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『死にたくなったら電話して』

 こんにちは、ニジマスです。タイトルは今回取り上げる本の名前です。僕が恐ろしいほど病んでいるわけでも、荒んでいるわけでもありません。たまに全てを投げ出して破滅したいような時もありますが、今がその時ではありませんので安心してください。(何を安心すればいいのかは知らんけど)

 今回は読んだ感想を書いていこうと思っているので、あらすじやどういう世界のお話なのかは割愛させて頂きます。逆に言えば感想しか書かないので、ネタバレは多分ないと思います。なので僕の感想を見て気になったという方が、本を手に取り読んでも差し支えないと思われます、多分。

本を手に取ろうと思ったきっかけ

 この本を知ったきっかけというものがありまして、それは僕が手に取った文庫版の帯でコメントを残している「にゃんたこ」さんという方なんです。     
文庫版と書きましたが実はこの本の発売日は2014年。約7年前になります。数年前に出た本が、最近になって文庫化することはよくあることですよね。にゃんたこさんはYoutubeに動画を投稿されている方なんですが、その方が「この本はヤバい」と紹介されていてずっと気になっていたんですよね。
 そしてつい最近の動画にて文庫本化したことと、にゃんたこさんが縁あって帯にコメントをするということをお話しされておりました。
 それを見た僕は是非とも読みたいと思い機会を伺っていると、近所の書店にて見事出会い購入し、先ほど読み終えました。なので感想は読みたてホヤホヤのものです。冷めないうちにお読みください。

 発売された当時のモノとなると、再版されていないと縁が無ければ中々出会えないのですが、文庫化されればより多くの人に手に取ってもらいやすくなりますよね。僕もより多くの人に深淵と虚無を覗いてもらいたいです。


読んだ感想

 僕は前評判から、この本を読んで気持ちをドロッドロにしたかった。しかし、僕が見た評判以上に読後感が凄まじかったです。こんなドロッドロでザラッザラになったのは初めてです。
 舞台が関西ということもあり、状況もイメージしやすいものでした。もしかすると関西の独特な地名駅名の読み方で、スラッと読めないこともないこともないかもしれません。ネタバレにならない程度に補足しておくと、十三じゅうそうと読みます。ちなみに目暮警部は、目暮十三(じゅうぞう)です。(14番目のターゲットで確認できます。)

 この本に出てくる登場人物に、まともな人間はいません。(まともだったが正しい言い方かもしれませんが。)
 そもそも人間自体に正当性を求めるということ自体が、もうまともではないのかもしれません。そう感じさせる内容でした。なんと言いますか、僕の脳内の貧相な語彙辞典からは上手く言葉を探すことは出来ないのですが、「人間は醜く愚かで汚くても世界は皮肉なほど綺麗」と感じました。そう、この世で醜く汚いのは人間なんです。だからなのか、人は壮大な自然の前では心が洗われたと言いがちですよね。(わからんでもないし、実際同じ反応をしてしまうけれど)

 読了後に、Twitter等のしょうもない言葉にもなっていないリプバトルを見ると、いつもよりちっぽけで空虚に思えます。そういう意味ではポジティブというか、所詮世の中なんてそんなもんだと割り切れって考えられるかもしれません。あくまでこれは僕の感想なので、他の人とは異なることもあるでしょう。ですが感想に正解などはありません。自分の思ったことをそのまま書けばいいのです。まぁそう言いつつ、周りの意見も見て参考にすることもあるんですが。

 後は人間に本当の善意なんて無いのかもと思わされました。僕は綺麗事は好きではありませんが、綺麗事は綺麗事と割り切ってあまり鵜吞みにしないようにしています。それ以上に綺麗事を執拗に毛ぎらう姿勢も好きではありません。今までは、この世に完璧で崇高な善意なんて存在しないのだから、別に偽善でもいいじゃない、と思っていました。しかし読了後では、それすらも虚無であり人に押し付けるものでは無いと感じさせられました。善意のつもりの偽善はおろか、割り切った偽善でさえ過ちなのではないか。これから素直に人が見れないかもしれません。元からそんな気もないんですけど。


まとめ

 この本は非常に邪悪で人の闇を最大限にして、人に感じさせるような本でした。巻末にも解説があるのですが、破滅すら破滅させてしまう。少し拗らせた高校生、大学生に読んでほしくもあり、読んでほしくないですね。
 ピュアな人はそのままピュアでいて。無理かもしれんけど。そんな感じ。多分この後読む本はさぞ綺麗に映るでしょう。

 日々破滅を望んで生に固執しない僕みたいな人には、是非破滅して頂きたい。

 では、良き読書......いや毒書ライフを_

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