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押韻矢の如し/Rhyme flies

おそろしく速い手刀/オレでなきゃ見逃しちゃうね

モブキャラ(from 冨樫義博『HUNTER×HUNTER』)



はじめに

この記事は、頭韻や類韻が踏まれた日本語の文章を紹介するものです。
作者や訳者の作意は問わず、確たるrhymeがあるなら採集しています。
韻を含んだ抜書きが五十音順に並んでいるので、押韻の用例集がわりに使えるかもしれません。

私は幼少期から日本語ラップを聴いて育ち、矢継ぎ早に繰り出される韻を聞き取る能力が非常に発達しているので、文章を読んでいるときでもすぐ押韻に気づきます。

日頃ほとんど使用用途のないこのヤバすぎるスキルに活躍の機会を与えるべく用意されたのがこの観客のいないステージです。

視界に入るが意識はされないであろう膨大な韻に耳を貸すべき。

チェケラッチョ!


※日本語の頭韻を考える際に文章をどこで区切るかってのは悩みどころですが、「本を読んでいて気がついたことをこの記事に書いたみた」だったら「本を/読んでいて/気がついた/ことを/この/記事に/書いて/みた」(h-y-k-k-k-k-k-m)みたいな感じで、他の言語に翻訳しやすい形にカットしてます。k-k-kのように同じ音が3つ以上隣り合ったものを取り上げました。あと、ラッパーが日本語で頭韻を踏むときの言葉の区切り方が体に刻み込まれてるので、それも踏襲してます。要するに、けっこう適当です。


はじめに「はじめに」として書いてはみたものの思いのほか長くなった上に本編にうまくつながらなかったのでボツにした自分語り(目次からスキップしてください)

前回の記事では、音楽を描いたパウル・クレーに倣い、私も韻を仕込んで文章に音楽性を持たせてみました。
この項の最後にちょっとした自己解説があるので、万が一興味があったらそちらをご笑覧ください。
言葉遊びの名手たるジョイス、ナボコフ、多和田葉子のフレーバーをかすかに感じとれるかも知れません。


私が生まれてはじめて触れた小説はジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』(河出文庫)なのですが、何しろそれまで小説を読んだことがなかったので、一行目からまったく理解できませんでした。

川走、イブとアダム礼盃亭を過ぎ、く寝る岸辺から輪ん曲する湾へ、今も度失せぬ巡り路を媚行し、巡り戻るは栄地四囲委蛇たるホウス城とその周円。

私はわけがわからないものにわりと惹かれる人間なので、この文字化けみたいな文章の読み解き方を知りたいと思いました。

訳者の柳瀬さんによると、ジョイス作品はとても音楽的に書かれているので、どこでどんな音がなぜ鳴っているのかを注意深く聞き取ることが重要なんだそうです。

柳瀬尚紀訳ではジョイスの音楽が日本語で「演奏」されているようなので、私はまず、耳を澄ませることからはじめました。

ラッパーのリリックに見られる類韻の連鎖とロジック、サンプリング、セルフボースティング、ユニーク過ぎるユーモアセンス、disのキツさ、逸脱性と意味不明さ、言い回しの異様さに魅了されていた私にとって、柳瀬さんの訳文や解説はとても親しみやすいものでした。

この類まれな英文学者の影響で「演奏」を聞き取る耳を育てていくことになったわけです。


とはいえ、私にとってジョイスはゲーム開始直後にバトるラスボスみたいなものだったので、中途半端な聴力でチャレンジするのは躊躇われました。

ちょうどいい中ボスを探しているうちに出会ったのが『ロリータ』で知られるウラジーミル・ナボコフです。

『ロリータ』、そしてチェスと音楽が韻を踏む長篇『ディフェンス』をちゃんと読めばわかるように、ナボコフ作品もまた緻密で中毒性のある音楽に満ちていて、調律された日本語で冴え渡る「演奏」をする訳者に恵まれています。

ナボコフはナボコフで謎が多く、文学的にはかなり難解らしいのですが、私の関心は言葉遊びに限られているのと、ロリータ・ファッションが好きなのでとりあえず元ネタでも読んでおこうという気軽さで手を出しました。


『ロリータ』の書き出しの美しさはよく知られていますね。

ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。舌の先が口蓋を三歩下がって、三歩目にそっと歯を叩く。ロ。リー。タ。
────ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』(若島正訳)

映画『スーサイド・スクワッド』(2016)でジョーカーがハーレイ・クインのことを「我が腰の炎」と呼んでいました。
ナボコフ最後の小説が『見てごらん道化師(ハーレクイン)を!』なので、彼へのオマージュかもしれません。
もしかしたらもっとナボコフネタがあるかもしれないのですが、最初の10分で観るのをやめてしまったので永遠にわからないままですし、この豆情報まったくいらなかったな。

私の好きなマンガ家市川春子も『ロリータ』や『見てごらん道化師(ハーレクイン)を!』などから着想を得ていると私は考えているので、つなげて何か書こうかなとも思ったんですけど、それを書くにはこの余白は狭すぎる。

邦訳だとそんなに刺さらなかったんだけど、原文を見たらバチくらっちゃって頭韻の面白さに気づきました、それまでは類韻一筋でしたって話をしたいんだった。

Lolita, light of my life, fire of my loins. My sin, my soul. Lo-lee-ta: the tip of the tongue taking a trip of three steps down the palate to tap, at three, on the teeth. Lo. Lee. Ta.

いいよね。


ナボコフはこんなことも書いてるよ!

鰐(アリガートル)のような頭韻(アリテラーツィイ)の地獄(アート)の中へ
────ウラジーミル・ナボコフ『賜物』(沼野充義訳)

訳者の沼野さんはこの一節について「訳がわからない」「意味よりも明らかに音を優先して作られている」と述べていますが、ヒップホップが大好きでMCバトルやBEEFになじみがあり、押韻の出来と殺傷能力を結びつけることに慣れている我々にとってはよくわかります。

ヘッズがラッパーのリリックを見ると頭韻部分が──『賜物』冒頭のトラックのロゴのように──浮き出て見えるものですが(↓みたいに)、それとワニが水面から頭の一部を出す姿が重なります。

I′m the fury, the final fight
I flip it on fraudulent fellas for feelin' fright
I flick it on fire, finish him when the flow in flight
Feminine fakers fall, I′m floggin' a foe with a fife

Tech N9ne - Speedom (WWC2) feat. Eminem & Krizz Kaliko

こんなにワニに襲われたら阿鼻叫喚間違いなしです。


ところでFって水中で立ってるワニっぽくないですか?

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※しーママさんのイラストを左右反転させたものです

小説もラップくらいリズミカルに韻を踏んでくれればロリータが登場する前に飽きて読むのをやめることもなかったのに……。


『ロリータ』や『ディフェンス』の邦訳で多くの押韻を披露した若島正さんを「恩師」と呼ぶ谷崎由依さんの短篇集『鏡のなかのアジア』も頭韻や類韻に満ちています。
私の知る限り、日本語小説の中でもっとも韻が豊かです。

たとえば、「Jiufenの村は九つぶん」の一節。

身体から何かが抜けて、凪いでいく
Karada kara nanika-ga nukete naide-iku

あからさまな長さで並んだア段が、「何かが抜け」ると同時に煙滅していく。
前半でひたすら繰り返されたaの音が文章内容に連動して途中で消え、代わりに語頭のnが存在感を増していく。
つまり、この短い一文の中にaの類韻からnの頭韻へと移行するグラデーションがあるんです。
凝ってますね。

同作からもういっちょ。

櫃から冷えた飯を盛り、鍋から煮すぎた汁を掬う。黍飯と甘藷

櫃から/冷えた/飯を/盛り/鍋から/煮すぎた/汁を/掬う/黍飯と/甘藷 → h-h-m-m-n-n-sh-s-k-k

頭韻カップルが4組成立しています(shとsをサ行で括るとキレイに5組)。
これは偶然ではあり得ないと思っていたら、ジョイス『ユリシーズ』の訳文でこんなのを見つけちゃいました……。

なぜ光の非存在は騒音の存在ほど彼には気にならないのか?
(原文: Why did absence of light disturb him less than presence of noise?)

なぜ/光の/非存在は/騒音の/存在ほど/彼には/気に/ならない/のか? → n-h-h-s-s-k-k-n-n

原文では頭韻を踏んでないので、「演奏」とは考えられません。
眩いばかりの偶然で頭韻カップルが4組も誕生することもあるんですね。
見なかったことにしましょう。

ともあれ、谷崎由依『鏡のなかのアジア』(集英社文庫)に入っている作品はその短さにも関わらず頭韻や類韻のヴァリエーションが豊富なので、確かな作為を感じとれます(特に最初の2作)。
若島正訳ナボコフの影響だったりするんでしょうか。
「……そしてまた文字を記していると」なんか韻抜きでもヤバいです。

固すぎるライムとリリシズムを兼ね備えたラッパーのZORNは韻の飛距離が大事だと常々言っていて、「滝川クリステル」と「マリファナ売りつける」で踏んでたりするんですが、ナボコフもまた似たような意味の単語で韻を踏まないよう若い詩人にアドバイスをしています。

ナボコフの語録に「才能があればあるだけ、普通と違っていればいるだけ、その人は磔台の近くにいる。見知らぬ人(stranger)は常に危険(danger)と韻を踏む」というものがあって、今どきの一流ラッパーはこんなイージーな韻踏まないわー飛距離ないわーとか思ってたんですけど、migosがdangerって曲のフックで思いっきり踏んでたので現代でも通用するライムなんだと考えを改めました。

「Stranger danger」ってアメリカでは子供たちを変質者から守るための標語になってるみたいですね。

『ロリータ』にも『Never Talk to Strangers』(女優ドロレス・クワインのニューヨークデビュー作)という作品名が出てきます。

ロリータことドロレス・ヘイズが現れる前に『ロリータ』を閉じた経験を重ねたのち若島正『ロリータ、ロリータ、ロリータ』を読みはじめ、ナボコフって、いや、小説ってこう読めばいいのか!と感銘を受けた矢先に66-67頁でネタバレをくらい、記憶が消えるまで『ロリータ』から離れることにしました。

主人公兼語り手のハンバート・ハンバートはイニシャルがH・Hで、ヒップホップやハンターハンター、翻訳の話とつながるので気になる存在ではあるのですが……


ナボコフ作品の邦訳では、本文のみならず、タイトルにも踏韻があります。
Transparent Things』を『透明な対象(Toumei-na Taishou)』と訳した若島正は、原文でたびたび登場するTとTのカップリングをすべて拾った上で、おおむねトとタイの組み合わせで「演奏」しているそうです。

英語と違って、日本語ではこれくらいの仕掛けをほどこしたところで、読者の心理にかすかな痕跡を残すまでには至らないのが残念だ。

という大息を漏らす訳者あとがきにもバッチリ「T・T」が散りばめられています。
このカップルのサンプル探しで英語原文を見てみると、短い一文目からいきなり「the person I want.」という、TからはじまりTで終わるフレーズが出てきました。これはもちろん頭韻ではありませんが、なにしろナボコフの「T・T」小説を始動させる文章なので、意図的なものだという可能性も否定しきれない感じがおぼろげながら浮かんできます。
とりあえず、タイからはじまりトで終わる「待望の人」と訳しておけばよいのではと思って若島訳を見てみたら、「お待ちかねの人」とありました。
押韻じゃないからこれは「T・T」のテーマには入らないと判断したのか、それともTの代わりにあえて最初と最後の音をOにしたのかを考えているうちにサンプルを採る体力がなくなったので次にいきますよ。


邦題のK.U.F.U.についてもういっこいっとこ。
ナボコフ『目』(The Eye) はロシア語で書いた『Soglyadatay』(Sugly-dart-eyeと発音) を自ら英語に訳して加筆修正を相当したもので、英題は原題の一部(eye)からとられました。
この小説の邦訳は2種類あり、小笠原豊樹訳「目」は英語版から、秋草俊一郎訳「密偵」はロシア語原典から直に翻訳されたものです。
「密偵」の中にちゃんと「目」が含まれてるのが面白いですね。


一語一句どころか一字の一部分にも目を光らせて読むようになったのは多和田葉子の影響です。
ナボコフ度が非常に高いと称される彼女の著作にも頭韻タイトルのものがあります。
『犬婿入り』、『容疑者の夜行列車』、『地球にちりばめられて』、『星に仄めかされて』、『まだ未来』、『Opium für Ovid』の6作です。
最後の「O・O」は多和田さん好みのモチーフで、トンネルの出入り口や両眼などに表れますし、クライスト賞受賞記念スピーチでは彼女自身の名前YokoにもふたつのOがあることについて触れられています。
Nabokovもそうですね。

池の中にある鏡像の月と人目に触れない空の月(たぶん「水の月」と「不見の月」のダジャレ)が出てくる掌編「鏡像」の日本語版では、登場人物の僧侶(souryo)と少女(shoujo)と作品名(kyouzou)の中に満月(=O)がふたつずつ隠れています。
ドイツ語版「鏡像」(Spiegelbild) では月(Mond)と僧侶(Mönch)と少女(Mädchen)は語頭のMがそろうだけですが、僧侶は英語でmonkなのでMondと潜在的な韻を踏みます。
「昔あるところに(Once upon a time)」からはじまり「今ここで(You are here now)」で終わるこの散文詩の途中で読書好きの少女はぎの得意だった仏僧(Buddhistischer Mönch)のの代わりにれない書物Buch)を見つけます。そして池(pond)のに沈んだ経典(book)を読む僧侶(Monk)は粉々になった月(Mond/moon)に抱かれます。


何を言っているのかわからねーと思うが私も何を読まされたのかわからなかった。
とりあえず、作中に「ふたつのO」がメッチャ出てくるってことだけわかればgoodです。
複数の言語を横断する言葉遊びを好むのもナボコフ的と言えるでしょう。
「鏡像」は多和田葉子『きつね月』(絶版)と和田博文編『月の文学館』(ちくま文庫)に入っているのでチェックしてみてください。

あっ、「ふたつのO」は柳瀬訳ジョイスにもちょこちょこ登場しますし(「死せるものたち」)、市川春子作品にも出てきますよ(『宝石の国』2巻59頁)。

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ちなみに私が冒頭で書いた「視界に入るが意識はされないであろう膨大な韻」の「あろう膨」は英語のarrow、bowと掛けていますし、「ふたつのO」や「アイ」も仕込んでいます。
「ヤバい」は「矢場」に由来するらしいので、弓矢をどこかに置いておきたかったんです。


前振りが長くなりすぎたので、本題である前回の記事の仕込みについてはもうサクッと終わらせちゃいます。
クレーの作品を4000点以上所有している美術館パウル・クレー・センター(Zentrum Paul Klee)にちなんでz・p・kで頭韻を踏もうと思ったんですけど、日本語でやると不自然極まりないので、ザ行とパ行の代わりにサ行とハ行を用いたわけです。
クレーの絵では「円」のモチーフがよく見られ、そのひとつに「目」があるので、oやアイ(i、ai)の音を響かせてみました。
「金色の魚」ではじまり「金色の魚」で終わるのもこの「円」を意識したものです(円環構造はジョイスやナボコフの作品でもおなじみ)。
こういった子供っぽい言葉遊びを試みたのはクレーの絵画が童心を呼び覚ますからですし、そういやこの記事のメインこれじゃなかったな。


終わりよければすべてよしなので、敬愛する多和田葉子の的を得た発言を引用していったんやめさせてもらいますよ。

言葉遊びを馬鹿にする人がなぜ存在するのか。一つ、思うのは、言葉を音だけでとらえ、意味を忘れて楽しむことができるのは、子供か外国人だ、という思い込みがあるんじゃないでしょうか。ある社会に正式に所属する大人として認めてもらうためには、言葉遊びなんかして笑っていてはいけないというような。でも移民作家にとっては、言葉の表面みたいなもの、つまり響きとか文字とかですが、その表面で戯れるのが楽しくて仕方ないんです。



↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ イキのいい韻がいっぱいだよ! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


頭韻

あ行(a, i, u, e, o)

a
・鰐(アリガートル)のような頭韻(アリテラーツィイ)の地獄(アート)の中へ(ウラジーミル・ナボコフ著 沼野充義訳「賜物」『ナボコフ・コレクション 賜物 父の蝶』新潮社、531頁)a-y-a-a-n

・夜のあいだにありとあらゆる変化(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、123頁)y-a-a-a-h

・あたし、あなたを愛さなくなるわよ(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、164頁)a-a-a-n

・宿根朝顔が青く鮮やかな(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、52頁)sh-a-a-a

・頭に穴を開けて(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、33頁)a-a-a

・あらためて朝吹さん、芥川賞受賞おめでとうございます(佐々木中「書きながら考える」『砕かれた大地に、ひとつの場処を アナレクタ3』河出書房新社、96頁)a-a-a-j-o-g

・衝撃による震蕩はあったが、あらたに安定した均衡(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ IV』集英社文庫ヘリテージシリーズ、137頁)sh-y-sh-a-a-a-k

・あらがい難い、あやしい、曖昧な、誤りと過ちの、文目(あやめ)に充ちた(金井美恵子「鎮静剤」『あかるい部屋のなかで』福武文庫、132頁)a-g-a-a-a-a-a-m

・暁の憧れにあふれた(金井美恵子「鎮静剤」『あかるい部屋のなかで』福武文庫、133頁)a-a-a

・ヨシタケシンスケ『あきらがあけてあげるから』PHP研究所。タイトルがa-a-a-k

i
・広い意味での(視聴覚、触覚などの)イメージをいじる楽しみによって生きていた(千葉雅也「散文を恐れている」 in 『美術手帖』2018年3月号、88頁)h-i-(sh-sh-n-)i-i-t-y-i

・我々はいま INTERNET2 にいる(木澤佐登志「INTERNET2」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、112頁)w-i-i-i

・イーガンは印刷インキ(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ I』集英社文庫ヘリテージシリーズ、113頁)i-i-i

・色インクが一滴(山尾悠子「銅版」『ラピスラズリ』ちくま文庫、10頁)i-i-i

・今に至っている(小池真理子著 東雅夫編『ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選』角川ホラー文庫、166頁)i-i-i

・一年前に家に異性が(多和田葉子「無精卵」『ゴットハルト鉄道』講談社文芸文庫、56頁)i-i-i

・微笑みを震わせて彼女は言いかけた。「イタリアに行く気にならんのか」(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、159頁)h-h-k-i-i-i-n

・一度家にいらっしゃったらいいのに(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、208頁)i-i-i-i

・お母さんと妹は田舎にいるのよ(ウラジーミル・ナボコフ著 貝澤哉訳「レオナルド」『ナボコフ 短篇全集I』作品社、73頁)o-i-i-i


u
・女はむきだしの腕をうなじの後ろで組んで(ウラジーミル・ナボコフ著 貝澤哉訳「レオナルド」『ナボコフ 短篇全集I』作品社、65頁)o-m-u-u-u-k

・寝返りを打ち、uu とちいさく唸った(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、61頁)n-u-u-ch-u


e
・英文学者の影響で「演奏」を聞き取る(井瀬やおら「押韻矢の如し/Rhyme flies」)e-e-e-k


o
・女は恐ろしいとは思わず(多和田葉子「無精卵」『ゴットハルト鉄道』講談社文芸文庫、56頁)o-o-(t-)o

・おい、おまえ、お茶(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、122頁)o-o-o

・おおう、お客さあ、おまえ(諏訪哲史「修那羅」 in 東雅夫編『平成怪奇小説傑作集3』創元推理文庫、397頁)o-o-o


か行(k)

・孤独がかれの口を釘で打って封じてくれればいいのに(ロベール・パンジェ著 堀千晶訳『パッサカリア』水声社、64頁)k-k-k-k-u-h-k-i

・顔のかわりに炎をつけて。黒のコートに身をつつみ、煙燻れる顔と髪。今度は小粋な薄鳶色の鼻から流れ出(アルノ・シュミット著 和田洵訳「ポカホンタスのいる湖景」『ポカホンタスのいる湖景/移住者たち』水声社、11頁)k-k-h-ts-k-k-m-ts-k-k-k-k-k-k-u-h-n

・蝙蝠たちが駆け込みで黒の買い物袋をぶらさげ(アルノ・シュミット著 和田洵訳「ポカホンタスのいる湖景」『ポカホンタスのいる湖景/移住者たち』水声社、15頁)k-k-k-k-b

・蝙蝠たちが硬い昆虫を喰い殺すとパキパキというのが聞こえてくるほど。(アルノ・シュミット著 和田洵訳「ポカホンタスのいる湖景」『ポカホンタスのいる湖景/移住者たち』水声社、15頁)k-k-k-k-p-t-k-h

・乾いた空気を獣の脂がごくわずかに湿らせている(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、10頁)k-k-k-a-g-w-sh

・灯明をかかげると、壁に描かれたものが目に入る(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、20頁)t-k-k-k(e)-m-m-h

・壁に描かれた神々(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、26頁)k-k(e)-k

・こうした衣を着ていた(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、28頁)k-k-k

・くりかえしくりかえし、この階段を(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、28頁)k-k-k-k

・挨拶の言葉に応えて返す(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、29頁)a-k-k-k

・彼が経を書き写す(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、37頁)k-k-k

・その距離が、細かく区切られ(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、38頁)s-k-k-k

・敷居を越えていくことを、頑なに拒むのだった。彼は気がついた。(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、40頁)sh-k-i-k-k-k-d-k-k

・口が利けない。声が出ない(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、40頁)k-k-k-d

・声は彼方へと消えた(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、41頁)k-k-k

・櫛もくれたし、髪油も上等なのをくれた。可愛い、可愛い(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、49頁)k-k-k-j-n-k-k-k

・隠れて暮らすことにした(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、61頁)k-k-k-sh

・かれは草ごと抱えると(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、67頁)k-k-k

・小石にも傷ついた。気持ちが挫け(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、72頁)k-k-k-k

・今日は昨日=昨日の過度である。形態の大坩堝は廃墟を包含し、人々はまだ部分的にはその廃墟に付着している(パウル・クレー著 土方定一&菊盛英夫&坂崎乙郎訳『造形思考 上』ちくま学芸文庫、20頁)k-k-k-k-d-k-o-h-h-h-m-b-s-h-h-sh

・フォルムや空間に対する彼の感覚は決定的に変わった。均衡を強調(パウル・クレー著 土方定一&菊盛英夫&坂崎乙郎訳『造形思考 上』ちくま学芸文庫、43頁)f-k-t-k-k-k-k-k-k

・固有の書けなさを抱えつつも(千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書、4頁)k-k-k

・こんなに書くことが苦しい(千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書、118頁)k-k-k

・強迫観念からの解放(千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書、265頁)k-k-k-k

・自分に課して苦しんできた(千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書、265頁)j-k-k-k

・攻撃の機会も限られて(小川哲「SF作家の倒し方」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、255頁)k-k-k

・「拡張」がこれを可能にしました(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、263頁)k-k-k-sh

・架空の絵画の観覧者(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、270頁)k-k-k

・各国の活動が繰り広げられている(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、283頁)k-k-k-r-i

・金星神クラマがこの世に顕現(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、481頁)k-k-k-(y-)k

・そう、それはこうして、ここで、こんなふうに、ちょっと軽々しく(笠井康平・樋口恭介「場所(Spaces)」in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、525頁)s-s-k-k-k-h-ch-k

・あらかじめ決められ、計算され、考え抜かれたもの(ジョルジュ・ぺレック著 酒詰治男訳『人生 使用法』水声社、16頁)a-k-k-k-n-m

・そう、それはこうして、ここで、こんなふうに、少々重々しく(ジョルジュ・ぺレック著 酒詰治男訳『人生 使用法』水声社、17頁)s-s-k-k-k-h-sh-o

・この間、乾いて堅くなったパン(多和田葉子「無精卵」『ゴットハルト鉄道』講談社文芸文庫、44頁)k-k-k-n-p

・強い風が吹いても、頬をかすめることも鼓膜に触れることもない(多和田葉子「無精卵」『ゴットハルト鉄道』講談社文芸文庫、54頁)ts-k-h-h-k-k-k-h-k-n

・言葉を釘の代わりにして(多和田葉子「無精卵」『ゴットハルト鉄道』講談社文芸文庫、55頁)k-k-k-sh

・肩にかけた機関銃(須賀敦子「ふるえる手」『須賀敦子全集 第2巻』河出文庫、429頁)k-k-k

・開発した航空機による攻撃を回避(永田希『書物と貨幣の五千年史』集英社新書、60頁)k-k(-y)-k-k

・拳銃を片手にキャビンを駆け回り、乗客とクルーに食事を供した(チャック・パラニューク著 池田真紀子訳『サバイバー(新版)』ハヤカワ文庫NV、439頁)k-k-k-k-j-k-sh-k

・心は限りなく「空(くう)」に近づく(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、15頁)k-k-k-ch

・小高いカーブに顔を出すと(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、26頁)k-k-k-d

・限界を超えた恐怖が、声もなく涙を流させた(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、27頁)g-k-k-k-n-n-n

・声を殺して答えた(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、47頁)k-k-k

・彼女は、金髪に光沢(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、51頁)k-k-k

・高揚と、奇妙な興奮(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、54頁)k-k-k

・体を硬くする彼女(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、54頁)k-k-k

・体力トレーニングを課すし、広大な訓練場を行進する訓練(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、68頁)t-t-k-k-k-k-k

・口調に危険な気配を感じた(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、78頁)k-k-k-k

・教官の口調に隠しきれない怒気を感じて(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、120頁)k-k-k-k-d-k

・踵を返して校舎(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、130頁)

・かつて彼女と語り合った(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、136頁)k-k-k

・抵抗を繰り返し、機動力を駆使して侵攻(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、147頁)t-k-k-k-sh

・きちんと体が機能しなければ、精神も崩れてゆく(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、191頁)k-k-k-sh-s-k-y

・母さんが買ってきた家族全員分の黒いテニスシューズ(ジェスミン・ウォード著 石川由美子訳『骨を引き上げろ』作品社、6頁)k-k-k-k-z-k-t-sh

・殺された子どもたちがキャップを被っていたことを強調(ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著 押野素子訳「フィンケルスティーン5〈ファイヴ〉」『フライデー・ブラック』駒草出版、11-12頁)k-k-k-k-k-k

・店員は彼のクレジットカードを端末に通した(ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著 押野素子訳「フィンケルスティーン5〈ファイヴ〉」『フライデー・ブラック』駒草出版、23頁)t-k-k-k-t-t

・ええと、エマニュエル。こちらがきちんと考えていなかった(ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著 押野素子訳「フィンケルスティーン5〈ファイヴ〉」『フライデー・ブラック』駒草出版、26頁)e-e-k-k-k-i

・首をきれいに刈り取りました(ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著 押野素子訳「フィンケルスティーン5〈ファイヴ〉」『フライデー・ブラック』駒草出版、34頁)k-k-k-m

・木や草や風となって甦る(倉数茂『名もなき王国』ポプラ社、8頁)k-k-k-n-y

・鍵のかけられた蔵(倉数茂『名もなき王国』ポプラ社、23頁)k-k-k

・ジョイスが巧妙に拵えた機械仕掛けの罠を暴きだしてみたい(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、206頁)j-k-k-k(-j)-w-a(-d)-m

・この奇妙な語りを考える(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、208頁)k-k-k-k

・彼の屈強な身体を機械化しようとする語り手共謀説(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、210頁)k-k-k(sh)-k-sh-s-k-k

・語り手が機械式韻文を構築しようとした痕跡を示している(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、211頁)k-k-i-k-sh-sh-k-sh

・『ユリシーズ』の舞台は、奇しくも狂犬病の根絶が公式に宣言された翌年に設定されている(南谷奉良「違法無鑑札放浪犬の咆哮」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、104頁)y-b-k-k-k-k-s-s-y-s-s

・誰とも交流した気配はなく、気づくと忽然と姿を消し(小野瀬宗一郎「「キュクロプス」挿話のインターポレーション再考」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、122頁)d-k-k-n-k-k-s-k

・暗がりから声をかけた(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、300頁)k-k-k-k

・刺子(キルト)の掛布団の金鳳花(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ 1-12 』河出書房新社、20頁)k-k-k

・海面の鏡が軽やかな靴をはいて駆ける(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ 1-12 』河出書房新社、21頁)k-k-k-k-h-k

・十字に重ねた鏡と剃刀(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ I』集英社文庫ヘリテージシリーズ、15頁)

・いかなる緩和的考慮が彼の興奮を鎮めたか?(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ IV』集英社文庫ヘリテージシリーズ、151頁)i-k-k-k-k-sh

・彼自身が考案して却下された照明つき広告馬車の企画(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ IV』集英社文庫ヘリテージシリーズ、168頁)k-k-k-sh-k-k

・カキの殻のかたちをしたシガレットケース(秋草俊一郎『アメリカのナボコフ』慶應義塾大学出版会、170頁)k-k-k-sh-sh-k

・風向きが急変し、今度は「з(ゼー)」がぞろぞろ出てきた(ウラジーミル・ナボコフ著 沼野充義訳「賜物」『ナボコフ・コレクション 賜物 父の蝶』新潮社、531頁)k-k-k-z-z-d

・親切な記憶というものにかすかな感謝の気持ちを抱いたのである(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、98頁)sh-k-t-m-k-k-k-i-d

・真摯にもしきたりを守って、まず初めに親の方へ申し込んだことに、彼女は気分を良くしていた(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、117頁)sh-sh-m-m-h-o-h-m-k-k-k-y-sh

・チェスの瞑想をかきわけて聞こえてくる声があり(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、117頁)ch-m-k-k-k-a

・それはたった今交わした会話のこだまで、彼女はまた彼の膝の上に座り、こう約束した(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、117頁)s-t-k-k-k-k-m-k-h-u-s-k-y

・片方の肩を彼の胸に押し当てながら(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、117-118頁)k-k-k-m-o-n

・その損失を補う黒の巧妙な攻撃(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、118頁)s-s-o-k-k-k

・月は角ばった黒い小枝の背後から現れて(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、118頁)ts-k-k-k-h-a

・腕を脇柱に沿って伸ばした恰好で、首を傾げて(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、120頁)u-w-s-n-k-k-k

・子供じみた興奮を経験し、手をたたきたい気持ちになった(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、121頁)k-k-k-t-t-k-n

・この局面で黒が最善手を指すと仮定しましょう(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、123頁)k-k-k-s-s-k-s-h

・彼は強烈な幸福感を味わい(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、124頁)k-k-k-a

・彼女は唇を噛んで(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、124頁)k-k-k

・彼女は機転を利かして(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、124頁)k-k-k

・明確な形を取っている影のかたまりを消し去った(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、128頁)m-k-t-k-k-k

・彼が勝ち点を稼ぐ(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、130頁)k-k-k

・クルトの身体が、車が曲がるたびに(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、149頁)k-k-k-m-t

・チェスのことを考えると決まって嫌悪感を催す(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、164頁)ch-k-k-k-k-m

・かすかにきしむ巨体をゆっくりと下ろしていった(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、169頁)k-k-k-y-o-i

・どんなドストエフスキーを与えてもいけないと教授が禁じた理由は、教授の言葉を借りれば(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、170頁)d-d-a-i-k-k-r-k-k-k

・かつて聞いたことがある音の影(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、171頁)k-k-k-a-o-k

・消えるかも考え(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、176頁)k-k-k

・彼は気がついて顔をしかめ(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、184頁)k-k-k-sh

・ある箇所で教会の鐘が鳴り響くし(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、194頁)a-k-k-k-n-h

・豪華できらきら輝く頭飾り(ココーシニク)(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、198頁)g-k-k-k

・こういう言葉で会話はたいてい終わり(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、200頁)k-k-k-t-o

・そのころにはお天気もきっと変わるし。気をつけて──車がこっちに来るわ(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、210頁)s-k-o-k-k-k-k-k-k

・ここにはこの子の気に入るものが何もなくて(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、221頁)k-k-k-m-n-n

・必ず彼女は彼の表情を観察するが(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、229頁)k-k-k-h-k-s

・彼女は滑稽な記事か(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、232頁)k-k-k

・気品があり、心が清くて、綺麗な髭で(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、238頁)k-a-k-k-k-h

・嫌な気分で、彼女がかがみこんで自分の未来を見てみると(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、240頁)i-k-k-k-k-j-m-m-m

・「決めたわ」薬は効かなかった。(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、242頁)k-k-k

・巨頭の巨大な駒(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、242頁)k-k-k

・彼女は首を傾げ(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、243頁)k-k-k

・この件は彼にとってきわめて重大でして(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、244頁)k-k-k-t-k-j-d

・彼の声から、角枠(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、247頁)k-k-k

・消えた。彼の声(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、253頁)k-k-k

・機械的に彼は紙切れを手に取った(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、256頁)k-k-k-t-t

・彼の顔にはこれまで(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、258頁)k-k-k

・夜の黒い矩形が鏡のように光っている(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、261頁)y-k-k-k-y-h

・彼のやせ細った体や悲しげな顔つき(ウラジーミル・ナボコフ著 貝澤哉訳「レオナルド」『ナボコフ 短篇全集I』作品社、72頁)k-y-k-k-k


さ行(s, sh)

S
・様々な戦略が存在(ミシェル・フーコー著 柵瀬宏平訳『フーコー文学講義』ちくま学芸文庫、18頁)s-s-s

・要素は総体に先だって存在(ジョルジュ・ぺレック著 酒詰治男訳『人生 使用法』水声社、13頁)y-s-s-s

・叫びが、その隙間から漏れていた(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、40頁)s-s-s-k-m

・それは外からそう要請されているからだ(千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書、266頁)s-s-s-y-s-k

・漱石像が境を接して(蓮實重彦『夏目漱石論』福武文庫、11頁)s-s-s

・創業し、さらには世界で最初の(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、205頁)s-s-s-s

・錯覚に左右される(西崎憲『蕃東国年代記』創元推理文庫、9頁)s-s-s

・生物の存在もそうだし(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、262頁)s-s-s

・存在が推定され、世界の探検家が発見に挑んだ(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、283頁)s-s-s-t-h-i

・相当すると作者は説明する(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、290頁)s-(s-)s-s(-s)

・韻のさざ波がさらにその先へと走り出した(ウラジーミル・ナボコフ著 沼野充義訳「賜物」『ナボコフ・コレクション 賜物 父の蝶』新潮社、531頁)i-s-s-s-s-h

・世界と接触すると散乱する(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、135頁)s-s-s

・さらにその先には川が暗闇の中できらめいていた(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、144頁)s-s-s-k-k-n-k-i

・そしてそれはそのとおりだった(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、192頁)s-s-s-d

・最大限の鋭さと、正確さと、純粋さを達成した(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、212頁)s-s-s-j-t

・それをステッキで指した(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、251頁)s-s-s

Sh
・小説の主人公を神話の人物になぞらえる(桐山恵子「ニンフの布」──ニジンスキー『牧神の午後』と「キルケ」挿話の比較考察」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、170頁)sh-sh-sh-j-n

・詩人が示唆している(秋草俊一郎『アメリカのナボコフ』慶應義塾大学出版会、179頁)sh-sh-sh

・新興宗教の集団自殺事件(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、472頁)sh-sh-sh-j-j

・ホテルの部屋の中央で椅子に座り、たった一つのことに思考を集中していたときだった(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、132頁)h-h-ch-i-s-t-h-k-sh-sh-(sh-)t-d

・書見台の下に敷かれた(ジョルジュ・ぺレック著 酒詰治男訳『人生 使用法』水声社、15頁)sh-sh-sh

・皺寄ったシーツの執拗な襞(山尾悠子「銅版」『ラピスラズリ』ちくま文庫、11頁)sh-sh-sh-h

・しとしとと、しょうしょうと、しょうぜんと静かに(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、45頁)sh-sh-sh-sh

・しっとりとしてしかも健康に乾いた膚の感触(飛浩隆「デュオ」『象られた力』ハヤカワ文庫JA、14頁)sh-sh-sh-k-k-h-k

・死んだ少女が沈んでいます(多和田葉子「鏡像」『きつね月』新書館、20頁)sh-sh-sh-i

・死体は塩に白くさらされ(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ I』集英社文庫ヘリテージシリーズ、131頁)sh-sh-sh-s


た行(t, ch, ts)

t
・その点の通ったところ(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、9頁)s-t-t-t

・灯明を手に取る。扉を抜け(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、20頁)t-t-t-t-n

・ただ単にタイトルに現れているだけではなく(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『透明な対象』国書刊行会、203頁)T-T-T-a-d-d-n

・手にとった時(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、478頁)t-t-t

ch
・中途半端な聴力でチャレンジ(井瀬やおら「押韻矢の如し/Rhyme flies」)ch-ch-ch

・乳飲み子に近い知能(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、34頁)ch-ch-ch

ts
・窄(つぼ)んでいる、つめたい葡萄の粒(佐々木中「明視が目廢いる」『砕かれた大地に、ひとつの場処を アナレクタ3』河出書房新社、6頁)ts-ts-b-ts

・悪阻の酷い妻に付き添い、月夜(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、56頁)ts-h-ts-ts-ts


な行(n)

・「また猫かよ」と言われても何度でも猫なのだが(保坂和志『小説の誕生』中公文庫、38頁)m-n-k-i-n-n-n

・限界を超えた恐怖が、声もなく涙を流させた(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、27頁)g-k-k-k-n-n-n

・何かを熱心にのぞきこむ(小池昌代『黒雲の下で卵をあたためる』岩波現代文庫、115頁)
n-n-n-k

・パンダのぬいぐるみを盗んだと濡れ衣(ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著 押野素子訳「フィンケルスティーン5〈ファイヴ〉」『フライデー・ブラック』駒草出版、12頁)p-n-n-n

・なかったが、梨のならない(多和田葉子「無精卵」『ゴットハルト鉄道』講談社文芸文庫、44頁)n-n-n

・念入りに塗り直さねばならない(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、48頁)n-n-(n-)n

・身体から何かが抜けて、凪いでいく(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、74頁)k(sh)-n-n-n

・俄雨に濡れた猫が喉を鳴らした(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、43頁)n-n-n-n-n

・なぜなら、人魚の肉は不老不死の妙薬(藤野可織「アイデンティティ」 in 東雅夫編『平成怪奇小説傑作集3』創元推理文庫、309頁)n-n-n-h-h-m

・人魚たちは、仲間とノミを取り合った(藤野可織「アイデンティティ」 in 東雅夫編『平成怪奇小説傑作集3』創元推理文庫、310頁)n-n-n-t

・そして最終的に彼が獲得するのはニンフの肉体ではなく、逃げ去るニンフから奪い取ったヴェールなのだ(桐山恵子「ニンフの布」──ニジンスキー『牧神の午後』と「キルケ」挿話の比較考察」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、160頁)s-s-k-k-s-n-n-d-n-n-u-v-n

・工場から生地に糊付けする膠(にかわ)の臭い(ヴォルフガング・ケッペン著 田尻三千夫訳『ユーゲント』同学社、9頁)k-k-k-n-(s-)n-n

・ヨシタケシンスケ『なつみはなんにでもなれる』PHP研究所。タイトルがn-n-n


は行(h)

・幾千年か分からぬ昔に放たれた、一つの震える光の矢(オラフ・ステープルドン著 浜口稔訳『スターメイカー』ちくま文庫、18頁)i-w-m-h-h-h-h-y

カチッ!文字盤を見ると、針がほんのひと目盛りだけ進んだ。私の勝ちだった(グカ・ハン著 原正人訳「ルオエス」『砂漠が街に入りこんだ日』リトルモア、10頁)k-m-m-h-h-h-d-s-w-k-d

・古い服をひったくって(ドミトリイ・バーキン著 秋草俊一郎訳『出身国』群像社、11頁)h-h-h

・腹が非常に減ってきた(夏目漱石『吾輩は猫である』新潮文庫、6頁)h-h-h

・他に比例して不相当な発達(夏目漱石『吾輩は猫である』新潮文庫、133頁)h(t)-h-h-h

・冷えきった部屋に入って(ロベール・パンジェ著 堀千晶訳『パッサカリア』水声社、7頁)h-h-h

・灰色の冷えきった日(ロベール・パンジェ著 堀千晶訳『パッサカリア』水声社、8頁)

・ひどく震えて膝の上で(ルシア・ベルリン著 岸本佐知子訳『掃除婦のための手引き書』講談社文庫、12頁)h-h-h-u

・睥睨する。細い瞳(今村昌弘『屍人荘の殺人』創元推理文庫、15頁)h-h-h

・仄かな光を放っている(倉数茂『名もなき王国』ポプラ社、3頁)h-h-h

・ホームセンターを求めて車を走らせる。放浪の果て(倉数茂『名もなき王国』ポプラ社、28頁)h-m-k-h-h-h

・炎の反射したひかりの点(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、10頁)h-h-h-t

・緑の葉陰がひかりの斑(ふ)を作る(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、15頁)m-h-h-h-ts

・埃を払う母(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、32頁)h-h-h

・二人よりはるかに暇(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、52頁)h-(y-)h-h

・深くは張らない髭根(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、66頁)h-h-h

・はじめて畑に入ろう(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、69頁)h-h-h

・今日は昨日=昨日の過度である。形態の大坩堝は廃墟を包含し、人々はまだ部分的にはその廃墟に付着している(パウル・クレー著 土方定一&菊盛英夫&坂崎乙郎訳『造形思考 上』ちくま学芸文庫、20頁)k-k-k-k-d-k-o-h-h-h-m-b-s-h-h-sh

・美声を低くふかぶかと響かせていた飄々として(佐々木中「明視が目廢いる」『砕かれた大地に、ひとつの場処を アナレクタ3』河出書房新社、7頁)b-h-h-h-h

・本当に自分への評価が低い悲観的な人(佐々木中「これは〈文学〉ではない」『砕かれた大地に、ひとつの場処を アナレクタ3』河出書房新社、55頁)h-j-h-h-h-h

・男がその手から手紙をひったくって封筒をひきちぎり(多和田葉子「無精卵」『ゴットハルト鉄道』講談社文芸文庫、60頁)o-s-t-t-h-h-h

・人々が、旗、花(木澤佐登志「INTERNET2」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、119頁)h-h-h

・煙管を吹かしたり翅を震わせて光の小便(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、268頁)k-h-h-h-h-sh

・服装、風紀にうるさい風貌の白人(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、274頁)h-h-u-h-h

・彫りの深い顔の人”は、細崎遥(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、477頁)h-h-k-h-h-h

・風呂に入る日(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、128頁)h-h-h

・一時もフィアンセと二人きりになることができず(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、130頁)h-f-h(f)-n-k-d

・不意にフィアンセが部屋に入ってきた(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、132頁)h(f)-f-h-h-k

・チェスの疲労で半身不随(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、153頁)ch-h-h-h

・立ち回りが必要不可欠な他のサークル(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、233頁)t-h-h-h-s

・半身をひねり半身を屈めるという複雑な恰好(ウラジーミル・ナボコフ著 貝澤哉訳「レオナルド」『ナボコフ 短篇全集I』作品社、70頁)h-h-h-k-t-h-k

・被雇用者が行った不忠実な複写行為(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、201頁)h-o-h-h-k

・法律文書の複写の比喩(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、201頁)h-h-h

・表現上の反復や複製(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、202頁)h-h-h

・複製化への不安を複写業務に(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、205頁)h-h-h

・ジョイスの文体的発展を踏まえる必要がある(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、208頁)j-b-h-h-h-a

・復讐の炎がほとばしり壁を吹き飛ばす(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ I』集英社文庫ヘリテージシリーズ、116頁)h-h-h-k-h

・村上春樹×柴田元幸『本当の翻訳の話をしよう』新潮文庫。タイトルがh-h-h-sh


ま行(m)

・満場の無関心によって迎えられた。もっとも、無名作家(倉数茂『名もなき王国』ポプラ社、5頁)m-m-y-m-m-m

・空を映して空よりなお青い水面を持つ湖(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、18頁)s-u-s-y-n-a-m(s)-m-m

・宙を舞う、目に見えない埃(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、19頁)ch-m-m-m-h

・まんまるな目を剥いて(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、20頁)m-m-m

・目に見えるもの(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、23頁)m-m-m

・また目の前(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、29頁)m-m-m

・物置小屋の窓から見える(ジェスミン・ウォード著 石川由美子訳『骨を引き上げろ』作品社、7頁)m-m-m

・前からマニーに見られている(ジェスミン・ウォード著 石川由美子訳『骨を引き上げろ』作品社、13頁)m-m-m

・私の目は真っ先にマニーに向かった(ジェスミン・ウォード著 石川由美子訳『骨を引き上げろ』作品社、15頁)w-m-m-m-m

・無暗(むやみ)に眼が廻る。胸が悪くなる(夏目漱石『吾輩は猫である』新潮文庫、6頁)m-m-m-m-w-n

・まっすぐ前を向いている目(小池真理子著 東雅夫編『ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選』角川ホラー文庫、8頁)m-m-m-m

・目に緑色の目庇(まびさし)(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、304頁)m-m-m

・まずめったに目にしない語、めったに耳にしない語だ(柳瀬尚紀「解説」 in ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ダブリナーズ』新潮文庫、385頁)m-m-m-(sh)-g-m-m-(sh-)g

・みずからの右手首をマチェットで切り落とす者(木澤佐登志「INTERNET2」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、117頁)m-m-m-k-m

・また問題を見つける(小川哲「SF作家の倒し方」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、252頁)m-m-m

・みんな味方よ。もちろん(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、54頁)m-m-m

・森から舞い込むもの(山尾悠子「銅版」『ラピスラズリ』ちくま文庫、18頁)m(-k)-m-m

・森から戻った召使(山尾悠子「銅版」『ラピスラズリ』ちくま文庫、21頁)m(-k)-m-m

・出発時刻までまだまだ待たされる(山尾悠子「銅版」『ラピスラズリ』ちくま文庫、23頁)sh(-j)-m-m-m

・猛烈な物音のまっただなか(ウラジーミル・ナボコフ著 貝澤哉訳「レオナルド」『ナボコフ 短篇全集I』作品社、75頁)m-m-m

・見知らぬ町でめざめ、まだ目を閉じたままで(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、25頁)m-m-m-m-m-t-m

・目の前がまっ暗になり(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、146頁)m-m-m-n

・おもしろそうなことを考え出すのも、興味深い客を招くのも、みんな無意味だ。またしても目が見えなくなって(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、240頁)o-k-k-n-k-k-m-n-m-m-m-m-m-n

・嫌な気分で、彼女がかがみこんで自分の未来を見てみると(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、240頁)i-k-k-k-k-j-m-m-m

・目の前には丸いテーブル(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、254頁)m-m-m-t

・無表情で前を見つめながら書斎に戻った(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、258頁)m-m-m-sh-m


や行(y)

・よちよちあるきの幼虫のように(アルノ・シュミット著 和田洵訳「ポカホンタスのいる湖景」『ポカホンタスのいる湖景/移住者たち』水声社、72頁)y-(a-)y-y

・要領よく予告(飛浩隆『SFにさよならをいう方法 飛浩隆評論随筆集』河出文庫、46頁)y-y-y

・それによって優良なユーザーを多く獲得(永田希『書物と貨幣の五千年史』集英社新書、37頁)s-y-y-y-o-k

・野蛮人の夢を?世迷言(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、99頁)y-y-y

・よー、よくやってるな(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、120頁)y-y-y

・湯のよい山里の子供(諏訪哲史「修那羅」 in 東雅夫編『平成怪奇小説傑作集3』創元推理文庫、396頁)y-y-y-k

・ゆっくりと揺らしてやっている(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ロリータ』新潮文庫、378頁)y-y-y

・『ユリシーズ』は読むのが易しい書物ではない(「『ユリシーズ』禁止措置を解除するジョン・M・ウルジー裁判官の判決」 in A. N. ファーグノリ+M. P. ギレスピー著 ジェイムズ・ジョイス研究会訳『ジェイムズ・ジョイス事典』松柏社、525頁)y-y-y-sh-d

・つまり野卑な自慢によりてやどり、好戦的な海軍(小野瀬宗一郎「「キュクロプス」挿話のインターポレーション再考」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、113頁)ts-y-j-y-y-k-k


ら行(r)

・立派なリヴォルバーは、家庭教師のレンスキイ(秋草俊一郎『アメリカのナボコフ』慶應義塾大学出版会、163頁)r-r-k(-k)-r

・ラッパーのリリックに見られる類韻の連鎖とロジック(井瀬やおら「押韻矢の如し/Rhyme flies」)r-r-m-r-r-r


わ行(w)

・私はわけがわからないものにわりと惹かれる(井瀬やおら「押韻矢の如し/Rhyme flies」)w-w-w-m-w-h

・若者を沸かせる話芸(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、12頁)w-w-w

・わたしのわごむは、わたさない(ヨシタケシンスケ『わたしのわごむはわたさない』PHP研究所、ページ番号なし)w-w-w


が行(g)

・現金を銀行から強奪(永田希『書物と貨幣の五千年史』集英社新書、48頁)g-g(-k)-g

・『原因』の原稿は現存していない(今井敦「訳者あとがき」in トーマス・ベルンハルト著 今井敦訳『原因』松籟社、141頁)g-g-g-sh-i

・擬態する蛾の如く(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、7頁)g-g-g

・大猩猩(ゴリラ)の芸など愚の骨頂(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、38頁)g-g-g-k


ざ行(z, j)

z
・罪人への憎悪を是とせず(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、98頁)z-z-z-s

j
・実際ジョイス自身(桃尾美佳「自然主義と象徴主義」 in 金井嘉彦・吉川信・横内一雄編著『ジョイスの挑戦』言叢社、274頁)j-j-j

・十分に人口に膾炙し、自動化されている(秋草俊一郎『ナボコフ 訳すのは「私」』東京大学出版会、51頁)j-j-k-j-s

・実践としても実に重要(佐々木中「書きながら考える」『砕かれた大地に、ひとつの場処を アナレクタ3』河出書房新社、94頁)j-t-j-j

・男子 - 女子、ジョン - ジェイン、ジャック - ジル(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ロリータ』新潮文庫、271頁)d-j-j-j-j-j

・神社の砂利は浄化(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、11頁)j-j-j


だ行(d)

・どうして誰も電話に出ないんだ(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、219頁)d-d-d-d

・エルマンの伝記には、同日の出来事(小島基洋「横たわる妻を想う──ジェイムズ・ジョイスと〈横臥〉の詩学」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、67頁)e-d-d-d

・男性ダンサーに度肝を抜かれた(桐山恵子「ニンフの布」──ニジンスキー『牧神の午後』と「キルケ」挿話の比較考察」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、161頁)d-d-d-n


ば行(b)

・分岐路には banana 畑があった(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、49頁)b-b-b-a

・バーナード・ボドリーは万事いかなる場合にも(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、206頁)b-b-b-i-b-n

・盆暗の分際で僕に楯突くのか(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、49頁)b-b-b-t


ぱ行(p)

・ペンをぱっと手にとって、ぴちょんと(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、206頁)p-p-t-t-p

・ぱしゃり、ぽちゃり、ぴちゃり(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ I』集英社文庫ヘリテージシリーズ、130頁)p-p-p

・「あのポンコツのせいでパパのピアノがぺしゃんこ!」風太郎はぺこぺこ(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、253頁)a-p-s-p-p-p-p-p


ぎゃ行(gy)

・仰々しい凝視で謔浪(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、74頁)gy-gy-gy


びゃ行(by)

・人でも白狐でも病魔は平等に(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、169頁)h-by-by-by


みゃ行(my)

・妙な脈動だ。明朝(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、56頁)my-my-my


りゃ行(ry)

・旅館で漁師料理(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、218頁)ry-ry-ry


類韻その他

私史を掘り起こし、今一度、世に問題提起することに(石川宗生「吉田同名」『半分世界』創元SF文庫、12頁)
・i-i:私史/一/提起
・o-o-i:を掘り/起こし/度、世に/ことに

僕の四肢は僕の意志とは無関係に動いた(フェリペ・アルファウ著 青木純子訳「犬の物語」『ロコス亭 奇人たちの情景』創元ライブラリ、281頁)
・i-i:四肢/意志/係に

恐ろしいとも思わなかった(夏目漱石『吾輩は猫である』新潮文庫、5頁)
・o-o:恐ろ/とも/思

吾輩は藁の上から急に笹原の中へ(夏目漱石『吾輩は猫である』新潮文庫、6頁)
・a-a:吾/藁/から/笹/原/中

仕方がないからとにかく明るくて暖かそうな方へ方へ(夏目漱石『吾輩は猫である』新潮文庫、7頁)
・a-a:方/がな/から/明/暖か
・i-a-a(仕方/いから)→ a-u(かく/明る) → aの頭韻(明/暖) → ou(そう/方)

兄弟のような奇妙な類似(小池昌代『黒雲の下で卵をあたためる』岩波現代文庫、114頁)
・ou-a:兄弟/ような/妙な

流れるように続く模様のようなその残像(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、10頁)
・ou:よう/様/よう/像
・o-o:模様/のよう/その

硬く乾いた空の青に、旗は鮮やかな色をさらしている(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、17頁)
・a-a:硬/乾/旗は/鮮/やかな/さら

怠ることなく(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、18頁)
・o-o-a-u:怠る/ことなく

長く煤にさらされながらも鮮やかな、極彩色の神々の姿(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、20頁)
・a-a:長/さら/ながら/鮮/やかな/姿

そうして湖の表面のように(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、21頁)
・ou:そう/表/よう
・ou-i:そうし/ように

小川のほとりには白樺がひょろりと長い幹を並べ(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、22頁)
・a-a:川/樺/長/並
・o-a-a:小川/と長/を並
・o-o-i:ほとり/ひょろり

子どもたちの歌い、その喉からこぼれ落ちてくる声は、耳には快い(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、23頁)
・o-o:子ども/その/喉/こぼ/快
・o-o-o:子ども/その喉/快

そこそこ多くの子どもがいるのは、ほかでもない、どの家にもきょうだいがいるからである(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、24頁)
・o-o:そこ/そこ/の子/ども/どの/もきょ
・o-o-o-o:そこそこ/の子ども
・o-ou:こ多/もきょう
・o-a:もが/のは/ほか/もな/きょうだ
・ai:がい/ない/だい/がい

喉の底から絞り出すような読経の声。僧院じゅうの僧侶が(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、26頁)
・o-o:喉/底/読経/の声/僧侶
・ou:よう/経/僧/僧

多くの僧たちから、いつの間にか増えてしまったひとり(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、28頁)
・「僧」と「増」の視覚韻。見方によっては「間」も。「曽」の上半分を左右に切り分けると「間」に似る。

たいそうよい僧になるに違いない(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、33頁)
・ai:たい/違い/ない
・たいそう/よい僧

湖の底のような目をした獣の、その目に似ていると彼は思った(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、34頁)
・o-o:底/のよ/獣/その/思

五色の旗は空っぽにはならずにやはり文字たちが住んでいる(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、34頁)
・o-i:五色(ごしき)/ぽに/文字
・a-a:旗/空/なら/やは
・i-a:には/にや/ちが

この妹かもしれない少女の手を、自分の手にとってやろうとした(谷崎由依「……そしてまた文字を記していると」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、38頁)
・ou-o:妹/少女/ろうと

しとしとと、しょうしょうと、しょうぜんと静かに箸を動かし(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、45頁)
・sh-sh-sh-sh-h-u
・a-i:かに/箸/かし
・頭韻から類韻に移行。その際に頭の「し」がお尻に移動(はし、動かし)。

櫃から冷えた飯を盛り、鍋から煮すぎた汁を掬う。黍飯と甘藷(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、45頁)
・h-(k-)h-m-m-n-(k-)n-sh-s-k-k
・4種類の頭韻(行では5種類)

歩くのが遅い姉でもあった(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、49頁)
・a-o-a-a
・あ行の頭韻

岩陰の家の女は思う(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、49頁)
・i-i-o-o
・あ行の頭韻

目を欺くほど鮮やかな黄の果肉(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、63頁)
・m-a-(h)-a-k-k
・あざむく/あざやか

些か苛立った(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、72頁)
・i-a-a-a:些か/苛立った

身体から何かが抜けて、凪いでいく(谷崎由依「Jiufenの村は九つぶん」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、74頁)
・k(sh)-n-n-n
・a-a:身体/から/かが
・類韻から頭韻へのグラデーション

焼けのかんだり籠(谷崎由依「船は来ない」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、156頁)
・y-u-u-y
・語頭が全てう段

卵の消費期限は昨日だが、かまわず生のままかける(谷崎由依「国際友諠」『鏡のなかのアジア』集英社文庫、83頁)
・a-a:卵/だが/かま/生/まま

孤独がかれの口を釘で打って封じてくれればいいのに(ロベール・パンジェ著 堀千晶訳『パッサカリア』水声社、64頁)
・k-k-k-k-u-h-k-i
・o-u:独/の口/を釘
・u-i:口/釘/封じ

子どものころからその諺を気に入っていた(小川哲『ゲームの王国 上』ハヤカワ文庫JA、7頁)
・o-o-o:子ども/のころ/その諺

春の雲のあいまから落ちてきた一滴がそのまま長い雨に変わり、三日目の朝に(西崎憲『蕃東国年代記』創元推理文庫、13頁)
・u-o:春の/雲
・i-a:いま/きた/滴が/(い雨/)に変/三日
・a-a:まから/まま/長/変わ/朝
・a-a-i:(長い/)変わり/朝に
・e-i-a:てきた/一滴が/雨に変
・i-e-i-a:ちてきた/一滴が

ちょうど早朝の(諏訪哲史「修那羅」 in 東雅夫編『平成怪奇小説傑作集3』創元推理文庫、397頁)
・ou:ちょう/早/朝
・ou-o:ちょうど/朝の

空気は発酵する果汁のように蒸し暑く、やがて昼時になると犬が理由もなく吠えはじめ(パノス・カルネジス著 岩本正恵訳『石の葬式』白水社、9頁)
・u-i:空気/うに/蒸し
・i-u:昼/犬/理由
・uu:空/汁/由
・a-u:果汁/暑/なる/なく

あらがい難い、あやしい、曖昧な、誤りと過ちの、文目(あやめ)に充ちた(金井美恵子「鎮静剤」『あかるい部屋のなかで』福武文庫、132頁)
・a-g-a-a-a-a-a-m
・a-a:あらが/難/あや/誤/過/文
・a-a-i:あやし/誤り/過ち
・ai:がい/難い/曖/昧
・この短篇では「あ」からはじまる形容詞が2頁にわたって延々羅列される

母の話の中には死者と生者がどこかで一体化(小池真理子著 東雅夫編『ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選』角川ホラー文庫、8頁)
・a-a:母/話/中
・a-o:母の/者と/がど
・o-a:の話/の中/こか
・i-a:には/死者/生者/一体化

あなたのなかには、あなたの生の傍らには、あなたにしか束ねることのできない荒々しい言葉の渦がある(千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書、5頁)
・a-a:あなた/なか/あなた/傍ら/あなた/束/荒々
・a-a-i:なかに/傍らに/あなたに/荒々しい

精鋭たちが集まり、遥かな高みで編み出された(千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書、6頁)
・a-i:たち/まり/高み/編み

互いの傷を晒し、悩みを語り(千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書、7頁)
a-a:互/晒/悩/語
a-a-i:晒し/悩み/語り

なぜだろうか。そのような効果(千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書、8頁)
・ou-a:ろうか/ような/効果

文章に関して非常に神経症(千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書、265頁)
・ou:章/常/症

批評や思想に興味が移ったのは高校に入ってから(千葉雅也「散文を恐れている」 in 『美術手帖』2018年3月号、88頁)
・ou:評/想/興/高/校
・i-ou:批評/思想/に興

獲物の食べ残しを放置してハゲタカのつつくがままにする(松崎有理「掃除と掃除用具の人類史」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、67頁)
・o-o:物/残/を放
・タカのつつ/ままにする

便利な装備を突然変異(松崎有理「掃除と掃除用具の人類史」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、68頁)
・en:便/然/変

掃除刑の恐怖から解放(松崎有理「掃除と掃除用具の人類史」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、72頁)
・ou:掃/恐/放

地球の表面上を毛細血管のように覆い(木澤佐登志「INTERNET2」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、114頁)
・ou:表/上/毛/よう/覆

宇宙の大いなる意志はあり得べき進化(木澤佐登志「INTERNET2」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、115頁)
・u-o-i-a-sh(e)
・「進化」と書いて「エヴォリューション」と読ませた場合、あ行の文字を一度ずつ使った語頭

大森望は、創作講座を通じて優秀な裏SF新人作家の発掘、育成もしているようです(小川哲「SF作家の倒し方」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、240頁)
・ou:大/創/講/よう
・e-u:て優/S/F/です
・o-o-i(大森/望)→ ou-a(創作/講座)→ uu(通/優/秀)→ e-u(S/F)→ in(新/人)→ akk(作家/発掘)→ i-u, ei(育成/ている)
・『叛逆の物語』(まどマギ)の巴マミ戦において驚きのスピードで次々と銃器を持ち替え射出していく暁美ほむらのような、やけにドープな押韻。手を替え品を替え敵を倒そうとする作品のプレリュードにふさわしい。

あなたが、あまりよく知らない裏SF作家(小川哲「SF作家の倒し方」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、241頁)
・a-a:あな/たが/あま/らな/作家

相手の間合いに入らない(小川哲「SF作家の倒し方」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、245頁)
・ai:相/合い/入/ない

様々なマナーを習います(小川哲「SF作家の倒し方」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、246頁)
・a-a:様/々/マナー/習

こにがれた愛の量(小川哲「SF作家の倒し方」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、247頁)
・そそそそ

最近はあまり機会がない(小川哲「SF作家の倒し方」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、252頁)
・ai:最/会/ない

悠長な投稿ができたのもこの状況だからこそで、その点では応募という創作の最終プロセス(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、265頁)
・ou:長/投/稿/状/況/応/創
・o-o:のも/この/こそ/その

最初の一枚以外(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、266頁)
・ai:最/枚/外

行動を模倣するドローン(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、267頁)
・ou:行/動/倣/ロー
・o-ou:模倣/ドローン

教会など持たないし、巣には祭壇もない(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、267頁)
・ai:会/ない/祭/ない

作中では、複数宇宙(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、267頁)
・u-uu:作中/複数/宇宙

煙管を吹かしたり翅を震わせて光の小便を撒き散らしたり(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、268頁)
・k-h-(t-)h-h-h-sh-m(-ch)(-t)
・a-i:吹かし/たり/光/撒き/散らし/たり
・i-a-i:したり/光/散らし

教皇像が放つ哄笑(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、270頁)
・ou:教/皇/像/哄/笑

慰謝にはなりえない、ただのまやかしだ。本作がかりに(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、271頁)
・a-a:はな/ただ/まやか/がか
・a-a-i:はなり/まやかし/がかり

形状がそのとおりである保証(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、272頁)
・ou:状/とお/証

現代社会の支配階層(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、281頁)
ai:代/会/配/階

志に見どころはあるものの(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、281頁)
・o-o-o:志/どころ/ものの

小惑星が蜘蛛の巣状の架橋構造物で物理的にも社会的にも統合(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、284頁)
・ou:小/状/橋/構/造/統/合

地表まで一千メートル付近で水平に飛行していると、船体に異様な衝撃(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、285頁)
・ou:表/行/様/衝
・i-ou:地表/飛行/異様
・ei:メー/平/てい

描写で読者を魅了するだろう(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、285頁)
・ou:描/了/ろう

数週間に及ぶ修理(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、286頁)
・uu:数/週/修

映画フィルムの乳剤にアナログ的に記録(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、290頁)
・o-u:の乳/ログ/録

長大な情報媒体を立体的に相互作用(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、290頁)
・ou:長/情/報/相/用
・ai:大/媒/体/体
・ou-ai-a:長大な/報媒体

情報空間はただでさえ想像を絶する広大さだが(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、290頁)
・ou:情/報/想/像/広
・a-a-a:はただ/さだが

乳剤の層には〈事態〉に由来する微細な時空間泡が無数に(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、290頁)
・uu:乳/空/数
・u-u-i:する微/無数に
・ai:剤/態/来/細

衣裳、照明担当の才能(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、290-291頁)
・ou:裳/照/当/能

三津の顔をみつめる時間が長くなっていく(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、291頁)
・i-u:三津/みつ/いく
・ダ、ダジャレ…😨

カチッ!文字盤を見ると、針がほんのひと目盛りだけ進んだ。私の勝ちだった(グカ・ハン著 原正人訳「ルオエス」『砂漠が街に入りこんだ日』リトルモア、10頁)
・k-m-m-h-h-h-d-s-w-k-d
・i-a:文字盤/針が/盛りだ/勝ちだ
・o-i:文字/を見/のひ/盛り
・a-i:カチ/針/私/勝ち
・ダ、ダジャレ…😨

「燈京」は、ある日飛来した〈磁堆(じたい)〉なる知的活動体に空を覆われている(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、292頁)
・ou:燈/京/動/覆
・ai:飛来/磁堆/体
・i-a:飛来/した/磁堆/的活
・a-u:ある/なる/活
・a-u-i:ある日/なる知

そのうち適応してしまい、〈磁堆〉を活かして生活するようになる(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、292頁)
・ou-i:のうち/応し/ように
・i-a:しまい/磁堆/活か/生活/にな

こうした人間模様と並行(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、293頁)
・ou:こう/様/行

燈京にすむ人々の思考能力を横奪(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、294頁)
・ou:燈/京/考/能/横
・i-o:思考/人/々

クライマックスの深夜の野外撮影で険悪(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、294頁)
・ai:ライ/外
・a-u:マック/撮/悪

委細はここには書かないが、製作は完全に頓挫、クルーは解散(飛浩隆「第一四五九五期〈異常SF創作講座〉最終課題講評」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、295頁)
・i-a:委細は/には/いが/製作/解散
・ai:細/ない/解
・a-a:は書/かな/は完/は解

地方紙の記事と思しき切り抜き 後に(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、472頁)
・o-i:方紙/の記/思し/後
・i-i:記事/しき/切り/後に

英語精読集の一例文(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、475頁)
・ei:英/精/例
・ei-o:英語/精読

スクラップブックを作った(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、475頁)
・u-u:スク/プブック/作
・u-u-a:スクラ/作った

経営していた(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、476頁)
・ei:経/営/てい

亡命していた老人が故郷(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、477頁)
・ou:亡/老/郷
・ei:命/てい

この地に留まること(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、477頁)
・o-o:この/留/こと

期待して開いたが、それこそ『四海文書』を初めて手にとった時(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、478頁)
・i-ai:期待/開い/四海
・t-t-t:手にとった時

御筆先を集めた手書き(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、480頁)
・u-e-a:筆先/集めた
・e-a-i:筆先/手書き
・e-a:筆先/めた/手書

出生率が低下している(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、481頁)
・ei:生/低/てい

金星神クラマが顕現する星体の成分を模したものだと聞きました(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、481頁)
・k-k-k-(s-)s-s-m-m-(d-)k
・ei:星/成
・i-a:星体/した/きま/した

我が星体を分け与えなさい(酉島伝法「四海文書注解抄」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、481頁)
・a-a:我が/与/なさ
・a-e:我が星/分け(/与え)
・ai:体(/与え)/なさい
・日本語ラップではae(二重母音)とa-e(2つの母音の間に子音が入る)の区別をつけなかったり、aeをaiに近い発音にしたりするので、「与え」が「我が星」あるいは「なさい」と韻を踏む。私的にはナシだがラップ的にはアリ。

さらにはフェリックス・ガタリや時枝誠記や吉本隆明らが、まさしく(鈴木一平+山本浩貴(いぬのせなか座)「無断と土」 in 樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA、570頁)
・a-a:さら/ガタ/隆/らが/まさ
・a-a-i:さらに/ガタリ/隆明/まさし
・o-i:時/誠記/吉
・i-a:には/リや/記や/明ら

薪割りの音が、春の訪れを告げる暁鐘のように(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、5頁)
・a-i(薪/割り) → の音/の訪 → u-e(訪れ/告げ) → o(u)-ou(暁鐘/のよう)

母子(おやこ)ともに頼もしいことだ(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、6頁)
・o-o:とも/頼も/こと

大人たちが子どもを脅す(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、8頁)
・o-o:大人/子ど/脅

ちらりほらりと煙があがり、粉挽きの水車はゆっくりと回る(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、8頁)
・a-i:らり/らり/がり/粉挽
・a-a-u:車はゆ/回る
・i-o:りほ/りと/り、粉/きの/りと

この場所を恐ろしいと初めて思った(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、26頁)
・o-o:この/(所を/)恐ろ/思

ただ母から離れたくなかった(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、26頁)
・a-a:ただ/母/から/離/なかった

表情に恐怖のようなものが生じた(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、33頁)
・ou:表/情/恐/よう/生

臓物をこぼれ落とした彼は、そのまま血を吐いた(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、33頁)
・o(u)-o:臓物/こぼ/落と/その

可哀想ですよ、同志上級曹長(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、35頁)
・ou:想/同/上/曹/長

予想外の反応に当惑(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、51頁)
・ou:想/応/当

親しみに満ちた視線の中に、高揚と、奇妙な興奮のようなものが同居(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、54頁)
・sh-m-sh-n-k-k-k-y-m-d
・i-i:しみに/満ち
・i-a:親/ちた
・a-i:親し/た視/中に
・ou:高/揚/妙/興/よう/同
・ou-a-o:妙な興/ようなも
・ou-o:揚と/同居

猟師よりも競技の方(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、61頁)
・ou:猟/競/方
・ou-i-o:猟師よ/競技の

多少は思うけど。どうしたの(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、78頁)
・ou:少/思う/どう

愛想のいい笑みを浮かべて、彼女は(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、78頁)
・「彼女は」ではなく名前の「オリガは」だった場合、語頭がa-i-e-u-oになる

あなたの話の中に、私はナチ(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、81頁)
・a-a:あなた/話/中/私/はナ
・a-a-i:話/中に/私/はナチ

なかなか撃たなかった(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、89頁)
・a-a-a-a:なかなか/たなかった

肩口に浅く当たった(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、90頁)
・a-a:肩/浅/当たった

女性が徴兵制の対象でない以上(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、109頁)
・ei:性/兵/制
・o(u)-ei:女性/徴兵
・ou:徴/象/上
・i-ou:対象/ない以上

叶わなかった母(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、112頁)
・全てあ段

オリガはこちら(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、137頁)
・o-i-a:オリガ/こちら

過剰集中した状況を利用(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、144頁)
・ou:剰/状/況/用

抵抗を繰り返し、機動力を駆使して侵攻(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、147頁)
・t-k-k-k-sh
・i-ou:抵抗/機動/侵攻

戦闘の技法を更新(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、148頁)
・ou:闘/法/更

悲しみは怒りとなり(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、147頁)
・a-i:悲しみ/怒り/なり

全ての兵科が訓練の成果を発揮すべく競うように働いた(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、148頁)
・u-e:全/訓練/すべ
・i-a:兵科/成果/いた

双眼鏡を覗くと、濃霧の向こうに、着弾の炎がおぼろに見えた(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、150頁)
・ou:双/鏡/濃/こう/炎
・o-o:覗/と濃/炎/おぼろ

さらに放った弾が、再び防弾ガラスを砕いた(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、175頁)
・a-a:さら/放った/弾が/再/ガラ
・a-a-i:さらに/再び

目に刻み、悼み、敵を殺したことを誇りに思え(逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房、179頁)
・e-i:目に/敵
・i-a-i:刻み/悼み
・o-o:殺/こと/誇/思
・o-o-i:殺し/誇り(/思え)

ロココ風の装飾をほどこした(クロード・シモン『三枚つづきの絵』白水社、5頁)
・o-o:ロココ/の装飾/ほどこ
・ロココ風/の装飾

長く会わなかった母(山尾悠子「銅版」『ラピスラズリ』ちくま文庫、22頁)
・「く」以外あ段

生産された工房の特徴、表情(山尾悠子「銅版」『ラピスラズリ』ちくま文庫、24頁)
・s-s-k-t-h
・ou:工/房/徴/表/情

壁のすべてを埋めて天井まで届く飾り戸棚があり、そのすべてにぎっしりと犇(ひしめ)いて(山尾悠子「銅版」『ラピスラズリ』ちくま文庫、24頁)
・u-e-e(すべて/埋めて) → tod-(…)-a-a-i(届く飾り/戸棚があり)→ s-s(そのすべて) → i-i(にぎ/しり/犇)
・a-e:壁/まで

その日も徒労のまま劇場の奈落から這い出し、その途中ひどい立ち眩みを起こした(山尾悠子「夢の棲む街」『増補 夢の遠近法』ちくま文庫、8頁)
・o-o:その/徒労(/場の)/その途/起こ
・o-o-i:その日/起こし
・ou-o-a-a:労のまま/場の奈落
・a-i:出し/立ち/眩み

あちこちに灯(あかり)とりの小さな穴が透かし彫りのように穿(うが)たれ(山尾悠子「夢の棲む街」『増補 夢の遠近法』ちくま文庫、8頁)
・a-i-o-i:あちこち/灯とり/かし彫り
・a-a:灯/さな/穴が/穿た

学生の数も少なく(飛浩隆「デュオ」『象られた力』ハヤカワ文庫JA、11頁)
・a-u:学/数/なく

靴音が左右不揃いなのに気づく(飛浩隆「デュオ」『象られた力』ハヤカワ文庫JA、11頁)
・u-u(-)o-o:靴音/右不揃
・u-u:靴/右不/づく

墓は何も話さない(飛浩隆「デュオ」『象られた力』ハヤカワ文庫JA、17頁)
・a-a-a-a(-)i:墓は何/話さない

墓地を出ると日は大きく傾いていた(飛浩隆「デュオ」『象られた力』ハヤカワ文庫JA、17頁)
・o-i:墓地/と日/大き

まくらもとの窓から見える夏の空は、どこまでも青く(飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使I』ハヤカワ文庫JA、9頁)
・m-m-k-m-n-s-d-a
・o-o-a:との窓/の空/どこま
・a-o:らも/窓/は、ど(/青)
・まくらもとの窓/夏の空は、どこ

赤い土を踏み固め(飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使I』ハヤカワ文庫JA、9頁)
・a-a:赤/固
・u-i:土/踏み

ジュースよりも美味だ。スープから立ちのぼる湯気の、超微の粒が夏の光に美しく渦巻く(飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使I』ハヤカワ文庫JA、11頁)
・u-u:ジュース/スープ/る湯/粒/美/渦

ここでやや細くなってきたかチョンボッコ、チョンボッコ細くなってきた、長さが仇になったか、長さと速さが仇になってしまったかチョンボッコ、さあ徐々に細くなっていく、細さが加わっていく、長さと速さに細さが加わっていく、さあチョンボッコどうか(吉田棒一「飯塚」)
・a-a:やや/たか/長/さが/仇/なったか/速さ/まったか/加わ
・o-o:ここ/細/ボッコ/徐々

コロナ騒ぎ以降も好調な金融市場の状況が影響(永田希『書物と貨幣の五千年史』集英社新書、44頁)
・ou:降/好/調/場/状/況/響
・ou-o:降も/好調/場の/状況
・o(u)-o(u)-a:コロナ/好調な/状況が
・i-ou:以降/市場/影響
・i-ou-o-ou-ou-a:以降も好調な/市場の状況が

ジョーカーが大量の現金を銀行から強奪(永田希『書物と貨幣の五千年史』集英社新書、48頁)
・j-t-g-g(-k)-g
・ou:ジョー/量/行/強

汚れた皿をそのまま戸棚に並べ(チャック・パラニューク著 池田真紀子訳『サバイバー(新版)』ハヤカワ文庫NV、419頁)
・o-o:汚/その
・a-a:皿/まま/棚/並

誤解しないでもらいたいのは、僕は墓荒らしじゃないってことだ(チャック・パラニューク著 池田真紀子訳『サバイバー(新版)』ハヤカワ文庫NV、396頁)
・ai:解/ない/らい/たい/ない
・o-a:誤解/もらい/のは/とだ

ソドムだかエリコだかソロモンの神殿だかが炎に包まれ、音もなく滅ぼされ(チャック・パラニューク著 池田真紀子訳『サバイバー(新版)』ハヤカワ文庫NV、396頁)
・o-o:ソド/ソロモ/炎/音も/滅ぼ

弱いものも、自分より強いものの心の、あるいは行動の構造を、想像力を駆使して理解につとめるべき(須賀敦子「想像するということ」『須賀敦子全集 第2巻』河出文庫、494頁)
・o-o-o:ものも/ものの/心
・ou-ou-o:行動の/構造を/想像力

乳飲み子に近い知能(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、34頁)
・ch-ch-ch
・i-o:乳飲/み子/知能

悪阻の酷い妻に付き添い、月夜(織瀬彩『麗夢緝』血輝肉、56頁)
・ts-h-ts-ts-ts
・u-a-i:悪阻/妻に
・i-oi:酷い/き添い
・u-i-o:付き添/月夜

依頼のこと自体一切知らせていない(今村昌弘『屍人荘の殺人』創元推理文庫、12頁)
・i-a:依頼/自体/一切/知ら/いな
・i-a-i:依頼/自体/一切/いない

腹が立ったら微笑む。叫びたい時には囁く(ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著 押野素子訳「フィンケルスティーン5〈ファイヴ〉」『フライデー・ブラック』駒草出版、12頁)
・h-t-h-s-t-s
・a-a-a:腹が/立ったら/囁

恐ろしい言葉で、あなたがたを叱責しようとしています(ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著 押野素子訳「フィンケルスティーン5〈ファイヴ〉」『フライデー・ブラック』駒草出版、14頁)
・o-k-a-sh-sh-sh
・o-o:恐ろ/言葉
・a-a:あなた/がた

私の中に言葉が残っていたら、こんなことはしていません(ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著 押野素子訳「フィンケルスティーン5〈ファイヴ〉」『フライデー・ブラック』駒草出版、20頁)
・a-a:私/中に/葉が/たら
・o-o:言/残/こと

ガレージに入った。ペンキが剝げかけた壁には、金属バットが立てかけられている(ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著 押野素子訳「フィンケルスティーン5〈ファイヴ〉」『フライデー・ブラック』駒草出版、29頁)
・a-e:ガレ/た。ペ/剝げ/かけ/壁/立て/かけ/られ
・i-a:に入/キが/には

禁止に応じて狂人たちに対比される形で、境界画定される(ミシェル・フーコー著 柵瀬宏平訳『フーコー文学講義』ちくま学芸文庫、26頁)
・k-o-k-t-k-k-k-s
・i-i:禁止に/ちに/対比
・ou-i:応じ/狂人
・a-i:たち/形
・ai:対/界

狂気がどのように表象(ミシェル・フーコー著 柵瀬宏平訳『フーコー文学講義』ちくま学芸文庫、27頁)
・ou:狂/よう/表/象
・ou-i:狂気/ように

ナボコフはこども時代の読書(秋草俊一郎『アメリカのナボコフ』慶應義塾大学出版会、147頁)
・a-o-o:ナボコ/はこど
・o-o-u:ボコフ/の読

貴族の風習というだけでなく、ナボコフの実母の趣味(秋草俊一郎『アメリカのナボコフ』慶應義塾大学出版会、149頁)
・o-u:族/の風/(という/)コフ/の趣
・o-o-u:ボコフ/母の趣

派遣するようにプーシキンの有力な友人ら(秋草俊一郎『アメリカのナボコフ』慶應義塾大学出版会、152頁)
・h-y-p-y-y
・uu:プー/有/友

ナボコフ自身がバトヴォでいとこと決闘ごっこをして遊んだこと、ルイレーエフ(秋草俊一郎『アメリカのナボコフ』慶應義塾大学出版会、160頁)
・o-o:ボコ/トヴォ/とこと/ごっこ/こと
・a-o:ナボ/バト/遊/だこ
・a-o-o:ナボコフ/バトヴォ/だこと
・a-o-o-u:ナボコフ/だこと、ル

小さな羽毛をふっと息で吹き払ってやるときの人間の表情(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、123頁)
・ch-u-h-i-h-h-y-t-n-h
・意味内容と連動して息の音であるhが頻出する

なたはんまり身体っていんじゃいの(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、128頁)
・a-a-k-a-n-n
・語頭が全てあ段

今日はどうしてもモーザーに勝たなくてはならない(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、132頁)
・ou:今日/どう/モー
・a-a-a:勝たな/ならな

気に茶をみながら、シア語でしゃべり(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、135頁)
・語の始まりの音が全てお段

その音と音は望みの関係を確立することができなかった(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、135頁)
・o-o:その/音/望

そしてたしかにそのとおり──突然まわりは木立になり(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、143頁)
・a-i:たし/かに/わり/立/なり

つい先ほど、彼らはみな樫のテーブルのまわりに集まり(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、146頁)
・a-i:先/はみ/樫/わり/まり

この歩道もどうしようもなくぐらぐらしていた(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、146頁)
・o-o:この/歩道/もど/
・o-ou:歩道/もどう
・ou:道/どう/よう

ルージンが入院(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、159頁)
・uu-in:ルージン/入院

氷の代わりに水たまりができてしまったし(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、210頁)
・a-a-i:代わり/たまり/まったし

ココアを飲み干し、髭を剃り(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、219頁)
・o-i:飲み/干し/剃り

おもしろそうなことを考え出すのも、興味深い客を招くのも、みんな無意味だ。またしても目が見えなくなって(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、240頁)
・o-k-k-(n-)k-k-m-(n-)m-m-m-m-m-n
・o-o:おも/ろそ/こと/のも

さらにあたりを見まわした(ウラジーミル・ナボコフ著 若島正訳『ディフェンス』河出書房新社、251頁)
・a-a-i:さらに/あたり/まわし

点描のような四月の緑におおわれて早々と到着(ウラジーミル・ナボコフ著 貝澤哉訳「レオナルド」『ナボコフ 短篇全集I』作品社、63頁)
・ou:描/よう/おお/早々/到

そうこうするうちに兄弟は成長(ウラジーミル・ナボコフ著 貝澤哉訳「レオナルド」『ナボコフ 短篇全集I』作品社、68頁)
・ou:そう/こう/兄/長

韻のさざ波がさらにその先へと走り出した(ウラジーミル・ナボコフ著 沼野充義訳「賜物」『ナボコフ・コレクション 賜物 父の蝶』新潮社、531頁)
・i-s-s-s-s-h
・a-i:波/さらに/先/走/出し
・子音も母音も韻でさざめいている

眠れる小舟たちは少年の夢(ヴォルフガング・ケッペン著 田尻三千夫訳『ユーゲント』同学社、4頁)
・u-e:眠れ/舟/少年/夢

私の目には優しい安らぎの暗闇(マルセル・プルースト著 吉川一義訳『失われた時を求めて 1』岩波文庫、26頁)
・a-i:私/優し/らぎ/闇
・a-a-i:私/優し/暗闇

貼り紙の下、鏡の中で、わたしたちの目がはじめて合った(ルシア・ベルリン著 岸本佐知子訳『掃除婦のための手引き書』講談社文庫、12頁)
・a-i:貼り/紙/鏡/わたし/たち/はじ
・a-a:鏡/中/わた/がは/合った
・e-a:で、わ/目が(/て合)

痛みがひろがり、頭がはりさけんばかり(アルフレート・デーブリーン著 早崎守俊訳『ベルリン・アレクサンダー広場』河出書房新社、12頁)
・a-i:痛み/がり/がはり/ばかり

湖岸通り、人びとが乗り降り(アルフレート・デーブリーン著 早崎守俊訳『ベルリン・アレクサンダー広場』河出書房新社、12頁)
・o-a:湖岸/とが
・o-i:通り/人び/乗り/降り

馬面、ふわふわ(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ  1-12』河出書房新社、11頁)
・u-a-u-a:馬面/ふわふわ

マリガンはちらりと鏡の下を覗き(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ  1-12』河出書房新社、11頁)
・a-i:マリ/らり/鏡
・o-i:の下/覗き

歯並びのよい白い歯のあちこちが金色にちかちか光る(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ  1-12』河出書房新社、12頁)
・a-i:並び/あち/が金/かち/か光
・o-i:びのよい/白い(/色に)
・i-a:い歯/ちが/ちかちか/光

肉襞の陰ができた顔と無愛想な卵形の顎(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ  1-12』河出書房新社、12頁)
・i-a:襞/きた
・a-o:卵/形の/顎
・a-a-o:(た顔/)卵/形の

芸術の保護者だった中世のとある高僧を思い起こさせる。おどけた笑みがすーっとその口もとに(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ  1-12』河出書房新社、12頁)
・o-o:保護/のと(/高僧)/思/起こ/おど/その/もと

同士の冗談とばかりに人差指を突き出し(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ  1-12』河出書房新社、12頁)
・ou:同/冗
・a-i:かり/差/出し
・u-i:同士/指/突き

砲座の端に腰を下ろした。そのまま見ていると、胸壁に鏡を立て掛け、器にブラシをひたし(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ  1-12』河出書房新社、12頁)
・o-i:腰/ろし
・a-i:端/まま見/鏡/器に/ラシ/たし
・a-e:立て/掛け

海ってのはアルジーの称したとおりだ。大いなる慈母か(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ  1-12』河出書房新社、14頁)
・u-i:海/ルジ/称し/る慈
・称した/通りだ/大いな
・a-u-i-o:アルジーの/なる慈母

差し出された鏡を前屈みに覗いた。鉤型のひび割れの裂け目が一本。逆立つ髪(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ  1-12』河出書房新社、16頁)
・a-i:差し/鏡/屈み/鉤/髪
・a-a-i:鏡/屈み/た。鉤
・a-a:出さ/鏡/屈/た。鉤/型/逆立
・a-e:され/割れ/裂け
・i-i:みに/ひび

はだけたままの黄いろいガウンがおだやかな朝の風に乗って(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ I』集英社文庫ヘリテージシリーズ、15頁)
・a-a:はだ/まま/だや/かな/朝

なぜ光の非存在は騒音の存在ほど彼には気にならないのか?(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ IV』集英社文庫ヘリテージシリーズ、148頁)
・n-h-h-s-s-k-k-n-n

満腹状態で消化促進のために仰臥(ぎょうが)しながら熟考した発明の可能性(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ IV』集英社文庫ヘリテージシリーズ、165頁)
・ou:状/消/仰/考/能
・ou-a:状態/消化/仰臥
・o-a:のた/の可
・ei:明/性

平凡だがかつては革命的だった発明(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ IV』集英社文庫ヘリテージシリーズ、165頁)
・ei:平/命/明
・a-u-e:かつて/革命/発明

模造品に御用心(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ IV』集英社文庫ヘリテージシリーズ、168頁)
・o-ou-in:模造品/御用心

その連想でブルームはいかなる情景を再構成したか?(ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一&永川玲二&高松雄一訳『ユリシーズ IV』集英社文庫ヘリテージシリーズ、169頁)
・ou-e:想で/情景/構成

つまり野卑な自慢によりてやどり、好戦的な海軍(小野瀬宗一郎「「キュクロプス」挿話のインターポレーション再考」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、113頁)
・ts-y-j-y-y-k-k
・a-i:まり/野卑/な自(/慢に)
・o-i:より/どり

全国規模での植林を提唱する内容の報告書をその翌年に発表(小野瀬宗一郎「「キュクロプス」挿話のインターポレーション再考」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、117頁)
・o-u:国/植(/唱す)/告/翌
・ou:唱/容/報/表

双方に共通する要素をもう一つ(小野瀬宗一郎「「キュクロプス」挿話のインターポレーション再考」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、127頁)
・ou:双/方/共/要/もう

病状を心配し、様々な治療方法を渉猟(桐山恵子「ニンフの布」──ニジンスキー『牧神の午後』と「キルケ」挿話の比較考察」 in 下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社、158頁)
・ou:病/状/療/方/法/渉/猟
・ou-ou:病状/方法/渉猟

ファリントンがうっかり口走った(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、201頁)
・a-i:ファリ/かり/走

だからあの方たちもなにかおかしいとわかった(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、202頁)
・a-a-a:だから/方た/わかった

幼少期から工場労働に従事してきた主人公ジョニーの自由意志が機織り機の反復動作(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、204頁)
・y-k-k-r-j-sh-sh-j-j-h-h-d
・ou:幼/少/工/場/労/働/公/動
・ou-ou-i:幼少期/労働に
・i-a:期か/きた/志が
・i-i:事し/意志/り機
・u-i:少期/働に/従事/主人(/由意)
・従事し≒自由意志

現代の世界を支配(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、204頁)
・ai:代/界/配

法律機構と連動したコピー機械(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、205頁)
・h-k-r-sh-k-k
・ou:法/構/動
・ou-i:法律/動し

本章冒頭でも記したように(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、206頁)
・ou:章/冒/頭/よう

物語を描きだすことばそのものにも及んでいる(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、206頁)
・o-o:物/こと/その/もの/及
・o-o-a:物語/ことば

ジョイスが巧妙に拵えた機械仕掛けの罠を暴きだしてみたい(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、206頁)
・j-k-k-k(-j)-w-a(-d)-m
・i-a:機械/仕掛/きだ/みた
・i-a-i:機械/みたい
・a-a:罠/暴
・a-i:た機/暴き/だし

私たちの前には「どこかおかしな」語り手の輪郭が浮かび(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、210頁)
・a-i:私/たち/かし/語り/かび

情景の機械的相貌の描出(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、210頁)
・ou:情/相/貌/描

ぎょっと驚くなか(まわりのものにおとらず(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、214頁)
・o-o:ぎょっと/驚/もの/おと
・a-a:なか/まわ

その実が物語に落とされた(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、218頁)
・o-o:その/物/落と

もはや「複写」の語り手がただの語り手ではないことは明らか(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、219頁)
・a-a:はや/語/ただ/語/はな/らか
・a-i:語り/明
・o-a-a:もはや/の語/の語(/とは明)
・e-a-a:手がた/ではな

すぐに原稿の写しをとって、その日のうちに送り(南谷奉良「ゼロックス・メカニクス──「複写」の機械式韻文」 in 金井嘉彦・吉川信編著『ジョイスの罠』言叢社、220頁)
・u-i:すぐに/写し/のうち/送り

管理人の娘リリーは、それこそきりきり舞いに(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、297頁)
・i-i:理人/リリ/きりきり/いに

呼鈴があえぐみたいに鳴りひびく(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、297頁)
・i-i:呼鈴/いに/ひび

誰もかれもがやってくる(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、297頁)
・a-e:誰/かれ/やって

リリーがゲイブリエルに言い、ドアを開いて招き入れた(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、299頁)
・ii:リリー/に言い/き入

ゴロッシュの雪をこすり落とし(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、299頁)
・o-o:ゴロッシュ(golosh)/落とし
・o-u-i:の雪/こすり

ふんわりした房飾りのような雪が(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、300頁)
・h(-sh)-h-y-y
・a-i:わり/飾り
・i-a:した/雪が

爪先に革飾りみたいに(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、300頁)
・a-a-i-i-a:爪先に革/飾りみた

雪で固くなったフリーズ織りから(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、300頁)
・u-i:雪/フリ
・a-a:固/なった/から
・a-a-u:固く/なったフ

踏み鳴らしたり摺足で踊る足音がして(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、300頁)
・u-i:踏み/摺
・a-i:らし/たり/足/足/がし
・o-o:踊/音

このごろの男の人(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、301頁)
・「ひ」以外お段

淡い赤のぼやけた斑になった(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、301頁)
・a-a:淡/赤/斑/なった

パタパタ叩いた靴に艶が(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、301頁)
・a-a:パタパタ/叩/艶が

男たちの靴の踵の鳴らすがさつな音や摺足で踊る靴底の音(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、303頁)
・o-o:男/踵の/音/踊/底/音
・a-a:踵/鳴ら/がさ
・a-u:らす/さつ/や摺

ちょっと怒ったかのように(ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳「死せるものたち」『ダブリナーズ』新潮文庫、306頁)
・o-o:ちょっと/怒/のよ

名度のわめていことは証された(柳瀬尚紀「解説」 in ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ダブリナーズ』新潮文庫、385頁)
・語頭がい段

語り出すと長くなるし、訳者の解釈を披露してみたところで読者の楽しみを殺ぐ(柳瀬尚紀「解説」 in ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ダブリナーズ』新潮文庫、378頁)
・a-u:出す/長く/なる/訳/釈
・o-u:読/殺ぐ

訳者の役割は、あくまでもジョイスの原文を可能なかぎり日本語として演奏すること(柳瀬尚紀「解説」 in ジェイムズ・ジョイス著 柳瀬尚紀訳『ダブリナーズ』新潮文庫、378頁)
・a-u-a:訳者/役割/あくま




引用文献リスト

逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』早川書房, 2021年.
秋草俊一郎『ナボコフ 訳すのは「私」:自己翻訳がひらくテクスト』東京大学出版会, 2011年.
────『アメリカのナボコフ:塗りかえられた自画像』慶應義塾大学出版会, 2018年. 
ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー『フライデー・ブラック』(押野素子訳)駒草出版, 2020年. 
フェリペ・アルファウ『ロコス亭:奇人たちの情景』(青木純子訳)創元ライブラリ, 2011年.
石川宗生『半分世界』創元SF文庫, 2021年.
市川春子『宝石の国(2)』講談社アフタヌーンKC, 2014年.
今村昌弘『屍人荘の殺人』創元推理文庫, 2019年.
ジェスミン・ウォード『骨を引き上げろ』(石川由美子訳)作品社, 2021年.
小川哲『ゲームの王国(上)』ハヤカワ文書JA, 2019年.
金井美恵子『あかるい部屋のなかで』福武文庫, 1995年.
金井嘉彦, 吉川信編著『ジョイスの罠:『ダブリナーズ』に嵌る方法』言叢社, 2016年.
金井嘉彦, 吉川信, 横内一雄編著『ジョイスの挑戦:『ユリシーズ 』に嵌る方法』言叢社, 2022年.
パノス・カルネジス『石の葬式』(岩本正恵訳)白水社, 2006年.
倉数茂『名もなき王国』ポプラ社, 2018年.
パウル・クレー『造形思考(上)』(菊盛英夫, 坂崎乙郎, 土方定一訳)ちくま学芸文庫, 2016年.
ヴォルフガング・ケッペン『ユーゲント』(田尻三千夫訳)同学社, 1992年.
小池昌代『黒雲の下でたまごをあたためる』岩波現代文庫, 2019年.
小池真理子著 東雅夫編『ふしぎな話:小池真理子怪奇譚傑作選』角川ホラー文庫、2021年.
佐々木中『砕かれた大地に、ひとつの場処を:アナレクタ3』河出書房新社, 2011年.
下楠昌哉・須川いずみ・田村章編『百年目の「ユリシーズ 」』松籟社, 2022年.
クロード・シモン『三枚つづきの絵』(平岡篤頼訳)白水社, 2003年(新装復刊).
アルノ・シュミット『ポカホンタスのいる湖景/移住者たち』(和田洵訳)水声社, 2016年.
ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ(1)(4)』(高松雄一, 永川玲二, 丸谷才一訳)集英社文庫ヘリテージシリーズ,  2003年.
────『フィネガンズ・ウェイク(1)』(柳瀬尚紀訳)河出文庫, 2004年.
────『ダブリナーズ』(柳瀬尚紀訳)新潮文庫, 2009年.
────『ユリシーズ  1-12』(柳瀬尚紀訳)河出書房新社, 2016年. 
須賀敦子『須賀敦子全集(2)』河出文庫, 2006年.
オラフ・ステープルドン『スターメイカー』(浜口稔訳)ちくま文庫, 2021年.
谷崎由依『鏡のなかのアジア』集英社文庫, 2021年.
多和田葉子『きつね月』新書館, 1998年.
────『ゴットハルト鉄道』講談社文芸文庫, 2005年.
千葉雅也「散文を恐れている」『美術手帖』2018年3月号(特集 言葉の力。).
千葉雅也, 山内朋樹, 読書猿, 瀬下翔太『ライティングの哲学』星海社新書, 2021年.
アルフレート・デーブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場』(早崎守俊訳)河出書房新社, 2012年(復刻新版).
飛浩隆『象られた力』ハヤカワ文庫JA, 2004年.
────『グラン・ヴァカンス:廃園の天使I』ハヤカワ文庫JA, 2006年.
────『SFにさよならをいう方法:飛浩隆評論随筆集』河出文庫, 2021年.
永田希『書物と貨幣の五千年史』集英社新書, 2021年.
夏目漱石『吾輩は猫である』新潮文庫, 2003年(改版).
ウラジーミル・ナボコフ『ディフェンス』(若島正訳)河出書房新社, 1999年.
────『ナボコフ短篇全集(1)』(諌早勇一, 貝沢哉, 加藤光也, 沼野充義, 毛利公美, 若島正訳)作品社, 2000年.
────『透明な対象』(若島正訳)国書刊行会, 2002年.
────『ロリータ』(若島正訳)新潮文庫, 2006年.
────『賜物 父の蝶(ナボコフ・コレクション)』(沼野充義, 小西昌隆訳)新潮社, 2019年.
西崎憲『蕃東国年代記』創元推理文庫, 2018年.
ドミトリイ・バーキン『出身国』(秋草俊一郎訳)群像社, 2015年.
蓮實重彦『夏目漱石論』福武文庫, 1988年.
チャック・パラニューク『サバイバー(新版)』(池田真紀子訳)ハヤカワ文庫NV, 2022年. 
グカ・ハン『砂漠が街に入りこんだ日』(原正人訳)リトルモア, 2020年.
ロベール・パンジェ『パッサカリア』(堀千晶訳)水声社, 2021年.
東雅夫編『平成怪奇小説傑作集(3)』創元推理文庫, 2019年.
樋口恭介編『異常論文』ハヤカワ文庫JA, 2021年.
A. N. ファーグノリ, M. P. ギレスピー『ジェイムズ・ジョイス事典』(ジェイムズ・ジョイス研究会訳)松柏社, 1997年.
ミシェル・フーコー『フーコー文学講義』(柵瀬宏平訳)ちくま学芸文庫, 2021年.
マルセル・プルースト『失われた時を求めて(1)』(吉川一義訳)岩波文庫, 2010年.
ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書:ルシア・ベルリン作品集』(岸本佐知子訳)講談社文庫, 2022年.
トーマス・ベルンハルト『原因:一つの示唆』(今井敦訳)松籟社, 2017年.
ジョルジュ・ぺレック『人生 使用法』(酒詰治男訳)水声社, 1992年.
保坂和志『小説の誕生』中公文庫, 2011年.
山尾悠子『ラピスラズリ』ちくま文庫, 2012年.
────『増補 夢の遠近法:初期作品選』ちくま文庫, 2014年.
ヨシタケシンスケ『わたしのわごむはわたさない』PHP研究所, 2019年.
吉田棒一「飯塚」(イグBFC2優勝作品)

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