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【明治神宮野球大会優勝】慶大エース・外丸投手の魅力 ~野球好きを唸らせる配球の味~
20日に行われた明治神宮野球大会の決勝戦。
慶応大対青山学院大の名門校同士の対決は、2対0で慶応大が勝利し、優勝を果たしました。
勝利の立役者となったのは、慶応のエース・外丸東眞投手(前橋育英高)の投球。
この日の最速は143㌔。決して球速が速いとはいえませんが、抜群の制球力と打者を困惑させる投球術に、外丸投手の魅力が詰まっていました。
まだ2年生の外丸投手。ドラフト候補に挙がるのは2025年になりますが、玄人好みの右腕から目が離せません。
今回は、決勝戦の投球を振り返り、外丸投手の良さを書いていきます。
強打者揃いの青学打線に対し・・・
楽天からドラフト6位指名を受けた中島大輔選手、大学日本代表候補に名を連ねる佐々木泰選手、西川史礁選手、渡部海捕手、2025年ドラフト候補の小田康一郎選手と、強打者揃いの青山学院打線。
無失点に抑えることは容易ではなく、ビッグイニングを作らせないことがポイントになると試合前に考えていましたが、外丸投手は完封勝利を収めました。
青山学院打線が積極的に打ちに来ていたとはいえ、9回を投げて球数116球。9つの三振も奪い、ほぼ完璧と言っていい投球をみせました。
その要因は、上位打線に対する配球だと考えています。
1巡目は変化球主体
中島選手、佐々木選手、小田選手、西川選手と並ぶ上位打線。
注目の初対戦は、スライダーを中心とした変化球主体の組み立て。
4人に対して計9球を投じましたが、直球は3球だけ。
今大会打率1割台と低迷する小田選手に対しては直球で攻めましたが、他の3人に対してはスライダーを多投しました。
立ち上がりということもあってか、慎重で丁寧な投球をみせました。
2巡目・3巡目は異なる配球
2回目の対戦は、直球を主体に勝負。
4人に対して計11球を投じ、直球は8球。7割以上を直球が占めました。
球速は130㌔中盤でしたが、4番・西川選手を詰まらせるなど、力で押してきました。
3回目の対戦は、計13球を投じたうち、直球は5球。
ここも小田選手以外に対して、変化球主体の投球に戻してきました。
そして、味方が得点を奪って試合が動いた後の8回裏。打順は1番・中島選手から。
勝敗を左右する重要なイニングで、外丸投手の良さが発揮されます。
優位に立ち続けた要因
勝負球のスライダーを狂うことなく制球し、ピンチを作るどころか9球で抑えた外丸投手。
早打ちの中島選手に対しては変化球、佐々木選手には安打を打たれましたが、小田選手には徹底して直球、西川選手に対してはスライダー。
抜群の制球力がこの試合の総仕上げを可能にし、完封勝利へと繋げました。
特にクリーンナップの小田選手、西川選手に対してカーブを1球も投じず、最後まで外丸投手が優位に立ち続けた要因の1つだと感じました。
女房役の宮崎恭輔捕手の配球、それに応える外丸投手の制球力が、打者を困惑させる玄人好みの投球を演出したと考えています。
魅力的な三振の奪い方
また、外丸投手の面白いところは、9回の最後の打者に対して投じた直球がこの日の最高球速を記録したことです。
力を振り絞ったのか、それともまだ余力が残っていたのか。
こればかりは本人に聞いてみないと分かりませんが、相手を絶望に突き落とすには十分すぎる1球でした。
9つ三振を奪ったうち、勝負球のスライダーで奪ったのが6つ(スリーバント失敗含む)。全て5回以降に奪ったものです。
試合序盤に奪った3つの三振は、全て直球を勝負球にしていました。
野球好きを唸らせる、外丸投手の見事な投球だと言えるのではないでしょうか。
【参考サイト】