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「はたらく細胞」から学ぶ細胞の役割

本日の言葉。


「予防は治療にまさる」
(エラスムス)


映画「はたらく細胞」について


昨年末、「はたらく細胞」という映画を見ました。

年末の夜にもかかわらず、上映会場はほぼ満杯でした。

前評判通り、映画はユーモアと感動にあふれた各年代が見ても楽しめる内容でした。

私が感心したのは、難しい細胞の世界を映画の登場人物で分かりやすく表現していることでした。

学生時代、テスト前に暗記しまくった時間は何だったのだろうと思いました。

その位、授業を聞いても細胞の世界はイメージが湧きにくかったのです。

なので、学校の授業を聞くより、「はたらく細胞」を見たほうがよっぽど勉強になるなあと思いました。


細胞とは?


ウイルスを除くすべての生物体の構成単位。

細胞は、外界と一枚の膜 (細胞膜) でさえぎられた構造をもち、分裂によって増殖します。

一個の細胞からなる単細胞生物と複数個の細胞からなる多細胞生物に分類されます。

人間は、およそ70兆個の細胞からなる多細胞生物です。


「はたらく細胞」主な登場キャラクターの役割


1  赤血球


赤血球は血液細胞の1つです。

ヘモグロビン(血色素)と呼ばれる鉄を含んだタンパク質をもっており、肺でヘモグロビンに酸素を結合させて全身に運ぶ役割があります。

また、全身で不要になった二酸化炭素を肺に運ぶことにも関わっています。

赤血球は骨髄でつくられ、血管の中で約120日間働いた後に脾臓で壊されます。

映画では、永野芽郁さん、板垣李光人さん、加藤諒さんが演じてましたね。

「酸素を運ばなくちゃ」と永野さんが酸素ボンベを運ぶ姿が印象的でした。


2  白血球


白血球は、血液に含まれる細胞の一種で、細菌や真菌(カビ)、ウイルスなどの病原体から体を守る役割があります。

白血球には好中球、リンパ球などいくつかの種類がありますが、中でもほとんどの割合を占め、重要な役割を果たすのが好中球です。

白血球が通常より少ない状態(白血球減少)になると、病原体に対する抵抗力が下がり、感染しやすくなります。

特に、白血球の中の好中球が500/μL未満になると、感染のリスクが非常に高くなります。

佐藤健さん演じる白血球は、あらゆる病原体を「ぶっ殺してやる」とナイフ1つで勇敢に戦っておりましたね。


3   マクロファージ

マクロファージ

マクロファージは、ほとんどすべての組織に存在し、また血液に乗って全身を循環し、病原体や死んだ細胞を食べて除去しています。

感染時のマクロファージは炎症性サイトカインと呼ばれるタンパク質を分泌し、他の免疫細胞を活性化して免疫反応を促進します。

さらに細胞膜にあるToll様受容体 (TLR) などの認識受容体によって細菌やウイルスの構成要素を検出することができます。

マクロファージは、研究段階ではまだ未解明な様々な役割があるそうです。

映画のマクロファージ先生(松本若菜さん)は聖女のようでしたけど、実際はハリネズミのような得体の知れないデカい大食い細胞のようです。


4  キラーT細胞


キラーT細胞は、細胞表面にCD8とT細胞受容体と呼ばれる分子を発現しているリンパ球の一種。

これらを介して細胞内寄生性病原体に感染した細胞やがん細胞を抗原特異的に認識することで活性化すると、標的細胞を殺傷する能力を持つエフェクターキラーT細胞へと分化します。

記憶キラーT細胞は、一部のエフェクターキラーT細胞が、標的細胞を殺傷する能力を維持したまま長期間生存可能な能力を獲得したキラーT細胞。

一度遭遇した特定の抗原を記憶し、再度同じ抗原に暴露されると迅速で効率の良い免疫応答を惹起します。

映画では、山本耕史さんがキラーT細胞のリーダー役を務めておりましたけど、実際のキラーT細胞も組織的に免疫機能高めて人間の身体を守る大事な役割を持っていますね。


5 NK(ナチュラルキラー)細胞



NK(ナチュラルキラー)細胞は、ほかの血球と同様に骨髄で産生されるリンパ球です。

NK細胞は常に血液のなかを巡回しており、細胞がウィルスに感染した初期の段階でいち早く応答します。

NK細胞は過去の記憶に頼るのではなく、ウイルス感染細胞に反応します。

NK細胞は自然免疫担当細胞として適応免疫が機能する前に駆けつけ、感染した細胞を破壊します。

映画では、NK細胞役の仲里依紗さんが、縦横無尽に体内ウィルスをやっつけてましたね。

NK細胞が能力を発揮する対象の1つが癌細胞です。

現代の医学においては、「免疫療法」と呼ばれるものですが、「効果が証明された免疫療法」で使用する主な薬は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ(ブレーキがかかるのを防ぐ)薬である「免疫チェックポイント阻害薬」です。


6 ヘルパーT細胞


ヘルパーT細胞は、異物として認識された病原体を間接的に攻撃します。

B細胞(病原体を排除する抗体を作る細胞)に抗原情報を伝えたり、キラーT細胞に攻撃命令を出したりします。

またヘルパーT細胞はさまざまなサイトカインによって他の免疫細胞とコミニュケーションし、数多くの免疫反応に影響を与えるので、「免疫の司令塔」と呼ばれます。

映画では、染谷将太さんがコーヒー(?)を飲みながら、マクロファージ先生とコミュニケーションを取り、キラーT細胞に攻撃指令を出していた場面がありましたね。


参考資料:国立がんセンターホームページ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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