シャーマン
「シャーマン」は2010年に制作した「あいさつをする熊」と全く同じ熊の形を切り取った鉄板を使うが、プロセスやコンセプトが異なる。人間も含める全ての生物はモノタイプの版画であるという考えを表現するため、人工的に作られた合成樹脂で塗りたぐられた紙をくちゃくちゃに丸めたものを広げて、その画面の上にそれぞれの動物の印鑑(版)を押す。また、ドーキンスの「利己的な遺伝子」の本の中に書かれている自己複製子が延長された表現形態「ミーモ」のように類似する物として生成されていき、それぞれの絵の画面から太古
の昔、何もない大地から生命が生まれた萌芽を願い制作した。 (今回展示の新作すべてに共通)
今回の熊は、「あいさつをする熊」と同様、“贈与の象徴的な動物”としての熊を画面に印鑑している。熊の周りの白い膜はアクリルメディウムが科学変化して色が変わったものであり、画面の世界と見る鑑賞者を繋ぐものとして、人間には観測できない暗黒エネルギーを表現した。