![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/92943995/rectangle_large_type_2_a71eabbb59317cd0bddd780d52efa8d8.jpeg?width=1200)
アルコールと社会問題①~飲酒とメタボリックシンドローム~
私は最近、自炊することが多くなりました。
理由は、電気代と食料費の上昇です。
東京の場合、定食を店で食べると1,000円前後になることが多いです。
自炊は、煮物等は作り置きができるので、概算で500~750円/日の食費で済みますね。
私の好きな言葉をお届けします。
「予防は治療に勝る」
“Prevention is better than cure”
(貝原益軒)
Ⅰ メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満(※)に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します。
単に腹囲が大きいだけでは、メタボリックシンドロームにはあてはまりません。
※ 内臓脂肪型肥満
腹腔内の腸間膜などに脂肪が過剰に蓄積しているタイプの肥満で、下半身よりもウェストまわりが大きくなるその体型から「リンゴ型肥満」とも呼ばれます。
男性に多く見られるのも特徴です。
またBMIが25未満で、肥満ではないものの内臓脂肪が蓄積している場合もあり、俗に「隠れ肥満症」と呼ばれることがあります。
Ⅱ メタボリックシンドロームの診断基準
日本では、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。
ご自宅に直近の健康診断結果があれば確認してみてくださいね。
1. 必須項目
(内臓脂肪蓄積:内臓脂肪面積 男女ともに≥100cm2に相当)
ウエスト周囲径:男性 ≥ 85cm 女性 ≥ 90cm
(ウエスト径は立位・軽呼気時・臍レベルで測定する。脂肪蓄積が著明で臍が下方に偏位している場合は肋骨下縁と前上腸骨棘の中点の高さで測定する。)
2. 選択項目:3項目のうち2項目以上
(1)脂質
トリグリセライド(中性脂肪)
≥ 150mg/dL
かつ/または
HDLコレステロール
< 40mg/dL
(2)血圧
収縮期(最大)血圧
≥ 130mmHg
かつ/または
拡張期(最小)血圧
≥ 85mmHg
(3)血糖
空腹時高血糖
≥ 110mg/dL
※ 高トリグリセライド血症・低HDLコレステロール血症・高血圧・糖尿病に対する薬剤治療を受けている場合は、それぞれの項目に含める。
※ 糖尿病、高コレステロール血症の存在はメタボリックシンドロームの診断から除外されない。
Ⅲ アルコールは高エネルギー物質
メタボリックシンドロームの要素である肥満症・高血圧症・脂質異常症・高血糖(糖尿病)は生活習慣病といわれ、この4つの生活習慣病のいずれにも飲酒が影響します。
糖質ゼロを売りとした飲料が人気ですが、アルコール自体が1gで7kcalの高カロリー物質です。9%の缶チューハイ500mLのアルコール分だけで250kcalになります。ちなみに炭水化物は1gで4kcal、脂肪は9kcalです。
アルコールは酢酸からアセチルCoAになり、ミトコンドリアでエネルギーに変換されるだけでなく、脂肪酸やコレステロール合成にも使われます。
アルコール性脂肪肝にはアルコール自体から作られた中性脂肪も含まれます。
アルコール代謝でエネルギーを産生している間は、ほかの脂肪などの栄養素は使わずに蓄積されるため、多量飲酒者でビール腹になる人がいるのも理解できます。
多量に飲酒する男性で、1B型アルコール脱水素酵素の働きが弱い遺伝体質だと、アルコールが長時間体内に残り、お酒のエネルギーをゆっくり消費するため、より脂肪肝やビール腹になりやすいことも知られており、アルコール代謝酵素の遺伝子型も影響します。
肥満はお酒自体のカロリーだけでなく、つまみが脂っこいものであったり、アルコールによって食欲が亢進したりすることによっても起こります。
Ⅳ アルコールと生活習慣病
飲酒は少量から血圧を上昇させ、量が多くなるほど血圧上昇が起こりやすいことが知られています。そのため、飲酒量の増加とともに脳出血のリスクが上昇します。
脂質異常症との関連では、飲酒により中性脂肪が増加することがよく見られる現象です。その一方で、動脈硬化を抑制するHDLコレステロールも飲酒で増加する人が多く、一般的に中性脂肪とHDLコレステロールは片方が高いともう片方が低くなるというシーソーの関係があるので、どちらがより強く起きるかは飲酒量に加えて、遺伝的な個体差もあります。
糖尿病は少量飲酒で発症リスクが少し低く、多量飲酒でリスクが上昇する傾向があります。
カロリーオーバーだけでなく、アルコール性肝臓病あるいはすい臓(膵臓)のダメージでも糖尿病が発症・増悪します。
多量飲酒者では、食事療法・運動療法ともにおろそかになりやすく、糖尿病のコントロールも不良になりやすいのが一般的です。
Ⅴ 対策
厚生労働省の「健康日本21(第二次)」では、生活習慣病のリスクの高い飲酒量として、男性1日平均40g以上、女性20g以上とし、そのような飲酒者を減らすことを目標としています。
また一般的に、週に2日間程度の休肝日を入れることも推奨されます。
メタボリックシンドロームの考え方を活用した生活習慣病対策として行われている標準的な健診・保健指導プログラムのなかに、飲酒指導も組み込まれています。
生活習慣病のリスクを高める飲酒者に対しては、AUDITなどで飲酒状況の評価を行い、飲酒量を減らす簡単な介入の実施や、専門医に紹介すべきかどうか等を検討します。
AUDITとは、Alcohol Use Disorders Identification Test(アルコール使用障害特定テスト、通称オーディットAUDIT)というWHOが作成した問診票で、8-14点が危険な飲酒、15点以上がアルコール依存症疑いに分類されています。
参考資料:厚生労働省ホームページ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
![](https://assets.st-note.com/img/1670582922011-ER4zLh0a91.jpg)