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第二の故郷、イタリア LOVE
私にとってイタリアは、多感な20代~30代を過ごした思い入れのある場所、心の中では日本1番、イタリア2番と胸を張って言える愛するところです。
人生は繋がっていて、今でもイタリアで経験したあれこれは、私の血となり肉となり、暮らしを豊かに楽しくしてくれています。
愛すると覚悟した国・イタリア
私の夫はイタリア人です。
その関係で、私は結婚後10年間、彼の故郷である北イタリアの街で暮らしました。
死ぬまでそこで暮らすと思っていたのに、今はルクセンブルクに住んで8年。想像もしていなかった現在です。
もしも、イタリアに住み始めた当初から「ここに住むのは10年だけ」その後はルクセンブルクに住むんだよ、とわかっていたら、私のイタリアへの愛はもう少しソフトというか距離のあるものになったんじゃないかな。
でも、そんなこと知る由もなかったので、必死でした(笑)
「郷に入っては郷に従え」の精神で、言葉をはじめ、文化や慣習に慣れようと努力していました。食べ物が美味しい国でよかった♡明るい人が多いな、とすべてをポジティブにとらえようと心がけても、事務手続きが煩雑で、手続きに大幅な時間を要したり、車の運転がえげつないことだったり、好きではない部分ばかりが見えていた時期もありました。最初は、いくら好きな人の国であっても、自分達で決めたことであっても、やるせないというか、「なんでこんなところに来ちゃったんだろう」という想いをかすめつつ暮らしていたと思います。
でも、ある時点で「この国を愛していくしかない」と覚悟を決めた。嫌なところをあげたらキリがないけど、完璧な国も人もいないんだ。愛していくしかないんだ。もう他に選択肢はないんだと。
それは、自分の根底にあったなにかを覆すようなものでした。
そうしていくうちに、少しずつ、少しずつ愛着が湧き、本当に日本の次に愛しい場所となりました。この国での自分自身の立ち位置というか居場所というか、そういうものもみえてくるようになりました。
まさかイタリアを離れることになるなんて……
でも、結婚して(イタリア在住)10年目に、全く想定外の転職話が夫にもちあがり、ルクセンブルクに移住することになったのです。ここを離れる選択は、そもそも選択肢の中になかったので驚愕のできごとでした。
えっ?!せっかく愛する場所を時間をかけて築いてきたのに???10年間費やした、イタリアに馴染もうとした努力がすべて水の泡ですか???その喪失感が半端なかった( ;∀;)
経験は活かせるし、人生は繋がっている
イタリアを去って、失ったものはあると思います。太陽は眩しかったし、近所だからこそ、同僚だったからこそ、付き合っていた温かい人との関係があったし、夫の両親や親戚が代々暮らしてきた土地というのは、大きな安心感があったことを失ってから気が付きました。
だけど、イタリアへ費やした努力や思い出が水の泡なんてことはない。実用的にも、目には見えにくい精神的な部分でも、とっても役に立っています。
実用面で役に立っていること
イタリアでの煩雑で時間のかかる事務手続きに慣れていたので、ルクセンブルクのスムーズな手続きに感動した
第1世、2世、3世のイタリアからの移民や、休暇の大半をイタリアで過ごしているルクセンブルク人がわりといて、イタリア語で話せる人がまあまあ多い。でも外国でイタリア語を話す感覚なので、お互い心の距離が縮まりやすく、親近感を抱きやすい
イタリアもルクセンブルクもEU圏なので、外国とはいえど、その中での移住は、日本⇒イタリアへの移住と比べて、文化的・社会的な変化や驚きが比較的少ない
ルクセンブルクの公用語の1つであるフランス語は、イタリア語と同じラテン系の言葉なので、文法や単語が似ていて、比較的学びやすい
それに対して、目には見えない、言葉でも表現しにくい精神的な部分のひとつを、あえて一言で言うとしたら、愛する人の幅、許容範囲が大きく広がったことかもしれません。
時間にルーズな人も、食や衣服、ライフスタイルにこだわりがある人に対しても、事務手続きが下手な人も、言い訳が上手な人も愛しいというか寛大に見守れるようになった。
イタリアの食文化や暮らし、出会ってきたステレオタイプのイタリア人、そうではないイタリア人とのあれこれもまた語りたいなとこれを書いていて思いました。
今、イタリアは夫の実家を訪れるついでにスキーや山登りをする、休暇中に過ごす場所となりました。住んでいた時のように濃い関係ではないけれど、これからもイタリアLOVEは続いていくと思います。日本の次ではありますが。
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