やまだ

片田舎のバンドマン。 毎週日曜18時頃更新。

やまだ

片田舎のバンドマン。 毎週日曜18時頃更新。

最近の記事

196.女性について

今回語るのは女性の事である。 これから記すトピックについて語るのはもしかしたら誤解を招く恐れもあるなあなどと思いつつ、おっさんが何言ってんだ気持ちわりいと言われそうな気もしたのであまり書く気もなかったのだが、あえて書こうと思う。逆にもはや人にどう思われても良いと思えるくらいの良い感じのおっさんになったからこそ書けるのかもしれないが。まあ、そんな過激な事を書くわけではない。ちょっとした感想文である。 ここで何度も記してきた様に私は基本的に健康体である。生まれてこのかた大きな

    • 195.ささやかな謎

      かじかむ手を擦り合わせ、冷気が漂う国道沿いに立つ。 数年前の冬のある日、私はバスの到着を待ち侘びていた。駅前へ酒を飲みに行く為にバスを待っていたのだが、冬道の渋滞で遅れているのだろう。なかなか到着しない。バス停には私の他に20歳前後と思われる若い女性がいた。可愛らしい、おモテになりそうな女性である。 通り過ぎる車が巻き起こす風を浴びながら、私は今か今かとバスが来る方角を眺め、若い女性は取り憑かれたようにずっと携帯をいじっている。 程なくして、ようやくバスが到着した。

      • 194.言葉の事

        ふと気付くと定期的に流行り言葉というものか世の中に蔓延している。 何が流行っているかなどよく分からないが、例えば今で言うなら《それな》とかになるのだろうか。古くは《ナウい》とかだろうか。何故かは分からないが、そういう言葉が世の中に蔓延していたとしても、私はあまり使わない。流行り物に対して意識的に敵対視して使わないとか、そういう訳では無い。なんとなく積極的に取り入れる気にならない。恐らく私が生活する上で必要だったり、言いたくなる言葉であれば使うのかもしれないが、なかなかそうい

        • 193.眠れない夜に

          夜の暗闇の中、目を瞑りいずれ訪れる睡眠を待つ。 悩みとまではいかないが、寝付きの悪さにいつも振り回される。 今日はどれくらいで眠れるのだろうか。こんな時は何か考えると眠りやすい。何を考えようか。あの事やこの事、想像、妄想、記憶の整理、思考を巡回する方法は幾らでもある。幾らでもあるが内容によっては目が冴えてしまう。この匙加減が難しい所である。 リッリッリッリッリッリッ 外から虫の鳴き声が聞こえてくる。窓のすぐそばで鳴いている。しかし、虫の音色は心地が良い。もしかしたらこ

        196.女性について

          192.5年目の衝撃

          今はもういなくなったが、私が幼少の頃、農家を営む祖父母の家でニワトリを飼っていた。食用ではなく卵用のニワトリである。 同居しているわけではなく、時々遊びに来る程度の私にとって、それは異文化であった。そのニワトリ達に対して子供ながらの好奇心はあれども恐怖心もあるので、触れたり、戯(たわむ)れたりという事は出来なかったが、泊まりに行った日の朝方などに叔母さんや祖母に付いて行き、卵を取る所を見に行ったり、年の近い従兄弟とニワトリ小屋でニワトリの観察をよくしていたものである。 そ

          192.5年目の衝撃

          191.連動する記憶達

          少し短い小話を。 記憶が連動して、いつもこの動きをするとあの記憶を思い出す的な事があると思う。 例えば、家で水道の水を出すと、何故か決まって小学生の頃、雨の中を下校している景色を思い出すとか。例えば、洗濯物を干していると、決まって婆ちゃんとコタツに入っている景色を思い出すとか。人それぞれよく分からん連動で思い出す記憶。 前者の様に水繋がりで連動する記憶や、後者の様に何の脈絡もない所から連動する記憶がある。 幼少の頃、近所の子供達と遊んでいた時の事。 子供の数が今より多

          191.連動する記憶達

          190.時を経て

          2024年、6月下旬。梅雨真っ只中の事。 夕方頃、家へ帰り玄関のドアを開けた瞬間、ムワッとした熱気が体を包んだ。日中の熱気がこもり、家の中に滞留している。私は家中の窓を開け放ち、換気を行う事にした。だが、リビングの窓を開けようと近付いた瞬間、私は思わず声を上げた。 『なんじゃお前らは!』 窓際のサッシ付近にアリの軍団がたむろしていたのだ。 昨年の秋、突如として発生したアリ軍団。紆余曲折を経てお引き取りいただいたあの日(前回参照)。あれから早半年。何の前触れもなくカムバ

          190.時を経て

          189.侵入者

          昨年の秋口。 過ごしやすい気温の日が続き、夏の終わりを感じていたある日の事。我が家のリビング、窓近くの床でアリを見かけた。よく外で見かけるアリとは違う種類。あれは大体5mmくらいのサイズだと思うが、それよりも小さな約3mm程度のアリ。 『(あらかわいい)』 などと思いながらその行方を目で追っていくと、窓際に束ねられたカーテンの影に入っていった。まあ、いちいち目くじらを立てる事でもない。ちょっと迷い込んだのだろうと微笑ましい心持ちでそれを眺めていた。 ─翌朝─ ソファ

          189.侵入者

          188.夜の生き物

          年始、寝てる最中にケツやら足が攣(つ)った日が続いた結果、体を動かす事を決意した。近所の競馬場の外周を歩く約3キロのウォーキングである。 開始したのが今年の2月。あれから約半年が経過しようとしている。 そして現在、やはり体を動かすという事は性に合わないので早めに断念をしていた。 なんて事にはならない。自分に課したルールは守る習性があるので今も続けている。数ヶ月続けた結果、歩く頻度や条件はライフスタイルに合わせて徐々に変化し、平日の天候が健やかな夜に歩くという所に落ち着い

          188.夜の生き物

          187.すれ違い

          《人だけが歩く分には問題無い広さだが、車が通るとその両サイドに一人、二人分しか通れなくなる幅の道》 という道がどの街にもあると思う。 先日、私は駅前のそんな道を歩いていた。 日中の太陽が照りに照った真夏さながらの気温の日。 『(暑いわあ、暑いわあ、早く涼しいとこ入りたいわあ)』 なんて心で唱えながら歩いていた所、後ろから音が聞こえた。振り返ると車が数台連なって来ている。私は即座に 『(あーはいはい。避けますよー)』 と、車の為に道を空け、端っこに寄って歩き続けた。

          187.すれ違い

          186.蛇と対峙した日

          ある日の夜中、不思議な夢を見た。 柔らかな日差し。生き生きとした緑が生い茂る草原に私はいた。空は青く澄み渡り、透き通った風が吹く。非常に爽やかな景観。その中にある轍(わだち)に沿って歩いていた。 いつからいたのか、最初からいたのか分からないが、隣で嫁さんが一緒に歩いている。彼女は私に何かを話しかけ、それに相槌を打つ。緩やかに流れる時間。 穏やかな風景ではあるが、その中に少しおかしな点があった。やたらと蛇がいるのだ。黒、白、銀、金、様々な色の蛇がいる。"足元を埋める様にい

          186.蛇と対峙した日

          185.洗っちゃいけないもの

          近所のスーパーに食材を買い出しに行った。 携帯のメモに書かれた食材を順々に買い物カゴに入れて歩く。だが、その途中に気付いた。 『(・・・ごぼう入れ忘れたな・・)』 私は引き返してごぼうの元へ向かった。通い慣れたスーパーともなると、どの位置にどの商品が置いてあるのか脳内にインプットされている。ゴルファーがホールまでの道筋が光って見える様に、私にも、ごぼうへの道筋が光って見える。最短距離で歩を進めると実にスムーズにごぼうの元へ辿り着いた。 だが、ごぼうを見て思った。 『

          185.洗っちゃいけないもの

          184.ミラーボール下の雑観

          友人のDJイベントに誘われ、遊びに行った。 自分がやってきたバンドや普段聴いている音とは異なるインストの打ち込みの音楽が鳴っている。それに反応して踊り出すお客。何となくその景色を眺めながら"何故、音の連なりが人を高揚させるのだろうか"と。考え込んでしまった。 別にこの場所だけが特別なのではない。きっと今、この街はおろか、他の街や他の国、それぞれの土地で同じ様に音が人を歓ばせる景色が流れているのだろう。 大陸間の交流がなかった古の昔からその土地土地で、他国だろうと、地球の

          184.ミラーボール下の雑観

          183.きのこの国

          住んでいる街の通い慣れた道を通っていると、たまに気づく事がある。 『(・・・こんな建物あったっけ?)』 とか 『(・・・こんな店あったっけ?)』 とか。 あまりにも日常の風景と化していてその存在を認識していないのだ。この街に何年住もうが、その道を何回通ろうが、そういった事がよくある。 先日も地元の田舎道を車で走っていると、あまり見慣れない看板が目に入った。何度も通った事があるが初めて認識した。古い看板なのでだいぶ昔からここにあったのだろう。 《きのこの国 〇〇m

          183.きのこの国

          182.伝わらない事

          人にはそれぞれ趣味趣向というものがある。 服あたりは分かりやすいのでは無いだろうか。モヒカン、鋲ジャンが好きな人からフォーマルなスタイルが好きな人まで色々ある。音楽もそれぞれだ。パンク、ロック、ポップス、ヒップホップ、レゲエなどなど。 それは感性で判断している事なので、大体の人はそこに共感が得られようと得られなかろうと好きなものは好きなのだと、その趣向に傾倒する。 笑う事もそうである。笑うツボがそれぞれある。お笑いだとこの系統が好きだとか、この芸人が好きだとか、好みのジ

          182.伝わらない事

          181. 私とエニシダ君の700日 後編

          《あらすじ》 エニシダ君という名の植物を屋内で育て枯らしかけるも、家の前の土に植え直した所、1年半をかけてとんでもない大きさに成長した。その矢先、大家からこんな通達を受ける事になる。 『今、敷地内の除草したり庭木の整備してるんだけど、山田さんちの前の大きな植物も刈らせてもらうね』 エニシダ君、伐採の危機である。 ────────────────────── 私は突然の言葉に息を飲んだ。ちょっと待ってくれと。確かに大きくなり過ぎたが、エニシダ君なりに精一杯リボーンした

          181. 私とエニシダ君の700日 後編