見出し画像

「学びの場」の多元化に向けて

前回の記事「学校(での)教育を考える」では、学校が担う役割の多さとその限界について触れました。
「言うは易し・・・」で終わってはならないテーマだと思っています。
学校が「教育活動」を抱えすぎている事に関しては、さまざまな見方や捉え方、アプローチが考えられますし、現に学校の内外からさまざまなアクターが試行錯誤しているはずです。
また、私は現在の公教育を否定したいわけではなく、その他の選択肢が今後、自由に開かれていってほしい、という立場でnoteを書いていこうと思っています。

学校の根本的な役割とは

そもそも、学校は子どもたちが「教育を受ける権利」を行使する場であって、権利の行使は本人の「何かを学びたい」という姿勢があってこそです。
その欲求が満たされていて、ふだんから自分自身の意見や気持ちが尊重される場や関係性があるのなら、従来型の学校に通い続けることになんら疑問は生じません。
すべての子ども達に「学びと安心」が約束された場所が学校なのだと思います。

理想と現実

また、私たち教員サイドも、子どもが生き生きと活躍する姿に感心したり、自分自身が子どもに差し出したもの(授業や面談やコメントの交換など、あらゆる対面/非対面状況でのやりとり)を振り返ったり、ただ単純に目の前の子どもの笑顔や成長が嬉しくてやりがいが満たされたり、という「子どもとの関係性」を本来は最重要視しているはずです。
成績やルール順守、時間や容姿の規制などは、一日にさまざまなタスクをこなさなければならない中で、集団相手にいかに効率的に物事を進められるかが前面に出てきてしまった結果であって、「成績やルールで子どもを序列化したい」と思って教員になる人はいないと思うのです。本当はもっとしっかり丁寧に、時間をかけて一人ひとりの子どもや保護者と向き合いたいと思っている教員は多いはず。「学びと安心」を提供したくても、さまざまな面での余裕が、ゆとりがないのが現実です。

公教育と支えあっていく「もう一つの学びの場」

・学びたいことを学びたいように学べるか。
・自分の意見や気持ちが常に受け止められ、応えてもらえるか。

高校教員の立場である自分自身に投げかけてみると、自信をもって「YES」とお答えできません。
いやむしろ、「学校にはカリキュラムってものがあって、基本的には教科書に沿って授業しなきゃならないし、同じ時間に約30人が一緒に学ぶし(100人を3人の教員で30人強ずつ分担して授業展開する場合も多々)、1コマ50分しか時間は取れないし、一人の発言を聞いているとその他の子に平等に目が行き届かないし、じゃあ放課後なら…あ、今日は〇〇時から会議があって、後日改めて…」
などなど、言い訳しか出てこない気がします。汗
しかも返答はすべて学校側の事情であり、真正面から応えられていませんね。汗

学ぶ側からの、このような投げかけに対する受け止め方の一つとして、「デモクラティックスクール」の存在に注目しています。
現在読み進めている本の一つに『世界一素敵な学校』というものがあります。
以下、一部引用です。

 人生のなかで意味をもってくる学習とは、甘言、または褒美、あるいは圧力のないところで、学び手が自分で選んだ対象のなかに自己を投企するとき、はじめて成立する種類のものと、わたしたちは考えたのです。

 そして、こうも確信しました。意欲と決心と一貫性のある生徒を得たとき、教師ははじめて比類なき達成感に浸ることができる、と。正直言ってわたしたちは、そういう環境ができれば、それは子どもたちにとっても教師にとっても、パラダイスになるに違いないと考えていたのです。
 
 そういう自分たち自身の考えに誠実であるために、わたしたちは「カリキュラム」、あるいは、「学校」が考案した「プログラム」なるものから離脱を図らねばなりませんでした。前へ進もうとする力はすべて、子どもたちから発せられたものでなければなりませんし、学校はただその意欲に応えるだけでいいのです。個々の子どもの諸活動の全責任は、その子どもとともにあるべきで、権威的なポジションにいる第三者とともにあるわけではないのです。

ダニエル・グリーンバーグ著、大沼安史訳『世界一素敵な学校 サドベリー・バレー物語』


現在の教育事情をリサーチしているなかで、目にしたこのような学校運営の在り方に、はじめて読んだ時の感想を正直に述べるなら、理念には賛同するけれど「絵に描いた餅」というか…「そんな理想通りにいくの?」という懐疑でした。
デモクラティックスクールには、時間割やテストや評価がないそうです。さらに子どもはすべての決定権を持っており、話し合いで運営方針を決めていくようです。

あまりにも学校っぽくないので、どういう光景が広がっているのか想像が追いつきません。
ちなみに現在、日本にあるデモクラティックスクール(発祥であるアメリカ・ボストンのサドベリーバレースクールの教育理念に共感し、それにもとづいて設立・運営されているため「サドベリースクール」ともいう)は、約20校ほどのようです。
※参考までに総合情報サイト(デモクラティックスクール・ネット

私自身もまだまだ情報収集や本で勉強している最中ですので、今後は進捗状況なども合わせて記事にしていく予定です。

今後の活動予定

仕事や育児の傍ら、さまざまな公教育以外の学びの在り方、いわゆるオルタナティブ教育のリサーチをしてきました。イエナ・プラン、モンテッソーリ教育、シュタイナー教育、などなど。
そのような代替案のなかの一つに位置付いているのが、今回取り上げたデモクラティックスクールです。
公教育とりまく問題の整理と、今後の方向性についての情報収集はある程度できてきたと思うので、次は、意見交換や現地視察の段階に進んでいこうと思います。

→次回の記事では数ヶ月後の進捗をまとめましたのでぜひご覧ください。「今日の最善が、明日の最善ではない




いいなと思ったら応援しよう!