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下記は『アートがわかると世の中が見えてくる』(前﨑信也、IBCパブリッシング)という本からの受け売りである。 1 昔から文化・芸術・学問の発展にはパトロンの存在が大きかった。古く奈良時代は国家そのものがパトロンであり、平安時代は貴族、中世は武家、近世は大名や町衆、近代は実業家。寺社に至っては近代に入るまでずっとパトロンであり続けた。 今はどうかというと、パトロンが存在せず、芸術家の自助努力によるところが大きいと思う。国家(政府)は主に学問の世界において、逆に締めつけるよう
『徒然草』に「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」という一節がある。昔から、日本人は不完全なものにあえて美を見る感性を磨いてきた。例えば、花は満開ではなく五分咲きや七分咲きを愛で、満月のみならず三日月や十六夜月に風情を感じ、散りゆく紅葉に「あはれ」を見た。 日本美術においても「不完全」や「ありのまま」が求められ、また「余白」に美を感じた。谷崎潤一郎が『陰翳礼讃』というエッセイを書いているが、意図的に陰を残すことほど、日本らしいものはない。陰と陽の調和を愛で、あえてものを
1 西田正規先生は『人類史の中の定住革命』の中で、人々が使う言語(ここでの言語は「〇〇語」の言語ではなく話し方・話し言葉と捉えるべきであろう)を「安全保障の言語」と「仕事の言語」に分けている。 言語は人類が集団を形成し、社会生活を営むうえで必須のものだが、文字として書き残さない限りはかたちとして残らないので、過去の言語(というか会話)を知るのはほぼ不可能である。しかしながら、均一化してしまった社会ではなく、古くからの生活習慣をとどめる、昔は「未開」と呼ばれた人々の暮らしを観
人は生まれた瞬間には自我を持たないので、自分の名前を自分でつけることができない。したがって、名付けるのは他人である。多くの場合、名付けは両親が行うが、両親が自分で考える場合もあれば、姓名判断などで決めてもらうこともあるだろうし、祖父母に決めてもらったり、知り合いに名付け親になってもらったり、そのあたりは多様である。ただ、名前は後から変えることもできるが、多くの場合、一生使うものである。
下記の文章は2025.2.20にTwitter(X)に投稿した内容を転記したものである。 昨日から『ストーリーが世界を滅ぼす』という本を読みかけている。内容は「物語(ストーリー)が持つ“共感を呼ぶ力”の功罪の分析」とするのが最も適切だろうか。 著者は英文学の研究者である。まだ100ページ前後、第二章の途中までしか読んでいないが、すでに示唆に富む記述が溢れている。 そのひとつが「語るな、示せ」で、懇切丁寧な説明がかえって理解や共感を遠ざけるという。 アーネスト・ヘミングウェイ
男のワイが言うから間違いないと思うが、男というのはバカな生き物で、自ら命を捨てに死地へ赴いたりする。そんな人間はごく一部だが、男なら誰しも一度は『宝島』のような冒険に憧れたことがあるはずだ。そうして死地へ赴いた「バカな男」のお陰で、地球上の空白地点はなくなった。コロンブスやマゼラン、リヴィングストンらの功績である。 そうした冒険、と言っても冒険には色々あるが、特に恋と義侠に彩られた冒険を「男のロマン」と思う。それを自ら実践したのがハードボイルドの代名詞、アーネスト・ヘミングウ
インドやカンボジアの寺院遺跡のレリーフを見ていると、宮廷に仕えた踊り子と思しき女性たちがトップレスで表されている。「女性の胸は隠すもの」という思い(込み)がある私は、それを見て疑問に思った。いつから女性の胸は隠されるようになったのか?と。 最近、ドイツ・ベルリンの市営プールで、女性のトップレスが認められて話題となった。考えれば、水泳や格闘技で男性は常にトップレスで、公共の場で上半身裸でも特に咎められない。一般に露出過多なファッションになりやすい女性の胸だけが「性的」として隠さ
例年、1月から2月にかけてはいわゆるニチアサのうち、8時30分枠(現在はプリキュアシリーズが放送されている枠)の改変期に当たる。今年放送されるプリキュアは『キミとアイドルプリキュア♪(略してキミプリ)』に決まった。アイドルがテーマになるらしい。それに関連して、思い出したことがあるので少し書いていく。
酒の飲み方考。 一時期、学生のコンパでの急性アルコール中毒が問題になったことがある。私が学生の頃にもまだ残滓が残っていたのだが、酔いつぶれるまで酒を飲ます悪習は急性アルコール中毒や窒息による死亡事故を招くので根絶するべきである。
『神、人を喰う』(六車由実/新曜社)に概要が詳しく紹介されているが、愛知県の尾張大国霊神社に「儺追(なおい)祭」という祭礼がある。岩手県黒石寺の蘇民祭や岡山県西大寺の会陽と似た裸祭りだが、祭の次第は時代によって変容しているものの、選ばれた特定の人を打擲して形式的に追放していたと言われ、一種の厄払いの祭である。儺追祭の名称も、おそらく追儺(ついな)から来ていると思われる。この選ばれた人(儺追人)は、古くは恵方で生け捕りにされてきたそうで、祭の発端からかなり手荒だったようだが、江
ここ数年、パワースポットがブームである。パワースポットとはすなわち聖地のことで間違いないのだが、聖地をパワースポットと言い換えると、どことなく胡散臭く感じるのは、背後にスピリチュアルの気配があるからだろうか。
1 はじめに ~ChatGPTとの問答から~それはひとつの思い付きだった。 1月末の全国的な荒天で体調を崩し、2月初めの寒波でそれが悪化して、未だに回復の兆しがない。 自律神経に不調があるためか、頭が冴えていても身体が倦怠感などで動かせなかったり、身体は自由に動かせても頭の働きが鈍っていて本すら読めない時があったりした。そういう時、浮かんできた疑問をChatGPTに検証してもらったりして遊んでいたのだが、プリキュアの深掘り考察をしていた時に下記のような思い付きがあった。 そ
はじめに 夢原のぞみのモデルは劉邦らしい?『ニコニコ大百科』の「夢原のぞみ」の項目に、興味深い記述がある。引用元が記されていないのだが、プリキュアシリーズの初代プロデューサーだった鷲尾天氏によると、夢原のぞみのモデルは劉邦らしい(ただし、司馬遼太郎氏の小説『項羽と劉邦』に登場する劉邦のイメージだという)。 夢原のぞみが主人公を務めた『Yes!プリキュア5』以降、プリキュアシリーズは3人以上で構成されるチーム制に移行し、初代以来のバディ制の要素も残しつつも『美少女戦士セーラー
今年放送している『わんだふるぷりきゅあ!』は人と動物の交流がテーマになっている。 『わんだふるぷりきゅあ!』にはニコガーデンという異世界が登場するが、ふとYouTubeで動画を見ていたら、ニコガーデン=他界(あの世)という考察が流れてきた。ペットが死んだときの「虹の橋を渡る」という表現からの連想のようだが、いろいろ気になる考察である。ニコガーデンにはすでに絶滅した動物もいて、それがこの仮説を有力にしている。もっとも、他界というのは死後の世界だけではなく、神々が住まう高天原も他