企業と採用候補者の「すれ違い」問題を解消するために 【転職を考えている人編】
はじめに
久しぶりにnoteを書きます。筒井です。
XTalentに入社して2年半ほどが経つのですが、昨年までは企業におけるDEI推進支援でトレーニング開発やプロジェクトのデリバリーをしてきました。最近は、ワーキングペアレンツを中心としたミドル〜ハイレイヤーの人材紹介をしています。
「優秀な人材を採用したい」という企業と「持続可能な働き方をしながらキャリア形成をしたい」という転職を考えている人(以下、候補者と書きます)とのマッチングをしている中で、本noteでは候補者の方にお伝えしたいことを綴ります。
【ご参考】企業編を読みたい方はこちら
「持続可能な働き方をしながらキャリア形成をしたい」候補者の方にお伝えしたいこと
皆さんの周りにも、男性で1ヶ月以上の育休をとる方や、パートナーの出産を経て働き方を変えている方がいらっしゃるかもしれません。
「長時間働くこと」「突発的な対応に常時応えられること」「オフィスに出勤していること」などがキャリア形成において評価ポイントとされている環境にいらっしゃる方の中には、「この働き方は続けられないのではないか・・」という思いをお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。そんな方が転職というひとつの選択肢を見据えて活動される上で、参考にしていただきたいことを綴ります。
認知バイアスによる壁
これは特に育児中の女性の方と面談をさせていただくことに感じることなのですが、キャリアを積んでおられ経験上は応募資格が十分にあっても、
「応募要項を満たしていない(と自分では思う)から応募できない」
と言われることが一定あります。応募に進んでいただくまでに様々な情報提供やフォローをさせていただいてはじめて応募に進まれるのですが、実際、経験はマッチしているので選考はスムーズに進むことが多いです。
実際は応募資格が十分にあるにもかかわらず、「自分はそこまでには到達できていない」と自身の経験を過小評価してしまうケースです。インポスター症候群という言葉で語られることもあります。
そういう方は、同僚や上司、第三者のエージェントなどに仕事のフィードバックやアドバイスを求めていただくといいかもしれません。
「私は自分自身に対して、過小評価しがちかもしれない」と気づくことがスタートラインです。
潜在意識レベルの「役割の固定化」という呪縛
候補者の方の中には、「親たるもの、何時も子どものそばにいなければならぬ」と自身の役割を無意識的に固定化している方がおられます。
個々人の価値観なので、いい / 悪いはないというのが大前提なのですが
自身でも気づいていない本心としては、「本当はもっと周りに頼って、自分がキャリアのアクセルを踏みたい時に踏める状態でいたい」という思いがありながらもその気持ちに蓋をされており、自分自身の役割を自分自身で無意識的に固定化しているというケースです。
本心でそうしている場合は問題ないのですが本心は違うのに自身で決めた役割の固定化に自分自身が苦しんでおられる場合は介入が必要です。
その固定化は転職の意思決定の際にも大きく影響してきます。
「自分はなにをしたいのか?」ということよりも、「固定化された役割を実現できる環境かどうか?」だけにフォーカスすることに繋がってしまいます。それで転職できたとしても、「なぜこの仕事をしているのだろう」という問いから短期離職につながったり、キャリアにストーリー性がなくなってその後の転職に苦労してしまったりするかもしれません。
なので「柔軟な働き方」だけが先行して、「自分にとっての、そこで働く理由」が明確でないまま転職活動をしているとしたら、一歩立ち止まる必要があると思います。
「私の今の選択は、私の持続可能な未来につながるのかどうか?」
と自分に問いかけ、
Yesと言えないならそこに向き合うことが重要です。
役職や経験を問わず重要なアンラーニング力
そして、役職や経験を問わずに転職活動がうまくいくかどうかを左右するのが「アンラーニング力」だと思います。
「学習棄却」とも呼ばれますが、これまでに蓄積した習慣・知識・価値基準・信念などを棄却し、新しいものを取り入れることです。
30代前後でもこれができない方はいます(実際、面接で必ずといっていいほど落とされています)し、40代後半の初転職という方でもこれができている方は転職を実現されやすいように感じています。そして、働き方はより柔軟にしながらも年収UPを実現している方もいます。
「若いからアンラーニング力が高い、歳を重ねているから低い」など、年齢で判断できるものではないなというのが肌感です。
自分の過去の成功体験をベースとした価値判断基準を変えられない方は、認識のアップデートが大切だと感じます。
アンラーニング力が弱い人は大いにして、他責傾向です。コントロールできるのはまず自分自身なのですから、自分がまず自分を視て、自分が変われるところから少しずつ変えていくのです。
自分の思ったようには物事が進まない場合、周りに責任があると押し付けることで自分から目を背けるのは、結局は自分の成長を阻害します。
まとめ:転職活動を考えている方へ
ここまでに触れてきたことをまとめるとこんな内容になります。
いかがでしたでしょうか?
少しでも役立つ情報をお渡しできていたら幸いです。
企業編の記事もご興味のある方はこちらをご参照ください。企業編では、研究論文で検証されていることに触れつつ、採用活動に携わられる方向けにお伝えしたいことを書きました。関連研究について取り上げています。