読書録:道徳形而上学原論
エマニュエル・カント『道徳形而上学原論』(岩波文庫)
NHKEテレで放送されている『100分de名著』という番組が好きで、興味のある本が取り上げられれば必ず観ている。その中で古典的哲学書に関心を持つようになり、最近、細々と集め出した。
本書はトイレに常置して下痢や便秘で籠もっているときだけ読んでいた事から、薄い本にもかかわらず、読了まですごく時間がかかった。また、たびたび書いているが、抗精神病薬の過剰投与によるとみられる7月以降の意欲減退と集中力低下で、読書できなくなっていたのも時間がかかった要因であった。
本書はカントの代表的著作である『純粋理性批判』『実践理性批判』の序章という位置づけである。2冊とも未読だが、イメージ的にはそれらの要約、読解の手引きといった感じである。上記の著作はいずれも大著なので、200ページに満たないこの本はカント哲学の入門書に最適だと思う。カントの各著作を読む際、最初に目を通しておきたい本といえる。
ただ、執筆されたのが18世紀と古く、当時特有の凝った言い回しと、完全に形而上学を扱った内容から少々読みにくかったのも事実である。それに加えて排便中という短い時間で断続的に読んでいた上、実質的に脳が働いていない状態での読書だったので、内容があまり頭に入ってこなかった。
とはいえ、先にも書いたように、本書はカント哲学の入門書に最適だと思う。実際にそういう読み方を見越してか、ポイントごとに『純粋理性批判』『実践理性批判』からの引用が訳注として付されている。
カントに興味はあるが、『純粋理性批判』などの大著を読み通す自信がない人におすすめ。
最後に一言付け加えると、もう少し活字が大きいほうが読みやすかった。
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