神保町で出会う

久しぶりに訪れた神保町で『清朝の王女に生れて』という本を購入した。

この日は、1冊だけ買う!と決め、出かけていた。

私は、いつも神保町に行くと爆買いをし、翌日からの買い物をするお金がなくなり、後悔するのが常であった。

神保町には、本棚を1コーナーずつ個人に貸している不思議な本屋「passage」がある。そこで購入した。

本棚と本棚の間には関連性はない。棚ごとに店主が違うからで、その点が私の気に入っているところだ。面白い。

私が購入した店舗は、2階建てである。1階が一般向け、2階には専門的だが専門家だけを相手とはしない、「好きな人は好き」な本が並んでいる。

1階では、ピースの又吉直樹が部長を務める「第一芸人文芸部」が印象的だった。比較的薄い本だが、なんと1,000円。店主と自分の価値観の違いも魅力的だ。
2階は中国語、韓国語で書かれた書籍、哲学、投資入門、新書、絵本、漫画など多彩である。

うろうろしているうち、古い背表紙の力強いタイトルの文庫本に目が止まった。

『清朝の王女に生れて』愛新覚羅顕琦著

清朝八大親王の末の娘として生まれた愛新覚羅顕琦氏の激動の半生を綴った自伝本であった。

愛新覚羅顕琦氏は、「東洋のマタ・ハリ」と呼ばれ、スパイ容疑のため銃殺刑となった川島芳子の同腹の妹でもある人である。
川島芳子といえば、私が小学生の頃の愛読書にしていた『魔性のヒロイン』のエピソードにも出ていた男装の麗人である。

序章の著者と川島芳子とのやりとりはスリル満点だ。

今日の1冊は、迷いなくこちらの本にした。

今は序章、第1章までしか読んでいないが、王族であったが故の悲運、当時の王族の風習なども書かれており、興味深い。

読み進めるのがもったいなくて、お気に入りのクッキーを一枚一枚取り出すようにページをめくっている。

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