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ことばと生き方──ことばに対するこだわり

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若い頃から「ことば」というものに興味があり、2001年から2018年まで“ことばのWeb”を主宰していた流れで書いた文章を集めています。
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2020年1月の記事一覧

お正月

お正月はなんでめでたいのか? ──小学校の頃からそんなことを考えていました。と言うか、その頃から他人と違うためにはどうすれば良いのか、を考えるようになりました。その頃から私は「人は皆同じである」ではなく「人は一人ひとり皆違う」ということを、物事を考えるスタート地点に据えたのでした。 そんな中で、お正月はなんでめでたいのか、というのは少年時代に随分悩んだ問題でした。そう、今思えば私はいつも苦悩に満ちた少年でした。 暦というのは人間が勝手に作ったものです。単位がなく永遠に数

上から目線

今の若い人たちは「上から目線」というのを徹底的に忌み嫌うみたいですね。 彼らが使う「上から目線」という表現は今や相手の全人格を否定できるほどのモンスター・ワードになったような気がします。でも、私は彼らがそんな風に言うのを聞くと、時々「そこかよ!?」と思ってしまうんですよ。 何しろ我々の若い頃は「全出勤日=パワハラを受ける日」だったので、「上から目線」慣れしちゃっているのかもしれません(笑) 我々の世代からしたら、全社会的に言葉遣いは乱暴だったし、誰彼なく上から目線でもの

後悔する生き方

近年、何事かを成し遂げた若いアスリートなどが、少し過去の自分を振り返って、「でも、後悔したくなかったから、一生懸命やりました」みたいなことを言っているのを耳にすることが少なくありません。 この後悔したくないという気持ちが、どうも私にはしっくり来ないのです。そう、私はそれを聞くと反射的に、 と叫びたくなることさえあります。 って、そんな風に思いませんか? 最近の若い子たちは何かと言うとすぐに「後悔したくない」と言いますが、私は常々「間違っていたなら後悔すればいいじゃない

ま、そんなこともあるかな。そう、そんなこともあるわな。

ま、そんなこともあるかな、そう、そんなこともあるわな、と思うようにしている。 例えば来るはずの連絡が来ないとか、待ちぼうけを食らったとかで、辛抱強い僕でもさすがにイライラし始めたところで、そんな自分に言ってみる。ま、そんなこともあるかな、と。 ちょっと待ってよ、なんで俺がそんな目に遭わなけりゃいけないのよ? 何も悪いことしてないのに。 と憤っている自分に言ってみる。 嫌われたのかもね、と なんで突然嫌われるんだよ!? と怒っている自分に言ってみる。 じゃあ、君は

「国語」が問うもの、「国語」が問われるもの

いきなり自慢話みたいなことで恐縮ですが、小中高校を通じて、私にとって国語は所謂「得意科目」でした。ただ、私自身にはとりたてて「国語が得意だ」という意識はありませんでした。 そもそもこれが学習科目であること自体が不思議で、あんまり勉強のしようもないし、だから「得意だ」とか「学力が伸びた」なんて実感しようがなくて、だいたい問題を解いていても数学みたいな面白さがないんですね。 数学なんかだと問題を解いている時が一番面白い訳で、だから私は数学が大苦手科目であったにもかかわらず大好

花のお江戸の方向感覚

関西と違って関東の人は北とか南とかを意識せずに生活してるって言います。 そう、関西では大阪でも神戸でも京都でも奈良でも、(市街地の中心部分に限ればの話ですが)、道路は東西南北の方向に碁盤目状に走っていて、従って家やビルも東西南北を向いています。 神戸では「海側」「山側」なんて言い方もあって、実際にこれが看板などの表示にも使われており、海側が南、山側が北です。そういう地形的な解りやすさも、東西南北を意識させるように働いているのでしょう。 また、京都で道に迷ったら立ち小便を