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私的ライトノベル論

僕は一般文芸を先に読んでからライトノベルを読み始めたので、ライトノベルに求めるクオリティが高すぎるという自覚はあるんだけども、電撃文庫を例に取った場合、2000年代と2010年代で内容にかなり差があり、2010年代以降の作品に食指が動かなくなったのは事実である。
電撃文庫はライトノベルレーベルの中では比較的重厚な作風のものが多く、他のレーベルと違って作家の個性が色濃く表れていて好きだった。『Missing』のように一般文芸でも通用しそうな作品もあったし、三雲岳斗氏のように「越境」した作家も多い。

文芸に高尚も低俗もないと思っているが、2010年代に入ると急速に電撃文庫の「良さ」が失われてきたのを感じた。富士見ミステリー文庫に非ミステリー作品が流入し始め、廃刊に至ったのもこの頃じゃなかったかと思う。同時に、電撃文庫作品の特徴だった「青春小説特有の苦さ」が、電撃文庫以外のレーベルも含めて見られなくなった気がする。27時間テレビのキャッチフレーズ風に言えば「明るくなければラノベじゃないじゃ~ん」みたいな風潮が出てきたという感じか。

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