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こんな親子や家族があってもいいかもしれない。『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ


良質のエンタメを読むのは、本当に幸せ。取って付けたような感動エピソードや、お約束の萌アイコンは不要。とにかく、楽しめる話が読みたい。
そんな私にぴったりでした。

実の母親が亡くなって、父親が再婚して。ここまではありがちな設定だけど、義理の母と仲良くなって、実の父の海外赴任についていかず、離婚した義母と一緒に暮らすあたりから、かなり突飛な方へ物語が進みます。

義理の母が再婚を繰り返し、主人公の父親が何度も変わります。でも、それぞれの父親が彼らなりのやり方で、主人公を愛してくれますし、主人公もそれを理解しつつ、淡々と自分の人生を生きるお話。

特殊な環境で育ったおかげで、主人公はかなり繊細な性格に育っているけど、しっかり者でもあります。人間関係に悩みがちの思春期に、こういう小説が読めるのは本当にいいことだと思います。私の時代にも、こういう本が欲しかったです。

思春期をとっくに過ぎた、仕事疲れしている私ですが、ハーブティのように効くほどよいファンタジー加減。なさそうだけど、でも、あったらしいなって小説が大好きです。

最近は、興味ある事実を知るための読書と、現実を少し忘れて楽しい気分に浸りたいときの読書が大体半々になりました。いや、どっちかっていうと後者の方が多いかも。あからさまなフィクションじゃなくて、ありそうだけど、でもちょっと現実よりも明るい方を向いたストーリーがお気に入り。

『そして、バトンは渡された』もそんな1冊で、ときどき、読み返してみては、幸せな気持ちを思い出しています。


後日、この小説のツイッターで応援キャンペーンをやっていたので応募したら、見事当たりました! 表紙と同じデザインのTシャツとハンカチ、そして2千円の図書券。うれしい!

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