Snow flakes — 雪とダンスを
Snow flakes
I counted till they danced so
Their slippers leaped the town,
And then I took a pencil
To note the rebels down.
And then they grew so jolly
I did resign the prig,
And ten of my once stately toes
Are marshalled for a jig!!
私が数えていると雪のかけらははげしく踊り
靴を蹴って町を飛び越えていく
そこで私はペンを取り、
裏切り者たちの名をノートに刻んでいった
すると雪のかけらはとても楽しそうに舞い始めたので、
私はお堅い人をやめ、
さっきまでこわばっていた十本のつまさきを揃えて、
ダンスを踊りはじめた
ビルの12階というちょっと珍しい高さから、雪の舞う町を眺めながらこの詩を訳した。
雪は降るといっても、雨のようにまっすぐに天から地へ降りてくることはむしろ稀である。上に下に、左に右に。風に揺られて気ままに宙を彷徨うさまは、降るというよりも、舞う、踊る、といった言葉のほうが合っている。
小さく儚く、自然が作り出す繊細な美の結晶でもある雪のかけら。詩人はこれを友としようとしたのだろうか。しかし、ちっとも言うことを聞かず、予測不能な動きを繰り返す雪に対して苛立ち、ついにペンを取る。友ではなく、叛逆者として記すために。
お得意の書くことによって、現実には思い通りにならない雪のかけらを作品の中に繋ぎ止めようとしたのだろう。すると、雪は詩人の監視から解き放たれる。いや、むしろとらわれていたのは詩人の方かもしれない。
雪を書くことを諦めたとき、雪の舞う姿が純粋に目に入ってきて、とても楽しそうに見えた。
And then they grew so jolly 雪のかけらがとても楽しそうになった
とはそういうことではないだろうか。
自由を奪おうとするのをやめることで、
自分が自由になる。
そこへ至る過程を描いたこの詩じたいが、
急転回する心の緩急で、
ひとつのダンスを踊っているようだ。
『THE COMPLETE POEMS OF EMILY DICHINSON』
THOMAS H . JOHNSON, EDITOR
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