「「わかりやすさ」を疑え」を読んで
ニッポン放送アナウンサーの飯田浩司さんの著書『「わかりやすさ」を疑え』を読みました。
この本を手に取ったのは、普段からradikoなどで飯田アナウンサーの声を聞くことが多く、彼の政治や社会ニュースに対する深い知識と鋭い切り口にいつも感心していたからです。また、政治家のモノマネが非常に上手で、ユーモアな一面にも好感を持っていたことがきっかけです。
本書では、最近の新聞やテレビで報じられるニュースを例に挙げ、それぞれの表面的な伝え方によって、受け手である私たちがどれほど偏った考え方に影響されやすいのかについて、飯田さん自身が伝える側の立場としての反省も込めて書かれています。
ニュースを受け取る私たちは、地球の反対側で起きているような全く知らない出来事を除けば、ある程度の事前知識をもってニュースに接することが多いです。その事前知識が、たとえSNSで拡散されるデマや偏った政治的意見であったとしても、繰り返し接するうちに信じるに値する情報として脳内に定着してしまいます。
ステレオタイプな思考はそのように構築されるものですが、問題なのは、一度形成されたステレオタイプによってそのことを肯定する情報を自分自身が求めてしまうことです。そのため、視聴者ウケを狙ったニュース報道が偏った側をさらに後押しするような内容になりがちなのです。
私たちは、ニュースを目にするたびに「本当にそうなのか?」と疑う視点が必要ですが、情報が氾濫する時代において、全てに批評的な目を持ち続けるのは簡単ではありません。
では、どうすればいいのでしょうか?
私は、どの媒体で誰の言葉を信じるかの感度を磨くことが重要だと思います。最近、特にラジオが情報を得る媒体として優れていると感じるようになりました。テレビはスポンサーや炎上リスクの影響で出演者が大衆迎合的になりがちですし、時間の制限で大事な話が途中で切られることも多いです。その点、ラジオは忖度なくじっくりと話が聞けます。そんなわけで、ニッポン放送のいくつかの番組をよく聴くようになりました。
本書の中でも、第3章で触れる「就職氷河期時代」の部分は読んでいて心が痛かったです。私自身がその世代にあたることもあり、さまざまな思いがありますが、今は現役として戦っている最中ですので、前だけを向いて走り続けたいと思います。
本書は、多くのニュースに触れる上で持っておくべき視点を与えてくれる良書だと感じました。これからも「わかりやすさ」を鵜呑みにせず、自分の頭で考える習慣を持ち続けていきたいと思います。
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