ごはん食べたいな~。
今日も私は、あの日(自立前家族みんなで食卓を囲んでいた20年余り)、あの味(母が作ってくれた物全て)を忘れたくなくて思い起こします。