なぜあの人は第一印象が良いの?改めて考える「名前」のチカラ
「◯◯さん、◯◯さん!お久しぶりです!」
社会人になって初めに尊敬した先輩が仕事でよくやっていたのが、この話し方でした。簡単に言うと「名前の連呼」です。口癖のように、名前を必ず2回言ってました。明るいキャラクターと、この「名前の連呼」が相まって、たくさんの方から信頼を得ていました。その先輩は若かったですが、早い段階でマネージャーのポジションにおり、仕事のデキる人でした。
最近、会話の中でよく名前を連呼する人と出会い、当時の先輩を思い出しました。この方もとても印象が良かったです。
そこで、改めて「名前」が持つチカラについて考えてみます。
人が一番好きな言葉
なぜ名前を呼ばれると気持ちが良いのでしょうか。心理学的に人間が一番心地よいと感じる言葉は「自分の名前」だそうです。
名前は自分のアイデンティティの象徴。無意識下で自分の分身のように感じています。
同じ名前の人に対して好印象を抱いたり、自分の名前にある文字が入っている商品を好んだり、こうした経験は誰もが一度はあるのではないでしょうか。
そして、相手の名前を呼ぶことは「相手の心を開くきっかけ」にもなります。「人たらし」「愛されキャラ」など、コミュニケーションが上手な人は実はこの名前のチカラを上手に活用していたりします。
好意の返報性というメリット
名前を呼ぶ事でどんな効果があるのでしょうか。まず一つ目は「返報性の法則」が働くということです。
「返報性の法則」
人から何かしらの施しを受けたとき、「お返しをしなくては申し訳ない」というような気持ちになるという心理作用のこと。 この心理は、人間が本来持っている義理や人情のようなものが影響していると考えられる。
何か自分にしてもらうと相手にお返しをしなければ、と感じる心理法則のことです。実は、名前を呼ぶことでこの返報性の法則が働きます。名前を呼びかけることで、「この人は自分の名前を覚えてくれている」そして「自分に好意を抱いてくれている」と感じます。その結果、「自分への好意にお返ししないと」と感じ、相手もこちらに親切になったり、好意的になったりします。
この「好意の返報性」はコミュニケーション上、とてもプラスに働きますので、相手の名前を呼ぶのはとても効果的です。
名前から幸せホルモンが分泌
名前を呼ぶことで実はホルモンが分泌されます。「オキシトシン」という別名「幸せホルモン」、「思いやりホルモン」、「癒しホルモン」などとも言われるホルモンです。
「オキシトシン」はスキンシップやボディタッチで分泌されやすいホルモンで、信頼や愛情、幸福感との関係に注目されているホルモンです。
このホルモンが分泌されることで、以下のような効果が期待されます。
・ 幸せな気分になれる
・ ストレスが緩和される
・ 不安や恐怖心が減る
・ 信頼の気持ちが高まる
・ 社交的になる
さらに名前を呼ぶことで、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が減少するという実験結果もあります。
つまり、名前を呼ぶことで、幸せホルモンは増え、ストレスホルモンが減るという素晴らしい効果があるということです。これは名前を呼ばない手はありませんね。
ちなみに、お子様のいるご家庭で、家族間で「パパ」「ママ」と呼び合っている夫婦は多いと思いますが、実は名前で呼び合っている夫婦の方が、夫婦間の満足感が高いとの研究結果もあります。
まとめ
コミュニケーション上手な人は「名前」を上手く使っています。
冒頭でご紹介した先輩に当時聞いたのは「意図的に名前をたくさん呼んでいる。テクニックだよ」と話ていました。コミュニケーションの技術としてビジネスシーンだけでなく、プライベートでの人間関係づくりにも有効な手法です。
名前を呼ぶことは「ハグ」するのと同じ効果があり、幸せホルモンを分泌し、ストレスホルモンを低下させます。コミュニケーションをよりストレスなくヘルシーに行う上でぜひ活かしていきたいですね。
会話の初めに名前を呼びかける、会話の最後に名前を添えながら感謝を伝えるなど、会話の中に相手の名前をスムーズに入れて行きましょう。
ネームコーリングはコミュニケーションの技術です。自分の好意をシンプルに伝える手法として、上手に活用して行けたら良いですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。