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2025年も2040年も「予見」はできるし、しなくちゃねって話。

 年末年始にはと、特に~10年代みたいな節目を超えていくと、未来予測的な書籍がたくさん出版されますし、読みたくなります。僕も読んでみた2冊をまとめて紹介します。いずれも既知の作家なので、基本的なスタンスや方向性、知見の領域などは理解して手にしました。どちらもかなり踏み込んで、「断言」をしてくれているので、好感が持てました。
 未来は予測できないが、予見はできるというのは、尊敬する田坂広志さんの受け売りですが、変化していく未来の姿を想定するのは思考訓練として大切ですよね。
 人口分布とか鉱工業の生産予定とか、テクノロジーの開発状況とか、ある程度の幅で「もう決まっている」未来もありますので、その情報を整理してまとめて、押さえておくのはビジネスパーソンとしての基本でしょう。

 未来について考えたい人、そこから今、自分がやるべきことを逆算したい起業家やビジネスパーソンにオススメの二冊です。

 まずは2025年という比較的近いスコープの『2025年を制覇する破壊的な企業』では、11社が紹介されています。
 Google,Apple、Facebook、Amazon、Microsoft、Netflixまでは誰もが順当だと思います。残りの5社を紹介します。

テスラ:著者のイーロン・マスクに対する評価は絶大のようです。電気自動車メーカーとしてではなく、地球環境問題の解決を一緒に掲げていることを評価しています。
インポッシブルフーズ:近年注目のfood-techの雄ですね。大豆による代替肉のレベルが高いとのこと。僕も体験してみたいです。
ロビンフッド:カテゴリーとしてはfin-techですが、toC(一般消費者向け)で、手数料無料の投資というのが衝撃的です。どの証券会社から買うかを誘導するかで証券会社側からフィーを取るというモデルがあるんですね、証券業の知見がなければ持てない方法だと思いました。
クラウドストライク:クラウド上でウィルス対策、ハッカー対策を行うセキュリティサービスだそうです。SaaSのサブスクリプションモデルで爆発的な普及が予想されています。
ショッピファイ:企業のECサイトの開発運営で群を抜く存在との評価です。

 投資家的な視点での事業の成長への評価が参考になります。同時に先行きが特に不安な業種も指摘しています。なるほどなと思うものでした。

・小売り:OMOでデジタルと一体化するので当然ですかね。
・エネルギー:地球温暖化による化石燃料の回避という流れですね
・金融:規制に守られてきた日本の銀行は本当にヤバイでしょうね。
・ゲーム:スマホアプリ以外のハード先行型が時代遅れになる指摘です。
・システム(SIer):クラウドとSaaSが顧客別に対応するシステム屋の存在を無意味化するというのは納得できますね。

 『2040年の未来予測』では、環境変化への警笛が鳴らされいます。地球温暖化の影響、日本においては大型直下型地震と火山噴火がかなりの確率で起きること、そこへの備えが説かれているのは、その通りだなと思いました。

 この二冊に共通して「失われた〜年」と言われても変わろうとしない日本への叱咤です。高度成長〜バブル期というのは幸せな時代だったのでしょうね。日本人をボヤボヤされて、危機感を持たないようにしてしまったとしみじみ思います。

 もう一つ共通しているのが、技術の進歩に対するポジティブな、そして揺るぎない確信です。特に『2025年』の山本氏は「シリコンバレー史観」と呼びたくなるような、アメリカIT企業を中心に世界を視ています。IT革命はアメリカ西海岸を中心に進みましたし、今後についても一定以上の正しさはあると思いますが、未来予測ということで言うと、一握りの猜疑心は必要な気はします。未来は何が起こるかわからないことを人類の歴史は証明しますから。

 コロナ禍で経済格差は広がっています。全体主義の国家の方が民主主義国よりウイルス対策に成功しているようにも見えます。資本主義、自由、民主主義という価値観を疑いながらも、良くしていくのが予想し得る未来に僕らができることだなと、未来予見を試みつつ思う、2021年の1月です。そのためにも俯瞰した高い視座と歴史から学ぶ姿勢は大切だなと思います。


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