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ライティング歴15年超えの書き手が執筆のコツをまとめてみた

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2006年に出版デビューしたライターによるマガジン。独自のノウハウ、考え方を思い付くまま公開しています。
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記事一覧

もっと上手く書けるようになりたかったら、ライティングで食っていくことは諦めなさい

もっと上手く書けるようになりたかったら、ライティングで食っていくことは諦めなさい

有名ライターのさとゆみさんが note に「プロの書き手になる人、ならない人、なれない人。」という記事をアップしているのを見つけた。

髪に関するエッセイコンテストの審査員をしたところ、

応募されてきたエッセイの3分の1は、私の文章より上手かった。ちょうど私は昨日、別件で髪にまつわるエッセイを1本、あるメディアに納品したのだけれど、私のその文章がこの応募作品に紛れ込んでいたら、一次審査も通らない

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どうやって長文をかいているのか? 長文をかくプロセスを公開してみた

どうやって長文をかいているのか? 長文をかくプロセスを公開してみた

書評家の三宅香帆さんが「文章を書くプロセス」を公開している。

正直言って全然気にしたことがないし、自分のやり方でしか書けないので、他人のやり方を知ってもどうしようもない部分がある。

とは言え、note 内で方法論が蓄積されたら、それはそれは面白いと思うので手短に書いてみる。

前提として8千字以上の文章を書く場合とする。

1.書きたいこと(断片)を書き散らすある程度のボリュームの場合、書きた

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デビュー作で50万文字の本を書き上げて掴んだこと

デビュー作で50万文字の本を書き上げて掴んだこと

Web ライターと呼ばれる人の多くが、「文章を書くのが好き」とか「自由な働き方に憬れて」とか「憧れのライターさんみたいになりたくて」といった理由から書く仕事に足を踏み入れたと思う。あるいは「小さな子供がいて外で働けないから」という観点から始めた人もいるかも知れない。

僕の場合はまったくの偶然だった。

ときは2000年。いまから20年も前だ。まだブログは影も形もなく、Web媒体もクラウドソーシン

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ライターとして書く

ライターとして書く

「私の言ったことをきれいに言い換えてまとめただけじゃない!」
一般の方から聞き取った体験談を原稿に落とし込んだときの話だ。ご本人に確認して頂いたところ、こんなお叱りを受けたことがある。

たぶんこの方は、自分の生き様をドラマチックに謳い上げるとか、「プロの物書き」の手で華麗な美辞麗句や讃辞を交えて自分のことを紹介するとかして欲しかったのだろう。
原稿という小宇宙のなかでは、世界はこの方を中心に廻っ

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上手い文章とは翻訳しやすい文章。どういう意味?

上手い文章とは翻訳しやすい文章。どういう意味?

●上手い文章とは?この記事を読んでいるあなたは、きっと「上手い文章を書けるようになりたい」と考えているにちがいない。

では、あなたはどんな文章を「上手い」と感じるだろうか?

一昔前なら「上手い文章」とは、「優美な筆致」あるいは「文学的で華麗な表現や格好いい言い回しを駆使した文言」ということになったかも知れない。

しかし読書や執筆(発表)の主戦場がネットに移ってから、「上手い文章」の意味すると

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文章の上手い下手って結局リズムでしょ?

文章の上手い下手って結局リズムでしょ?

先日投稿した「もっと上手く書けるようになりたかったら、ライティングで食っていくことは諦めなさい」が、割と良い感じで「スキ」されている。

そこで図に乗って、自分なりの上手く書くコツをちゃらっと開陳してみようと思う。

ただしここでは「起承転結」とか「最初に問題提起して、それから答えを書いて、その下に根拠を並べて……」といったテキストの構造論については触れない。

上手い人の文章には、なぜ接続詞が少

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ノンフィクションというジャンルの取材におけるメモの取り方について【音声配信】

ノンフィクションというジャンルの取材におけるメモの取り方について【音声配信】

僕は横浜市在住です。
同じく横浜市在住のライターである丘村奈央子さんの音声配信番組に出演しました。4回に渡ってノンフィクションにおけるメモの取り方について話しています。

ノンフィクションはルポルタージュとも言いますが、主に時事問題や社会的なトピック、歴史的な事件の検証などを現地に足を運んで書くジャンルです。いわゆるジャーナリスティックな文章が該当します。

丘村さんは企業専門のライターさん。一般

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丸アイコンつき吹き出しインタビュー記事を書いて、「勘弁してくれ」と思った話

丸アイコンつき吹き出しインタビュー記事を書いて、「勘弁してくれ」と思った話

先日、はじめて吹き出しつきのインタビュー記事案件を受けました。
こんな感じの奴です。

このスタイルのインタビュー記事を2本書いたのですが、「ちょっと勘弁して」という経験をしたので晒します。

インタビュイーは男女二人組の建築家ユニットです。

少し長いのですが、問題となる部分を転載しますね。

▼(転載開始)▼

●土地の個性と住み手の個性を出会わせる
Q:住宅設計で大切にしていることはなんでし

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ライティングにドラマトゥルグ制度を導入できないか?

ライティングにドラマトゥルグ制度を導入できないか?

note にはライターさんがたくさん棲息しているらしく、文章の書き方の記事が好まれるようだ。

そこで以前から試してみたいと考えている方法に関して、書いてみようと思う。

●ドラマトゥルグとはなにか?近年演劇など舞台芸術の世界では、「ドラマトゥルグ」という役目の人を入れて作品を作ることが多い。
ドラマトゥルグというのは演出家や振付家などのそばにいて、作品を深掘りしたり、方向性について考えたりする際

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【保存版】ライター・作家・文筆業の団体まとめ

【保存版】ライター・作家・文筆業の団体まとめ

昨年の終わり頃「日本文藝家協会」に入会した。

ほかにどんな団体があるのか、興味が出てきたのでメモ代わりにまとめてみた。
(原則として、多少なりとも自分に関係がありそうなもののみピックアップ。「日本デジタルライターズ協会」「求人広告ライター協会」「旅行作家協会」のようなジャンル別のものは除外しました)

*オンラインサロンは切りがないので、一つを除いて含めていません。

●一般社団法人日本作家クラ

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【保存版】本を出したい人のための、出版エージェントまとめ

【保存版】本を出したい人のための、出版エージェントまとめ

現在、自主企画で単行本の取材・執筆をしている。
このまま版元に売り込みを掛けていくのが常道だが、選択肢として出版エージェントに登録するのもありだな、と思ったので自分へのメモも兼ねてリストアップしてみた。
(翻訳関係・海外版権のエージェントは除外しています)

「そもそも出版エージェントってなに?」という方は、以下のリンク先をごらん下さい。

企画のたまごやさんNPO法人企画のたまご屋さんが、毎朝1

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電子書籍デビューしませんか?

電子書籍デビューしませんか?

今日は電子書籍の話をしたいと思います。

僕はまだ日本でAmazonのKDP(Kindleパブリッシング)が始まる前から電子書籍を作ってきました。
最初に作ったのはVoyagerの国産サービスT-Timeのファイル(ttz)です。
正確にいうと、オーサリングの仕様が公開されていなかったので、この時だけ変換を業者に頼みました。だから「作ってもらった」なのですが……まぁそれはそれとして。
(ttzとい

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【出版 Tips】 印税率や部数を下げれば企画は通る

【出版 Tips】 印税率や部数を下げれば企画は通る

以前、「本を出したい人のための、出版エージェントまとめ」という記事を書きました。

実際に自分でエージェントをつかったので、その経験から導き出した出版のコツについて軽く書いておこうと思います。

最初に結論を書いてしまうと、

売れそうなネタを持っていない限り、エージェントを使うのは時間の無駄

印税率や部数といった条件を下げれば、企画は通りやすくなる

ということが分かりました。

●売り込みは

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