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ショートシュート

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短編集を集めてみました
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#売れないKindle作家

雨音はショパンの調べ(一分で読める小説)

雨音はショパンの調べ(一分で読める小説)

窓打つ雨の調べは、ショパン?
静かに奏でるのは、別れの曲なの?

私の心の中に想い出を刻んで、
消えてしまったあの人。
今は何処にいるの?
元気なら顔見せてよ!

もう直ぐ一年経つね、
君が居なくなってから。
もう、君は僕の元には帰らないの?

雨音が変わったよ。
激しく窓を叩くよ。
君は怒っているの?あの日の事を。
誰にだってあるよ、間違いぐらいは。
でも、それは許されない間違いだったの?
悔や

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復讐(一分で読める小説)

復讐(一分で読める小説)

「愛の反対語は無関心よ」と、
今日友達に言われた

私は「愛」の反対語は「憎しみ」
と、想っていた。

私を虐め紙屑の様に捨てたあの人を、
私は今も恨でいる。

私の中にある怨恨の炎は、
消える事なく燃え盛っている。

だけどそれは虚しいことだわ。
恨んでいても問題の解決にはならないわ。
「憎むことでアイツに縛られている」
それは悲しい現実。

あの人の事はもう忘れよう。
忘れ無ければならない。

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彦星誘拐(410字の小説)

彦星誘拐(410字の小説)

ある命令が私に伝えられる

[彦星を誘拐し、織姫の元へ連れて行け]

彦星とは◯国の皇太子
織姫とは✖︎国の姫君
二国は対立する国である

疑問に思った私だが、命令を成功さすだけ。

だが皇太子の誘拐など簡単にはできないが、
彦星を私の車に乗せる事に成功した

彦星に
「絶世の美女に会わせる」と
云うと私の元に着いて来た

私の向かうところは✖︎国。
国境の警備員は打ち合わせ通り
私の車を通過させ

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織姫妖怪(一分で読める小説)

織姫妖怪(一分で読める小説)

◯国では騒然となっていた。
彦星皇太子が誘拐されたのだ。
だが、身代金の要求がされてこない。
不思議に思っている時に、ニュースが
ラジオから流れてくる。
「◯国の皇太子と✖︎国の織姫が結婚した」
と。
そして
「◯国と✖︎国はこれから対立を辞めて
親交国になっていく」

驚いたのは国王だったが、
◯国の国民は大喜びであった。
「これからは、いざこざも無く安心して暮らせる」

彦星は国民から大絶賛さ

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白い靴を履いていた人(一分で読める小説)

白い靴を履いていた人(一分で読める小説)

白い靴が目立つ、あのお爺ちゃん
毎日この道を散歩している、あのお爺ちゃん。
私の家の前で、腰を下ろし休んでいた、あのお爺ちゃん。
「今日も姿が見えないな〜。
どうしたのだろう?
名前も知らないお爺ちゃんだけど、
会えないと、何だか寂しいなぁ。」

今日、何故かゆっくり走って行く
白い色の霊柩車
私の家の前を名残り惜しそうに通って行く。

霊柩車の中に目を向けると、
抱かているあのお爺ちゃんの遺影。

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巧妙な詐欺(1分で読める小説)

巧妙な詐欺(1分で読める小説)

人間誰しも、簡単に信じてはいけない。
たとえそれが、
愛情持って育ててくれた両親であっても。

彼がある日、両親から家の購入の相談を受けた。
母親が云うには「2000万の建て売り住宅を購入したい」と云うのである。
だが、「両親とも高齢で住宅ローンが組めない。お前の名義でローンを組みたい。返済は私達が責任を持つから、
名義だけ貸してくれ」
と、頼まれた。

彼は熟考し反対したのだが、両親は執拗に食い

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放課後ランプ(410字の小説)➕追伸

放課後ランプ(410字の小説)➕追伸

僕は受験生。
僕の家は貧しく、塾にも行く事は出来ない。
不安に思っていたある日、ある人からランプを貰った。
その人が云うには
「このランプを灯すと、授業中の記憶が蘇る」と云うのだ。
このランプ、「放課後ランプ」と云うらしい。
…そんなランプ、本当に有るのか?…
と、疑念が湧いたが、
授業の内容がもう一度確認できるのであれば、
復習するのに最適である。
そのランプの使い方は、
「授業中にそのランプを

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ある霊能者(380字の小説)

ある霊能者(380字の小説)

ある霊能者が、私に向かって
「貴方は凄い能力の持ち主だ。
修行すれば、かなりの力を得るであろう」
と、言ってくる。
おだてに弱い私は、その言葉を信じて修行を重ね遂に
霊能力を身に付ける。

私には観える。
その人の運命が、手に取る様に解る。
だが、只では教えてはあげない。
修行に元でが掛かっているからだ。
私は、路上で占いの商売をやり始めた。
私の占いは当たる、と評判となり多くの
人達が私の元にや

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300字のラブレター➕追伸➕追伸の追伸

300字のラブレター➕追伸➕追伸の追伸

澪ちゃんと、初めて会ったのは、
幼稚園児だったね。
鼻水を垂らしていた僕に、
君はティッシュペーパーをくれたね。
僕が鼻をかむのを見て
「50円ちょうだい」
と、手を差し出した澪ちゃん。

僕に強烈な印象を与えてくれたよ。

遠足に行った時に、
お弁当のオカズを落として
泣いている僕を勇気付けてくれたね。
「エビフライをどうぞ」と言って。
でも、後でハンバーガーを奢らされてしまったけど。

ボラン

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あほやん300字のラブレターを頼まれる➕追伸

あほやん300字のラブレターを頼まれる➕追伸

「私の事好きなら、ラブレターちょうだい。
それも300字以内で書いてね。」
と、愛嬌を振りまきながら言いふらしているのは、
幼馴染の澪ちゃんだ。
だが、誰も聞き流していた。

僕は不思議に想い、澪ちゃんに訊ねたら
澪ちゃんは、
「雑誌の募集小説に『300字のラブレター』と
言うのがあるの。それに応募したいんだけど、
私は小説書けないの。
だから人に書いてもらうの。
大賞を獲ると賞金50万円よ、凄い

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小さいオルゴール(530字の小説)

小さいオルゴール(530字の小説)

結衣ちゃんはもう直ぐ3歳になる女の子。
何でも興味を持つ女の子。

今日は不思議な箱を見つけて、目を輝かしています。
「ねえママ、この箱不思議だよ。蓋を開けると音楽が聴こえてくるよ。」

「そうだね、不思議だね。この中に結衣ちゃんよりも小さな人が
音楽を聴かせてくれてるのかも知れないね。」

と、ママは結衣ちゃんに夢を与えてくれました。
「この中に、小さな人がいるの?結衣ちゃんよりも小さな人がいる

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春ギター(410字の小説)

春ギター(410字の小説)

兄はいつもギターを抱えてる。
「ギターが恋人」と兄が言う。
何故恋人が居ないの?
妹の私には解らないわ。

兄は妹から見てもかなりのイケメン。
彼女が居たって不思議では無いのだけど
出不精が祟っているみたいで出会いが無いみたい。

最近兄のギターの音色が変わってきた。
穏やか音色。
まるで春の季節みたいな癒しの音色。
私は畏敬の念を持ち「春ギター」と命名した。
それを兄に伝えてたい。

自分の作曲

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春の夢(420字の小説)

春の夢(420字の小説)

「春の夢?
別に夢は春だけでは無いでしょ。
夏だって、秋だって、冬だって、夢はあるでしょう。」
と、冬が冷たく言った。
「そうだよ、春だけなんて可笑しいぞ!」
と、夏が熱く語る。
「まあまあ、皆さん冷静になって」
と、涼しげに秋が言う。
「でも、春と私は姉妹なのに春だけなんて、ズルい」
秋は拗ねている。
「みなさん、ごめんなさい。私、国民の多くの人達に
一番好かれているので、『春の夢』として選ばれ

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ハルの夢を(410字の小説)

ハルの夢を(410字の小説)

「貼るの!夢を。神社の壁にお札を貼るとね、
願いが叶うのよ」
と、見知らぬ人の声が聞こえる。
ここは「壁貼り神社」
…壁に貼ったぐらいで、夢が叶うなら苦労はしないよ。…
と、想っていたのに、この神社に来てしまう
「溺れる者は藁をも掴む」と言うけれど
今の僕の心境だ

壁に貼ってあるお札を見ると、
夢の貼り紙に、❤️のマークが付いている。

神主に聞いてみた。
「他人の夢が良い夢だと感じたら
❤️を

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