「大人になって必要なことを学べた」未来を生き抜く力を子どもたちに〜鎌倉市立岩瀬中学校1年生の実践から〜
こんにちは。F.ラボアンバサダーの高村ミチカです。
F.ラボは現在、小中高大や特別支援学級の他、フリースクールや塾など30以上の教育機関と連携して、60以上の映像制作を活用したワークショップや授業プログラムを実施中。
今回は、鎌倉市立岩瀬中学校の1年生で行った「インタビュー映像をつくろう」の授業の様子をレポートしていきます!
現在1年生では、総合的な学習の時間で、地域活性化に関する調査活動に取り組んでいます。地域活性化に関するインタビュー映像をつくり、どんなところに人が集まるのかをプレゼンテーションすることに挑戦しているそうです。
より伝えたいことが伝わる映像にするためにプロの技から学ぼう!ということで、今回「インタビュー映像をつくろう」のワークショップを行うことになりました。
プログラム「インタビュー映像をつくろう」
まず、撮影の基本から。三脚、ピンマイク……プロっぽさが子どもたちのワクワクに火を付ける
まず、授業は撮影の基本からスタート。三脚を立て、タブレットを取付けます。初めて触る三脚に苦戦しながらも、グループで協力しながら準備を進める子どもたち。
カメラの準備ができたら、次は配置です。インタビュアーは向かい合って座り、タブレットはゲストの斜め前に置きます。
この位置関係が、客観的なインタビューのポイントです。斜め前から撮影をすることによって、メッセージ動画のようなカメラ目線にならず、客観的な撮影につながるのです。
途中で「『利き手』ならぬ『利き顔』があるんだよ」とカントクからアドバイスがありました。右からか左からかで、顔の印象は意外と変わるもの。ゲストがどちらから撮ってほしいか確認をしてから、撮影を始めるといいそうです。タレントやモデルさんは大抵どちらが利き顔かを知っているのだとか。授業の合間に入るちょっとしたプロのノウハウが、子どもたちのワクワクを刺激していきます。
さらに、ピンマイクの取り付けにも挑戦!実は、ピンマイクはインタビュー映像をプロっぽくするために重要なアイテムなんです。
静かな場所で撮影できれば良いですが、教室内や今回のように体育館でやる場合どうしても雑音が入ってしまいます。タブレットでは、空間全体の音を拾う特性があるため、ゲストと機材の間に距離があると、声よりも雑音を大きく拾ってしまうのです。ピンマイクを付けることで、ゲストの声が聞きやすくなるだけでなく、程よい緊張感が生まれ、インタビュアーの子どものパフォーマンスが上がるという効果も期待できるでしょう。
今回は、事前に教員研修も行っているため、先生方が子どもたちのサポートに入ってくださり、比較的スムーズに行うことができましたが、三脚やピンマイクなど撮影の準備は、正直、作業として手間がかかるところかもしれません。しかし、こういった準備を通して、子どもたちは撮影に向けての気持ちを高めていきます。ちょっとしたプロっぽさが、子どもたちのワクワクに火をつけるのです。
いきなり撮影しない、編集しない。先に構成を考えるから、「伝わる」映像になる
撮影の準備が整ったからといって、いきなり撮影はしません。まずやらなければいけないのが、構成を考えること。グループごとに質問リストを作り、答えやすい順番に並べ替えていきます。
インタビュー映像にとって、最も大事な構成要素が質問の内容です。テーマに合致したインタビューにするために、撮影前に何をどんな順番で質問をするのかを整理することがポイントになります。
今回はJamboardで質問リストを作成しましたが、CanvaやFigJam、Padletなどのアプリでも作業ができます。各学校の端末や動作環境に応じて、活用するといいでしょう。
また、この質問リストは、インタビュー撮影後に「編集前の構成」を考える時にも使います。
それぞれの質問に対して、どんな答えが得られたのか、撮影した映像を見ながら付箋に書き出します。次に、質問と回答の付箋をひと組にして、最初から最後まで並べてみます。最後に、順番を考えたり必要のない付箋を外したりして、全体の流れを考えていきます。これが「編集前の構成」です。
「ゲームの詳しい話は、話題が逸れるからカットしよう」
「家族の話はどこまで使う?」
などなど、伝えたいことに合わせて、内容を取捨選択してきます。
何も考えずになんとなくで撮影をしたり編集をしたりするのでは、本当に伝えたいことが伝わりません。まず先に構成を考えることで、伝えたいことが「伝わる」映像をつくることができるのです。
「作り手になる経験をしてほしい」未来を生き抜く力を子どもたちに
「子どもたちが作り手になる経験をしてほしい」と語るのは、1年生担任の仲井間先生。
SNSで様々なメディアに触れる今の子どもたちだからこそ、制作側を体験し、発信者側が意図を持ってメディアを制作しているのだということに気づいてほしいと、今回のプログラムへの思いを話してくれました。
プログラムを受けた子どもたちの感想からも、作り手を経験したことによる気付きが寄せられています。(原文ママ)
発信者は意図を持って制作していることを理解すると、情報を鵜呑みにせず真意を読み解けるようになります。さらに、自分が発信者側になった時に、伝えたいことが「伝わる」ように表現する意識を持つことができるでしょう。このことは、大人になっても必要な考え方です。
F.ラボのプログラムの目的は、子どもたちに未来を生き抜くチカラを身につけること。
今回の授業のアンケートの中にこんな言葉がありました。
異なる価値観を持つ人とチームで一つの作品を作り上げる経験。
一つの答えがあるわけではない「表現」を試行錯誤しながら高める経験。
伝えたいことが「伝わる」ように意図を持って編集をする経験。
それらを通して、変化の激しい時代を生き抜くために必要なチカラが育まれていくはず。アンケートの言葉を見て、その想いが確信に変わりました。
これからの社会を担う子どもたちにぜひこのプログラムを体験してほしい、と改めて感じさせられた1日でした。
最後に、今回の授業では葉山町の教育委員会の皆様、ソニー株式会社共創戦略推進部門の皆様が授業を参観されました。
その感想の一部を紹介します。
この学びを、次はあなたの学校でも。
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