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夜兎烏 Night Rabbit Crow
2020年7月16日 21:59
強い風に帽子を押さえる。 そこから見える景色は、少女の住んでいた国とは全く違っていた。「ーーキノコしかない」 色とりどりのキノコが森のように世界を覆っていた。 時折もくもくと煙をあげるキノコも見える。 少女はゴクリと生唾を飲み込むと、ボソリと口を開く。「ここが、ジャパン・・・・・・‼︎」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー140字小説です。 Twitt
2020年7月17日 18:58
歩き疲れた少女は、手頃なキノコに腰かける。 足元には網目状のキノコが生えていた。「ーー予約したホテルはどこにあるのかしら」 少女は事前に調べておいたホテルまでの経路を確認するが、地形が全く違っていた。 どうやら迷ってしまったようだった。「これが異国の洗礼というやつなのね」 たぶん違った。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー140字小説です。 Twit
2020年7月18日 21:29
ポツポツと降り出した雨はいつしか滝のような土砂降りに変わった。 真っ白なカサを広げたキノコの下で雨宿りをする少女は、ボーッとキノコの裏側を見つめていた。 規則正しい雨の音に紛れてグーと奇妙な音が聞こえる。 少女はここまで何も口にしていないことに気づく。「このキノコ、食べられるかしら?」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 140字小説です。 Twitterで毎
2020年7月19日 22:58
手頃なキノコを傘がわりに、少女は食料を求めて歩きだす。 周囲には見るからに毒々しいキノコもあれば、一見地味な見た目のものもあった。 ふと丸いキノコが目に留まる。「じーっ」 それは慣れ親しんだキノコに似ていた。「これ、見たことあるわ! シャンピニオンね!」 少女は未知のキノコに手を伸ばした。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 140字小説です。 Tw
2020年7月20日 20:24
雨上がりの澄んだ空気の中、少女はキノコを食べながら歩く。「モグモグーー?」 卵の殻のようなものから生えたキノコの影に何か動くものが見えた。「動物かしら?」 ジッと目をこらすと、どうやらそれは二足歩行する小さな生物だった。「ーーお肉食べたいわね」 生物は少女に気付くと一目散に逃げ出した。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 140字小説です。 Twit
2020年7月22日 07:04
少女は重い鞄を抱えて走った。「ちょっとまって!」 逃げる背中を追うが、見失ってしまった。 息を吐く少女の耳に話し声のようなものが聞こえて来る。 少女は目が冴えるような青いキノコの影から声の方向をそっと様子を伺う。 そこには色違いの生物の集団がいた。 少女は思わず唾を飲み込む。「増えてる!」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 140字小説です。 Tw
2020年7月23日 06:45
「巨人だー‼︎」 小さな生物は、少女に気付くとガクガクと震え出す。「ーーお肉が、喋った⁉︎」 少女は今更ながらその生物がこの世界の住人である可能性に思い至る。 なおも震える生物の警戒を解こうと少女は鞄からキノコを手渡す。「よかったら、食べる?」 生物は恐る恐る受けとる。「あなたが神か?」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 140字小説です。 Tw
2020年7月27日 19:06
「ここがあなた達のお家なの?」 質問に小人はボソッと応える。「飛びすぎ?」 小人はキノコの生えた同胞を横目に移動する。 辿り着いた場所には、キノコをくりぬいたような住居があった。「憧れのマイホーム!」 キラキラした笑顔の小人だが、少女には小さすぎた。「素敵なお家ね!」 少女は空気を読んだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 140字小説です。