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愛しながら死ぬ

どんどん無用なおじさんになりたいと思った。どんな商業的な価値もなく、冴えない、醜い、およそ魅力のないおじさんに。おれはまだ中途半端に若いし、中途半端に老いている。この世界でずっと居場所を見つけられないのは、およそおれの繊細さと無能と堪え性のなさが作用していて、ならばこの世界の外に向かうために、無用なおじさんへと変容していきたいと思った。 しかしこの無用なおじさんになろうとしているおれにも、つまり社会の中に居場所を見いだせなかったおれにも、優しい家族と友達が驚くことにいるわけ

    • 10月/浅瀬

      イランとイスラエルがミサイルを撃ち合い、北朝鮮の部隊がクルスクに向かい、自公は過半数が割れた。そういう10月が終わろうとしていて、おとぎ話のような11月と大統領選を迎えようとしている。どちらが勝っても、それなりの希望と大きな絶望はあるだろう。 10/5にライブをした。2年前にSPREADでphaiのライブをした以来。その一月あとに20220223を作ったんだっけ。ライブはうまくいったと思う。反応も上々だったし、音にも手応えがあった。なんというかライブやDJをしている時のトラ

      • 世界の終わりの朝に

        おれは人の悪意に晒されて死にたくない、と思う。いつの日か心臓がキュッと痛む日があった。左胸が痛んで、なんだか脈も早い。動悸がした。おれは太りすぎているし、ベビースモーカーだし、ああこのままおれの心臓は止まってしまうんだな、と思った。そのことをおれは安らかに受け入れることができた。心臓の病で死んだとて、それは自然の摂理であって、このまま終わってもいいと思いながら眠りについた。 翌朝目覚めると動悸は止まっていた。その後、もう半年以上動悸は起こっていない。たまたま動悸がしただけだっ

        • 9月

          よくわからないまま9月が始まり、よくわからないまま9月が終わる。10月は混沌とするような気がする。 また新しい戦争がレバノンで始まった。始まったとは公には言われてないけれど、あんなに空爆を見境なく行なって戦争じゃないなんて言えない。また世界は悪くなった、悲しいことに。 kakiが都市の風景は性と暴力と死を隠している、と言っていた。その通りだと思う。都市はおろか、社会全体のアーキテクチャがそれを綺麗なテクスチャで覆い隠そうとしている。しかしそれがテクスチャに過ぎないのは日々

          orbit

          9月も中頃か、なんだか3日くらいしか9月の記憶がない。DJした日と、ZERO TOKYOに行った日と、lifedropを出した日。それ以外がなかなか思い出せない。でも世界の不穏さのようなものはずっと感じていた。何かが急転しそうな雰囲気というか。lifedropを出して、あなただけがを出してもずっと不安をつきまとうものである、ということがなんとも冷たい現実を感じさせる。 アルバムのデモをほとんど作り終えてから、10月のライブに向けた準備をずっとしていた。ライブ用にミックスしな

          あなただけが

          最近は月火金と事業所に出掛けてはCCNAとAWSの資格をとるべく勉強している。前までは月水金で通っていたが、休みは2日ある方が疲労も回復しきるし、連日ある方がその上昇気流に身を任せられるので、こっちの方がリズムを作りやすいことに気づいた。いまはまだ2日行って2日休んでだが、いずれ5日行って2日休むになったらいい。おれは本当にいま社会に適応したいと思っているのだ。 父が祖母の十三回忌で九州に行ってしまったので、おれと母2人でこの4日間は過ごした。大体喋るのは夕飯時に集中してい

          あなただけが

          lifedrop

          なぜ9月にいるのか分からないし、lifedrop!のリリースを迎えられたことが奇跡のように感じる。それはおそらく喜ばしいことなのだろう。 一番気持ちのいい温度を目指した17℃をリリースし終えて、特に次のアクションを決めるわけでもなく、自然とアルバム作りへと向かった。順調に最初の2曲ができて、さあ3曲目というところで流れが止まった。その時点で新しくまた2曲できたわけだが、どうにもアルバム用に作った2曲と雰囲気が合わない。まだおれは17℃をどこか引きずってるみたいだった。なので

          blu

          8月と台風が過ぎ去っておとぎ話のような9月が来た。今日は暑かったけれど湿度は低いような気がした。まだ暑い日は続くらしいけれど、いずれ秋になっていくのだろう。 こんな文章を何度も書いているのにheavenly houseみたい曲を作るのはメチャクチャだ、と言われ、確かにそれはそうだな、と思った。こんな曲と文章を書きながら、実際はこども部屋おじさんかつニートで、しかも120kg超太っていて、しかし寝る前にバイブスと神秘について考えながら終ぞ1時まで眠れなかったりする。まるでおれ

          8月/teardrop

          またハマスとイスラエルの休戦交渉が頓挫した。毎日ガザで惨たらしく死者が出て、何故互いに譲歩ができないのか。ハマスが事の発端で、イスラエルが虐殺をはじめた。そこで死んでいるのは戦争を指導しない人々だ。そんな状況でどうして駆け引きなんてしているんだろうか。 ハニイェがテヘランで爆殺されたのが先月末で、今月5日にイランとヒズボラがイスラエルに報復攻撃するって話だった。それにイスラエルは強力に対応して全面戦争か、というニュースを沢山見たが、結局昨日ヒズボラが抑制的に300発ほどロケ

          8月/teardrop

          water to this summer

          Xやスレッズに残すような些細なことを一日何度も思いついているけれど、色々とやってる内に何を言いたかったかすぐ忘れる。EPも完全納品したので、少し気晴らしがてらにミックスを録ろうと思ったが、金もなかったので新しく曲を買うことはせず、既存の曲でやろうとした。レコードボックスを見れば、大量のパスを失いCUEも設定されてない曲だらけだったのでまずは曲の整理から始めたが、これが3日かかるはめになった。同じ作業をやり続ける飽きが本当に苦しかったし、作業から離れて曲を聞いても、どこにCUE

          water to this summer

          ego

          昨日、コロナ禍以降に知り合った人で初めて胸の裡をそのまま喋れた。とかく人見知りだし、コロナ禍に伸びてきた人たちと、知り合いはしたものの腹を割って喋ることは今までなかった。インスタのDMのやりとりで、成り行きで会うことになったけれど、出自も世代も全く違うのに、喋っていて同じ感覚を持てていることを感じて嬉しかった。何より好きな音楽の話ができたこと、それが一番嬉しかったかもしれない。好きな音楽をオススメしあったり、同じ曲に共感しあったりするのは何事にも代え難い瞬間で、一生この新曲い

          7月/sand

          一番最初に出したアルバム「青狗」を聴きながら思う。何故あのときあんなにゴルジェに傾倒していたのだろう。アルバムとしての聞き応えは抜群で、我ながら良いものを作ったと思う。同時にこれはもう作れないとも思う。あまりにダークというか、重心が低い、というか、ああいったものがその時は手癖で作れる音楽だったのだ。でも、いまは手癖でああはならない。Xamdでライブしながら、この音楽はずっと続けられない、と思った覚えがある。 あの時のゴルジェ精神というか、破壊して、美しいものを浮かび上がらせ

          ushio

          3日かけて作った曲をボツにして、また3日かけて曲を作って、それからボツにした。そういう時期もあるよね、と考える。もう時間がない、明日には終わってしまうかも、という焦りはあるのだけれど、同時に17℃を出したことで、わりあい納得した気持ちで終われるな、とも思う これがもしかしたら最後のリリースなのかもしれないけれど、それに充分足りうるEPを出せたと思う。 次のリリース、また同じ気持ちになれるリリースにしたい。vqやmareno!を聴いているとまだ全然彼らに追いつけてない、と思う

          tmr

          梅雨の低気圧で耳が詰まっている。DJは立ちっぱなしだから辛い。プレイ中は何も感じないけれど、忘れた頃に足や腰が痛んで、そのたび身体から逃れたくなる。家に帰ってクーラーの効いた部屋でゲーム配信を流していたら、急にその配信者とおれしかいないような気分になった。微睡のなかで聞こえてくる声とおれの間に入るノイズは足の痛みと腰の痛みだけ、ひどく悪化していく世界情勢も税金まみれの社会も、その時は存在しない。このままおれの世界は停滞していてくれとおもう。明日よくるな、7月よくるな、と配信者

          6月

          6月。今月こそは世界は乗り越えられないと思っていた。あと数日だが、まだ乗り越えられないかもしれない。7月なんて想像がつかない。本当にこのまま7月に行こうとしているのか?このままで? 6月は就労支援事業所をいくつか見学して、結局川越の事業所に行くことになった。事業所の近くを歩いていたら、高校・大学生のころスタジオライブしたスタジオ・チコがあって、記憶の中身を層深くまでほじくり返された気分になった。それを見るまでその箱のことを忘れていたし、野辺のギターが倒れてネックが折れたのも

          ego//death

          久しぶりに東京でDJをした。DJがしたい、と書いてた甲斐もあり、東さんにお誘いをもらったので半分揚々と半分緊張しながら出演したのだけれど、他の出演者のDJがとにかくよかった。パワーというか、削ぎ落とされているものがまだないというか、ダイナミクスをめちゃめちゃに感じて、久しぶりに戻ってきたらなんだか前より面白いところになっていた気がして、すっかり気分が良くなってしまった。おれのプレイもなんだかいい感じだったみたいだし、とにかくハイになってしまって、東さんとその後テッペイさんが合

          ego//death