バッチャと子育て~年の差80歳のひ孫育て!~「死ぬんでゃ~!?」
死ぬんでゃ~!?
うちのバッチャは大変、負けん気の強い人なので。たとえ相手が小学生でも絶対に負けたくないという気性の持ち主なのです。そういうのが良く表れているのが、バッチャの口癖……「死ぬや!」です。
先日、うちの小学二年生の次男坊が食事中に箸を落としたんですね。
「わい! 箸落としてそのままさすれば、死ぬや!」
とバッチャ。しかし、最近これがバッチャの口癖だとわかってきた小学生には、もうこの脅しが効かなくなってきました。
「死ぬって、どうなって死ぬのかな?」
と次男坊。すると小学五年生の長男が答えます。
「あれじゃないか? 落ちた箸に食中毒の原因ぶっしつが付着して、そのまま食べたら死ぬっていうあれじゃないか?」
「ええ~、死ぬかなあ?」
そう言ってウケるようになりました。これはひとえに私のせいなんです。孫嫁としましては、バッチャが「死ぬや!」と子どもをおどかしたとしても、「死にはしないでしょう!」なんてツッコミを入れるわけにはいきません。なので、バッチャが「死ぬや!」を言う度に、「そうだよ! 死ぬんだよ!」と加勢しておったのです。
「こったとこに服投げて(散らかして)おけば、踏んずけて死ぬんでゃー!?」
とバッチャが言えば、「そうだよ! 死ぬんだよ!」と、バッチャ以上の勢いで言う私。「サッサと宿題やって風呂さ入らねば、死ぬんでゃ?」
と、既に理屈すらわからない状況で死を引き合いに出すバッチャにも、後ろから「そうだよっ! 死ぬんでゃー!?」と加勢し続けました。
すると、「さすがに、死にはしないだろう……」と、子どもたちも気づいたのか、余裕ができるようになってしまったのです。
思い起こせば、バッチャが初めて「死ぬんでゃ~」を言ったのは、長男が生まれた時でした。
「サトコさん、見へ。赤ちゃんの額に線コあるっきゃ?」
生まれたての赤ちゃんの額をペタペタと触りながら、バッチャは言いました。
「この線こと触れば、死ぬんでゃ~?」
「ええ~!」
「死ぬ」とか言ってる割に、ペタペタと触っていたバッチャ。
あれは、一体何だったのでしょうか?
新生児には生まれてすぐから一歳半か二歳ぐらいまで、大泉門という頭蓋骨がまだ閉じていないラインが額にあります。確かにぶつけたり強く押してはならないそうですが、その線がまた可愛くて、ついつい触っちゃうんでしょうね。
あれから19年が経ちますが、今日もバッチャは元気に、「死ぬんでゃ~!」と叫んでいるのでした。
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