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9月10月のトマトが高い理由【八百屋から見た“食”no.36】

「びっっっっっっくりするくらいトマトが高い」とのニュースが駆け巡っています。※2023.10当時

戦争/肥料/輸入危機といろいろ理由をつけたがる人がいますが、現在のトマト高騰については単純な理由。

9月・10月は、1年で最もトマトが育たない期間。季節外れ・旬外れ。
またここ数年は猛暑のダメージが特に大きいです。

《夏トマトの収穫前進・成りづかれ》
7月-9月の夏トマトの収穫が猛暑で早まった。(10月まで収穫予定の)トマトの樹勢が弱まり、9月初旬から収穫/出荷/流通量が一気に落ちた。9月10月の気温低下・乾燥により実割れが多く発生。トマトにヒビが入りミニトマトは裂けるため、出荷量がさらに減る。

《秋冬トマトの生育遅れ》
10月11月以降に収穫する冬トマトの苗が、猛暑や豪雨で植えられなかった。植えても枯れた。植え直しにより生育スケジュールが1カ月以上後ろにずれた。

9月10月の売場に並ぶ野菜くだものは、すべて“あの猛暑”の中で育ったイメージを持つとわかりやすいです。トマト・きゅうり・茄子といった“実る野菜”は、30℃以上で樹勢が弱まります。日本全国で2カ月以上にわたり35℃-40℃が続く猛暑。元から収穫&流通量の少ない9月10月ですが、猛暑が続くほどさらに“はざかい期”は長くなる傾向にあります。市場価格も高騰。2023年9月末-10月中旬のデータを以下示します。

◆一般的な大玉トマト L20玉 (握りこぶし大≒割と大きめの玉)
青果市場価格:平常時:L20玉1ケース 2200円前後
平年の9月10月:同1ケース4500円前後(平時の2倍)
2023年9月10月:同1ケース7500円前後(平時の3倍以上)
       ↓
市場で仕入れた場合、1玉300円で売っても赤字の状況です。

東京青果:野菜相場表・野菜入荷数量(営業日毎更新)より

※産直仕入中心の当店では、生産者に直接発注し送ってもらっていますが、
※注文量に満たず「採れただけ送る」状況です(例:20㎏注文→5-6㎏実納)
※水膨れ・乾燥・ひび割れもありますが、味はとても良いです。

濃い味のミニトマト(当日の糖度9.8)
季節柄どうしても割れ玉が出やすいためPOPで掲示

“生のトマト、高すぎて毎日使うのに困る”とおっしゃる方もいますが、ないものはないです。今の時期こそ、トマトジュース・ピューレ・ホールトマトを活用してください。経済的かつ合理的です。

採れていないトマトを(上記例のような)2玉680円で無理くり買うより、豊富に出回り価格が落ち着いている秋が旬のジャガイモ・玉ねぎ・かぼちゃ・れんこんを活用しましょう。10月中旬以降はキャベツ・大根・人参・ブロッコリー・カリフラワーの収穫が増え、購入ラインナップも増えるでしょう。

冬春産地のトマトの生育は、じき追い付きます。11月末~12月初旬には九州/愛知/関東のトマトが出揃い、暖冬&安定出荷&トマト需要減も相まって、年明けの1~2月はトマトが余る状況に。

猛暑下で“生き抜いた”野菜は数少なく、値段も高いです。状態も不安定。
季節の(≒豊富に出回る)野菜を中心に美味しくたべましょう。


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↓類似投稿:ブロッコリー高騰の理由

↓過去投稿:猛暑下の生育や流通について(ネギ・人参が高い理由)

↓過去投稿:東京に満足に食材が届かなくなる日


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