秋風が吹くまえに
あっという間に夏が通り過ぎ、秋の香りが仄かに漂う季節となりました。
みなさんはどのような夏の時間を過ごされましたか?
私は、病気とひたすら闘っていました。
硬直の範囲が広がり、座位を保てなくなることや、一人で食事をするのも大変な日があったり……
とても現実とは思えず、ふわふわと夢の中にいるような思いでした。
昨年、病名を告知された時、私は思いました。
「たとえこの杖が私の体重で折れてしまったとしても、私は今日も自分の脚で立つのだ」
そう言い聞かせて、毎日必死の思いで杖にしがみつき、家の中を這うように歩いておりましたが、ついに腕の自由が効かなくなり、私の心の方が先にぽきりと折れてしまいました。
フォークが持てない。
スマートフォンの変換が辛い。
歯磨きができない。
呂律が回らず意思疎通が図れない。
こんな症状が時折顔を出す度に、一人考え込む時間が増えていきました。
果たして私の身体に何が起きているのだろう?
今、自分にできることとは何なのだろう?
家族にとって、私にとって、最良の選択とは何なのだろう……
動かぬ身体を横たえながら、私は考えました。
そして思ったのが「もっと詩を書きたい」ということでした。
ふわりとしたショールのような優しい言葉を紡ぎたい。
いつか誰かが肩に纏うことができるように。
私だから届けられる言葉を編んでいきたい。
いつか誰かが寒さを凌げるように。
秋風が吹くまえに、冬が来るまえに……
私らしい詩をみなさんに一つでも多く届けることができるよう、今後とも頑張って書き続けますので、見守っていただけたら幸いです。
よろしくお願い致します。
そして少しでも元気になれるよう、治療に励みたいと思います。
来たる9月がみなさんにとってよい時間となりますように。
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