見出し画像

唯一無二のブックレビューの書き方⑪

⑪続続続・「日記」とは? 旅人は反転した世界を歩く


前回までは「日記」の工程のひとつめである「経験を書く」についてお話をしました。
1つの物語に感動したということは、そこに共感があるのだということ、共感には様々なバリエーションがあること、共感することで自らを客観視することができるのだということをお伝えしてきました。

また、物語に共感し自身の人生と結びつけることを「物語を旅する」とし、それによって生まれた自分への客観的な視点を「旅人の目」と名付けました。

今回は、「旅人の目」によって自らを客観視するようになった旅人は人生が大きく変わってしまうというお話です。



【日記】②「感情」を書く

「日記」の工程のふたつめは、「感情を書く」です。
ブックレビューで感情を書く、というと「面白かった」「○○に感動した」など、本の内容そのものに対しての感想を書くことと思われるかもしれません。
ですが、唯一無二のブックレビューで書くべき感想は、自分の人生への感想です。
正確には「本を読んだことで、自分の人生への見方が、どう変わったか」を書いていただきたいと思うのです。

なぜ、本を読むと人生への見方が変わるのでしょうか。

おなじみ、Aさんの例です。

「唯一無二のブックレビューの書き方⑨」で、Aさんは、お見合いを断りまくるかぐや姫に対して「私に境遇は似ているけど、私よりずっとたくましい人だ」と感じ、「私も、かぐや姫のようになりたい」と思いました。

ここで、Aさんの人生は変化の色を帯び始めます。

これまでAさんは、親からの婚活へのプレッシャーに悶々としているだけの状態でした。
しかし『竹取物語』を読むことで、「婚活を重荷に感じている自身の現状」を、客観的に見ることができるようになったのです。
この客観的な視点が「旅人の目」であり、高度な自己分析となっていることは、前回お話したと思います。

また、Aさんは自己分析をした結果「うちの親も結婚しろってうるさいからさあ」と、自身の状況を言語化することにも成功しています。


注目したいのは、Aさんが『竹取物語』というストーリーを使って、自分の人生を「物語る」ようになったという点です。

ここで、世界が反転しているのです

今まで、「日記」の工程の1つ目である「経験を書く」というのは、「特に感動したシーンと重なる、自分の今までの人生経験」を書くことなのだとお伝えしてきました。
共感できるだけの経験が、自分の人生の中にあるからこそ感動できるのです。
自分の人生経験から、物語を解釈しているのです。

しかし、物語の解釈を突き詰めていくと、いつしか物語と人生の役割は逆転します。

かぐや姫の話をしていたはずのAさんは、いつの間にか自分の婚活の話を持ち出しています。
これは、Aさんが、かぐや姫と自分に「婚活を強制されている」という共通点を見出しているからです。
物語について語ることが、自分について語るきっかけになっているのです。

つまり、「自分の人生を使って、物語を解釈する」のではなく「物語を使って、自分の人生を解釈し直す」瞬間が訪れるのです。

物語によって、今までにない客観的な視点(旅人の目)で捉えるようになった自分の人生は、これまでとは違った色や形をしているはずです。

それまでは、あの出来事を○○だと思っていた、しかし改めて見方を変えてみると、実は△△だったことに気がついた……

旅人の目で人生を捉え直したとき、今までとは違った新しい解釈が生まれます。
すると、もはや今までの見方で人生を見ることはできなくなってしまいます。
これまでの人生が書き換えられてしまうのです。

次回は、Aさんを例に、どのように人生が書き換えられていくのかを見ていきましょう。

【結論】

Q.なぜ本を読むと、人生への見方が変わってしまうのか?

A.本を読み、物語と人生に共通点を見つけることで、自分に対し客観的な視点を持つことが出来る。客観的な視点は、高度な自己分析を行わせ、自身の状況を言語化することを助ける。状況の言語化は、物語を使って人生への新たな見方を提供する。

→⑫続続続続・「日記」とは? 旅人は来た道を戻れない

#木曜日のブックマーカー #ブックレビュー #書評 #読書感想文 #書き方 #ライティング #読書 #ラジオ #レビュー #本紹介 #編集 #編集力 #自己分析 #自分探し #アート #現代アート

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?